本の紹介-原発に挑んだ裁判官2021年09月04日


磯村健太郎、山口栄二/著『原発に挑んだ裁判官』朝日文庫 (2019/6)
 
 本書の前半は、原発差し止め判決など、住民勝訴の判決を下した3人の裁判官-樋口英明(大飯原発訴訟一審裁判長)、井戸謙一(志賀原発一審裁判長)、川崎和夫(もんじゅ訴訟高裁裁判長)-がどのような理由で原告勝訴の判断をしたのか、インタビューをもとに、これを示している。
 本書後半の1.2は、国・電力会社勝訴の判断をした裁判官のインタビューをもとに、どのような理由で国・電力会社勝訴の判断をしたのか、福島原発以降どのように思っているのかなどを示している。
 最後の1/4では、行政により沿った判断を下す最高裁の体質について。
 
 私は、学生の時の労働衛生の講義で、「放射能には安全の閾値はないと考えられているので、放射能の安全基準とは我慢基準である」と聞いたことがある。原発も同じで、本来危険があるものなので、原発の安全基準とは我慢基準で、大事故が起これば地域住民がどれだけ死ぬのかは分からないとしても、電力会社の利益のために容認させる範囲が、安全基準のはずだ。そういうことを理解しないで、安全基準とは、絶対安全な基準であるかのような誤解をしている不勉強な裁判官や、出世のために政府を忖度している裁判官が多かったということだろう。

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