名古屋大学(理系)数学入試問題 ― 2020年02月29日
この大学は、時々、超難問が出題されることがあるが、今年はそういうことはなかった。問1は典型的な問題。問2は素数が関係する問題で、場合分けが必要。しかし、3つの素数の積なので、大変ではない。問3は積分の抽象議論になれていれば易しい問題だが、単なる計算練習のみの受験生には歯が立たないだろう。問4は問題文を読んでいません。
4問で試験時間150分なので、数学が得意な受験生は時間が余って困ったことだろう。
そういうことで、問2と問3の解答を書きます。
問2
(1)
題意から明らかにm>1である。
a=2でb,c=m2+1,m4+1の場合は、明らかにa2<bcとなる。
a= m2+1で、b,c=2, ,m4+1の場合は、a2<bcは容易に示される。
a= m4+1で、b,c=2, ,m2+1の場合は、a2>bcなので、求める解ではない。
よって、a=2, m2+1
(2)
(x+y){(x+y)2+y2}=2(m2+1)( m4+1) である。
右辺は異なる3つの素数の積であるから、左辺は互いに素の数の積である。
明らかにx+y≠1であるから、x+yは2, m2+1,m4+1のいずれか、または、それらの積である。
① もし、x+y が2, m2+1,m4+1の2つ以上の積であるとすると、
(x+y)2≧{2(m2+1)}2> m4+1となる。
一方、x+y が2, m2+1,m4+1の2つ以上の積のときは、{(x+y)2+y2}≦m4+1でなくてはならず、このようなx、yは存在しない。
② x+y が2, m2+1,m4+1のどれか1つとする。
x+y=aとすると、(x+y)2+y2=bcであり、a2<bcが成り立っている。
よって、x+y=2 or x+y= m2+1
ここで、x+y=2とすると、x=1,y=1となって、(x+y)2+y2=bc=5となるので不適。
x+y= m2+1とすると、(x+y)2+y2=2(m4+1) となる。
これを解くと、y=m2-1、x=2
問3
(1)
0≦x≦2πで、f’’(x)>0であるから、この範囲でf’(x)は増加関数。
0≦x≦π/2のとき、x<π-x<π+x<2π-xとなるので、
f’(x)<f’(π+x) f’(π-x)<f’(2π-x) が成り立つ。
F’(x)=f’(x)+ f’(π-x)- f’(π+x)- f’(2π-x)<0
一方、F(π/2)=0であるから、0≦x≦π/2のときF(x)≧0となる。
(2)
積分区間を[0, π/2] [ π/2, π] [ π, 3π/2] [3π/2,2π]にわけると、求める積分は、次式となる。
∫F(x)cos(x)dx ただし、積分範囲は[0, π/2]。
よって、(1)より、この定積分の値は正である。
(3)
g(x)=-f’(x)とおくと、f’’(x)>0となる。
∫g(x)sin(x)dx=-∫f’(x)sin(x)dx=[-f(x)sin(x)]+∫f(x)cos(x)dx=∫f(x)cos(x)dx>0
ただし、積分範囲は[0, 2π]