本-フィリピンBC級戦犯裁判 ― 2021年01月29日

永井均/著『フィリピンBC級戦犯裁判』(講談社選書メチエ)(2013/4)
フィリピンでBC級戦犯になった日本軍将兵は、1953年までには日本に帰還し、一部は釈放され、一部は巣鴨刑務所に収監された。収監された戦犯もその後恩赦となり、1953年末までには釈放された。
本書は、フィリピンの軍事法廷でのBC級戦犯の解説。特に興味がある内容ではなかった。
本の紹介-日本のアジア侵略(世界史リブレット) ― 2021年01月30日

小林英夫/著『日本のアジア侵略(世界史リブレット)』 山川出版社 (1998/8)
このシリーズは薄いながらもしっかりした歴史教科書になっている。
本書は、日清戦争以降、太平洋戦争までの期間、日本のアジア進出の史実を淡々と描いている。「日本のアジア進出は侵略か解放か」との問題に対して、直接検討しているわけではないが、史実を普通にたどれば、侵略であったことは明白である。
本の紹介-仏教の誕生 ― 2021年01月31日

佐々木閑/著『仏教の誕生』 (河出新書 23) (2020/12)
著者は理系出身の仏教学者で花園大学教授。
コロナの影響で大学の講義もリモートになったため、YouTubeを使った講義を書籍化したものが本書のようだ。内容は仏教が起こった時のインドの社会状況とその中で仏教が生まれたいきさつ、当時のインドにおける仏教の特色など。日本の仏教や仏教の教義などは本書の対象外。
花園大学は臨済宗妙心寺派系の私立大学だが、仏教学科の偏差値はBFなので、このような学生にもわかるような易しい内容になっている。このため、中学生以上ならば普通に読めるだろう。初期仏教に対して多少の知識がある人には物足りない内容だが、知識をもう一度確認する目的と考えれば、読んで損になることはない。
インドで起こった仏教は、当時の宗教であるバラモン教に対抗する形で発生した。インドでは仏教が主流の宗教になった時代もあるが、その後インドでの仏教は衰退して、バラモン教が変化したヒンズー教にとって代わられた。
本書は日本の仏教の解説書ではないので、日本の仏教の教義やヒンズー教の教義を説明することはない。なお、インド北部を通じて日本に伝わった仏教は大きく変容し、釈迦の仏教からは乖離し、ヒンズー教的になっているが、そういう話は本書に含まれていない。