東北大学理系の数学入試問題2020年03月11日

 東北大学理系の数学入試問題は易しかった。かつては、難しい問題が多かったのに、最近は難しい問題は出ていなかった。今年は、例年に増して易しい。相当、高得点でないと合格できないだろうし、満点の受験生も多かったことだろう。
 河合塾や代々木ゼミナールの講評を見ると、問6は「標準」となっているので、解答例を書きます。教科書中心の勉強で、十分に完答できる易しい問題です。
 
 
(1)
t=π/2-xとおくと、次式が得られる。
A(m,n)=A(n,m)
また、cos2(x)+sin2(x)=1を使えば、次式となる。
A(m+2,n)+A(m,n+2)=A(m,n)

(2)
t=sin(x)と置けば、A(m,1)=1/(m+1)

(3)
(2)と同様に考えて、∫cosm(x)sin(x)dx=-1/(m+1)cosm+1(x)となるので、
A(m,n+2)=∫cosm(x)sinn+2(x)dx=∫cosm(x)sin(x)sinn+1(x)dx
ここで、cosm(x)sin(x)とsinn+1(x)で部分積分すると、
A(m,n+2)=(n+1)/(m+1)A(m+2,n)となる。

(4)
(1)から、すべての正の整数mにたいして、A(m,1)は有理数である。
ここで、すべての正の整数mにたいして、A(m,2k-1)は有理数であるとする。ただし、kは正の整数。
ここで、mを任意の正の整数とする。
(3)より、A(m,2(k+1)-1)=A(m,2k+1)=2k/(m+1)A(m+2,2k-1)となるので、
A(m,2(k+1)-1)は有理数である。
よって、nが奇数のときにA(m,n)は有理数である。
mが奇数でnが偶数のときは、A(m,n)=A(n,m)であるから、右辺は有理数である。以上より、mまたはnが奇数のときは、A(m,n)は有理数となる。


注意)
(4)の解答はこれで十分だけれど、「すべての正の整数mにたいして」という条件が分かりにくいかもしれない。(1)の後半を見ると、出題者はこれとは異なる論考を求めたのだろう。

(4)別解・・・出題者の意図を忖度した解答
(3)より、A(m,n+2)=(n+1)/(m+1)A(m+2,n)
(1)後半より、A(m+2,n)+A(m,n+2)=A(m,n)
2つの式から、A(m+2,n)を消去すると次式を得る。
A(m,n+2)=(n+1)/(m+n+2)A(m,n)
すなわち、A(m,n)が有理数の時、A(m,n+2)は有理数である。
以下は、普通に数学的帰納法を使う。

 

 

追記:
(4)の出題意図がどうも良く分からない。有理数であることは、(1)(2)(3)や帰納法を使うことなく、被積分関数をを変形すれば容易にわかります。(1)(2)(3)があるために、かえって、間怠くなっています。出題者の頭がよくないのだろうか。
 
(4)別解・・・出題者の意図を完全に無視した解答
nが正の奇数の時、n=2k+1とする。ただし、kはゼロまたは正の整数。
cosm(x)・sin2k+1(x)=cosm(x)・{1-cos2(x)}k・sin(x)
i=0k (-1)ikCi・cosm+2i(x)・sin(x)
A(m,n)=A(m,2k+1)=Σi=0k (-1)ikCi・A(m+2i,1)=Σi=0k (-1)ikCi/(m+2i)
よって、A(m,n)は有理数である。
mが正の奇数の時も同様に、A(m,n)は有理数である。

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