東工大の数学入試問題2020年03月06日

 今年の東工大は特に難しい問題はなかった。しかし簡単にできる問題もない。問1はコケオドシなので、受験勉強に取り組んでいなくても完答できるかもしれないが、それ以外は問題集をこなしていないと無理だっただろう。問1以外は東工大らしい良問といえる。特に、問2、問4は練習問題として取り組んでおくべき問題。


問1

次の問に答えよ。
(1)
|x2-x-23|の値が、3を法として2に合同である正の整数xを全て求めよ。
(2)
k個の連続した整数x1,・・・,xkに対して、
 |xj2-xj-23| (1≦j≦k)
の値がすべて素数になるkの最大値と、そのkに対する連続した正の整数x1,・・・,xkを全て求めよ。
ここで、k個の連続した整数とは、
x1,x1+1,x1+2,・・・,x1+k-1となる列のことである。


<解説>
 絶対値のある問題で、素数の問題なので、難しいのではないかと身構えたら、あっけない易問。 x=1,2,3,4,5,6,7,8と順に考え、さらに、x≧6のときはxを3で割った余りにより分ければ簡単。
 ところで、「整数Aが3を法として2に合同」という言い方は、今の高校生にはポピュラーなのだろうか。
 もし、この問題が難しかったら、それは、数学ではなくて、出題者の日本語がわかりにくかったためかもしれない。

<解答>
(1)
「整数Aが3を法として2に合同」とは「A-2」が3の倍数であるということ。
x≧6のとき、x2-x-23>0であるから、
x≧6のときには、|x2-x-23|=x2-x-23
よって、このとき、|x2-x-23|が題意を満たすならば、x2-x-23-2が3の倍数となる。
x=3k,3k+1,3k+2を入れると、いずれも3の倍数でないことがわかる。
あとは、
x=1,2,3,4,5を|x2-x-23|を入れてみると、x=1,3,4が求める値であることがわかる。

(2)
以下f(x)=|x2-x-23|と書く。
x≧6でx=3k+2(kは整数)のとき、f(x)=3(3k2+2k-7)となる。k≧2なので、f(x)は素数でない。
すなわち、x=8,11,14,・・・のとき、f(x)は素数ではない。
このため、x≧8のとき、f(x),f(x+1),f(x+2)の3つが共に素数となることはない。
f(1)=23,f(2)=21,f(3)=17,f(4)=11,f(5)=3,f(6)=7,f(7)=19である。
よって、x=3のときf(x),f(x+1),・・・,f(x+4)が素数になる。
すなわち、求めるkの最大値は5で、x1~x5=3~7


問2

複素数平面上の異なる3点A,B,Cを複素数α,β,γで表す。ここで、A,B,Cは同一直線上にないと仮定する。
(1)
 三角形ABCが正三角形となる必要十分条件は、
  α222=αβ+βγ+γα
であることを示せ。
(2)
 三角形ABCが正三角形のとき、三角形ABCの外接円上の点Pを任意にとる。このとき、
  AP2+BP2+CP2
 および、
  AP4+BP4+CP4
を外接円の半径Rを用いて表せ。ただし、2点X,Yに対して、XYは線分XYの長さを表す。

<解説>
 今年は、早稲田大学理工、京都大学理系の問題に、複素平面上の正三角形を問題とする出題があった。東工大も類似問題である。ただし、早大・京大の問題では、正三角形であることを前提に、解の関係を導かせるのに対して、東工大では、必要十分条件であることを証明させる問題であった。このため、東工大の方が難しくなっている。
 早大・京大・東工大ともに、複素平面上の典型的な正三角形はz2+1=0の解であることを使うと、見通し良く解ける。

<解答>
(1)
複素平面上の正三角形とは(-1,ω,ω*)を拡大・回転・移動して得られる図形のことである。
ただし、ωは-1の三乗根の虚数解。ω*はωの複素共役とする。
よって、(α,β,γ)=a+b(-1,ω,ω*)のときに、正三角形になっている。ここで、a,bは適当な複素数で、b≠0。

(α,β,γ)=a+b(-1,ω,ω*)のとき、
α222-(αβ+βγ+γα)
=b2(1+ω2*2+ω+ω*-ωω*)
ここで、ω2*2=-1 , ω+ω*-ωω*=0 であるので、
α222-(αβ+βγ+γα)=0が成り立つ。

逆に、α222=αβ+βγ+γαが成り立つとする。
a=(α+β+γ)/3 b=(-2α+β+γ)/3とおく。
ここで、α+β+γは同一直線状にないので、b≠0である。
さらに、s=(β-a)/b,t=(γ-a)/bとおくと、s+t=1となる。
また、(α,β,γ)=a+b(-1,s,t)であり、α222=αβ+βγ+γαから、
 1+s2+t2=-s-t+st が成り立つ。
すなわち、s2-s+1=0,t2-t+1=0となる。
s≠tであるから、(s,t)=(ω,ω*)となる。
すなわち、(-1,s,t)は複素平面上の正三角形となっている。
(α,β,γ)=a+b(-1,s,t)であるから、
(α,β,γ)は複素平面上の正三角形となっている。

(2)
正三角形の3点が(-1,ω,ω*)のときを考える。
Pの座標をpとする。Pは外接円上の点なので、pp*=1が成り立っている。
AP2+BP2+CP2=|-1-p|2+|ω-p|2+|ω*-p|2=6
AP4+BP4+CP4=|-1-p|4+|ω-p|4+|ω*-p|4=18

