本-東シナ海 漁民たちの国境紛争2022年01月26日

 
佐々木貴文/著『東シナ海 漁民たちの国境紛争』角川親書(2021/12) 
 
 特に読むことを薦めるわけではない。
 中国や韓国の漁場進出により、日本の漁業が脅かされていると説明する本。一般向けの啓蒙書、あるいは、不安をあおるアジ本。あまり興味を持てる内容ではなかったが、読んだことを忘れないように記載する。
 現在、日本が一方的に主張するEEZを周辺各国が受け入れるはずもなく、かといって無法地帯にすることもできないので、日本海は韓国との間で、東シナ海は中国・台湾との間で漁業協定が結ばれている。このため、日本が一方的に主張するEEZ内にも、韓・中・台の漁船が漁業をしているが、このために、日本漁船が押し出されることが起こっている。このような事態は、見方によっては、日本のEEZから日本漁船が韓・中・台の漁船に締め出されているとみることも可能だ。しかし、日本の零細漁民が日本の大型船に締め出され、跡継ぎのいない高齢化漁民が十分な漁獲を上げられないことは、昔からあったことなので、後継者不足で高齢化し、設備投資意欲のない日本の漁民が、近代的な韓・中・台の漁船に太刀打ちできないのは当然のことだ。そもそも、かつての日本は、近代的船団で、世界の海に出て、地元零細漁民を蹴散らしてきた。日本漁民の苦戦は時代の趨勢というものだろう。
 
 ところで、本書の中国漁船に対する記述が気になる。
 例えば、P195に「(尖閣諸島周辺の中国漁船は)、共産党の指示のもとで行動しているとされ…」とある。漁船員にも政府要因にも共産党員がいることは容易に想像できるが、共産党の直接指示ではなくて、警察など、警備当局の指示だろう。反共に凝り固まった人たちは、自分が気に入らない相手を「共産党」とののしるが、まともな書籍ならば、このような書き方をしないでほしい。

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