本の紹介ー科学化する仏教 ― 2020年10月04日

碧海寿広/著『科学化する仏教 瞑想と心身の近現代』 (2020/7)角川選書
本の内容紹介には次のように書かれている。
近現代の仏教は、つねに最先端の科学と接点をもち、自らの可能性を問い直し続けてきた。宗教体験の心理学、禅や祈祷の科学的解明、さらには催眠術、念写、透視の研究まで。ときに対立し、ときに補い合う仏教と科学の歴史から、日本近代のいかなる姿が浮かび上がるのか。ニューサイエンス、オウム真理教事件、そしてマインドフルネスの世界的流行へ―。対立と共存のダイナミズムに貫かれた百年史を、気鋭の近代仏教研究者が描き出す。本書の内容に反対というわけではないのだけれど、疑問を感じた。
仏教はキリスト教と違って絶対者をたてないので、科学と対立するところは少ない。浄土系は来世信仰なので科学の領域外だし、禅は見方によっては精神鍛錬の手法なので、精神医学そのものともいえる。本書では、こうした観点から、明治以降の日本仏教が精神医学、催眠術などにより、科学化してきた実情を説明している。
日本の仏教家は数が多いので、そういう方向性を持った人がいたことは間違いないだろうが、現実の日本の仏教は葬式という儀式を行うところという面が強く、これだと科学と抵触せず、科学化も意味をなさない。