一般に、AP2+BP2+CP2=6R2
また、 AP4+BP4+CP4=18R4


<注意>
(1)は正三角形の条件として、(α-β)/(β-γ)=-ωなどを使用した方が回答がすんなり纏められる。



問3
 解いていません


問4

<問題>
nを正の奇数とする。曲線y=sin(x) ((n-1)π≦x≦nπ) とx軸で囲まれた部分をDnとする。直線x+y=0をLとおき、Lの周りにDnを一回転してできる回転体をVnとする。

(1) (n-1)π≦x≦nπに対して、点(x,sin(x))をPとおく。また、PからLに下した垂線とx軸の交点をQとする。線分PQをLの周りに一回転させてできる図形の面積をxの式で表せ。

(2) (1)の結果を用いて、回転体Vnの体積をnの式で表せ。

<解説>
 この問題は、受験勉強に取り組んでいれば、なんでもない問題。取り組んでいないと、(2)で間違える可能性が大きい。
 (1)は容易。(2)は回転体の体積は回転軸の長さに沿って積分することが基本。傾いた軸周りの回転の問題が、時々どこかの大学で出題されるので、間違わないようにしたい。練習問題として取り組むべき問題といえるだろう。

<解答>
(1)
P(x,sin(x))なので、Q(x-sin(x),0)
よって、
PからLへの距離:(x+sin(x))/√2
QからLへの距離:(x-sin(x))/√2
求める図形の面積をSとすると、
S=2πxsin(x)

(2) 注意)Vn=∫Sdxとすると間違える。
直線LへのPの垂線の足をRとすると、
R((x-sin(x))/2,-(x-sin(x))/2)なので、
ORの距離をrとすると、r=(x-sin(x))/√2
Vn=2π∫abxsin(x)dr  a=(n-1)π b=nπ
Vn=√2π∫abxsin(x){1-cos(x)}dx
ここで、∫xsin(x)dx=-xcos(x)+sin(x)
  ∫xsin(x)cos(x)dx=(1/8){-2xcos(2x)+sin(2x)}を使って、
Vn=√2(2n-3/4)π2

<注意>
体積を求めるだけならば、次のようにした方が簡単です。
P(x,sin(x))、R(x,0)とする。線分PRをLに周りに一回転してできる図形の面積を求めると、次式となる。
S=√2π{xsin(x)+sin2(x)/2}
VnはSをxで(n-1)π≦x≦nπの範囲で積分すればよい。


問5

kを正の整数として、Ak=∫01xk-1sin(πx/2)dx とおく。

(1) Ak+2をAkとkを用いて表せ。
(2) kを限りなく大きくするとき、数列{kAk}の極限値Aを求めよ。
(3) (2)の極限値Aにたいし、kを限りなく大きくするとき、数列
  {kmAk-knA}
 が0でない値に収束する整数m,n (m>n≧1)を求めよ。また、その時の極限値Bを求めよ。
(4) (2)と(3)の極限値A,Bにたいし、kを限りなく大きくするとき、数列
  {kpAk-kqA-krB}
 が0でない値に収束する整数p,q,r (p>q>r≧1)を求めよ。また、その時の極限値を求めよ。

<解説>
この問題は、(2)がわかるかどうかがポイント。(3)(4)は(2)と同様に考えればよいが、計算がだんだんゴチャゴチャしてくるので、結果を予測して要領よくまとめることが肝心。

 (1)は三角関数の部分積分を2回使うが、難しくない。
 (2)は(1)から答を推定する。0<Ak+2<1を使ってAkを評価するのだが、普通はAk+2をAkを使って評価することが多いので、逆になっているため、思いつかないと正解に到達しない。
 (3)は(2)と類似な考察でよいので、(2)ができれば、(3)もできるだろう。
 (4)も同じ考察で完答できるが、だんだんゴチャゴチャしてくる。

<解答>
(1)部分積分を2回行う。特に難しいところはない。
計算は省略して、答のみ記す。
Ak+2=4(k+1)/π2(1-kAk)

(2) (1)からkAk→1が推定できるだろう。
題意から0<Ak<1である。
ここで、(1)の結果を使って、|1-kAk|=Ak+2/4/(k+1)<1/(k+1)
よって、1-kAk→0(k→∞)  
すなわち、A=1

(3)
kmAk-kn=kn{km-nAk-1}
kAk→1だから、m-n≧2のとき、km-nAkは無限大に発散するので、m=n+1である。
(1)から、kn(1-kAk)=(π2/4)kn/(k+1)/(k+2) (k+2)Ak+2  
ここで、 (k+2)Ak+2→1(k→∞)だから、n=2のときに、上式は収束値π2/4をとる。
以上より、m=3,n=2,B=-π2/4

(4)
 (3)で、m=n+1を求めたのと同じ議論を行えば、p-q=1,q-r=2がわかる。
ここで、
 原式=kr{-k2(1-kAk)+π2/4} に(1)の結果を入れる。
 原式=(π2/4)kr{1-k2/(k+1)Ak+2}
となるが、ここで、{}の中身の中で、1-(k+2)Ak+2を別に出すと、次式となる。
 原式=(π2/4)kr{(3k+1)/(k+1)/(k+2) +k2/(k+1)/(k+2)(1-(k+2)Ak+2)}
このため、r≧2のときは、右辺第一項が無限大に発散。r≦0のときは、右辺第一項、第二項共にゼロに収束する。
r=1のときは、右辺第一項が3π2/4に収束し、第二項はゼロに収束する。
 以上より、p=4,q=3,r=1, 収束値=3π2/4

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