東北大学理系数学入試問題 ― 2022年03月03日
東北大学は、かつては難問が出題されたが、近年はそんなことはなかった。ところが、今年の問2は難しい。今年の主要大学入試問題の中で、一番難しかったと思う。この問題は決して、奇をてらったようなものではなく、普通に高校の範囲で解けるのだけれど、時間内に正解に到達するのは、かなり困難だろう。良問というべきなのか、意地悪問というべきなのか。完答した生徒はどれほどいただろうか。
ただし、(1)は易しいので、部分点は確保したい。
問題
aを実数とする。
f(x)=(x^2+3x+a)(x+1)^2 を考える。
(1) f(x)の最小値が負になるときのaの範囲を求めよ
(2) a<2とする。このとき、f(x)には極小値を2つもつ。これをα1,α2(α1<α2)とするとき、f(α1)<f(α2)を示せ。
(3) f(x)は x<β において単調減少し、かつ、x=βでf(x)が最小値となる。このようなβが存在するための、aの範囲を求めよ。。
解答
(1)『最小値が負』ということは、要するに『f(x)が負の値になることがある』ということである。
f(x)={(x+3/2)^2+a-9/4}(x+1)^2となるので、
a<9/4のとき、f(-3/2)は負の値となる。
よって、この時は最小値が負となる。
逆にa≧9/4とすると、f(x)は常に正またはゼロであるから、f(x)の最小値はゼロである。
以上より、求める範囲はa<9/4
(2)(注:a<2はα1<-1<α2となる条件)
f’(x)=(x+1)(4x^2+11x+2a+3) である。
g(x)=4x^2+11x+2a+3とする。
a<2のとき、g(-1)<0であるから、g(x)=0の解をβ1,β2(β1<β2)とすると、β1<-1<β2 となる。
注)2<a<9/4のときは、β1<β2<-1 となる
よって、g(x)=0の二つの解がα1、α2である。
ここで、h(x)=x^2+3x+a i(x)=(x+1)^2 f(x)=h(x)×i(x) と書く。
α=α1 または α=α2 とする。
g(α)=0であるから、4α^2=-(11α+2a+3)が成り立つ。よって、
4h(α)=α+2a-3 4i(α)=-3α-2a+1
したがって、h(α2)-h(α1)=(α2-α1)/4 >0
一方、 i(α2)-i(α1)=-3(α2-α1)/4<0 であるから、0<i(α2)<i(α1)
ここで、h(α2)≧0とする。i(α2)>0であるから、f(α2)≧0である。(1)より、f(x)の最小値は負であるから、このときf(α1)<0である。
すなわち、f(α1)<0≦f(α2)が成り立つ。
次に、h(α2)<0とする。このとき、h(α1)<h(α2)<0と、0<i(α2)<i(α1)から、、f(α1)<f(α2)<0 が成り立つ。
結局、f(α1)<f(α2)となる。
(3)a>9/4とすると、(1)から、x=-1で最小値0をとることが分かる。
f'(x)=(x+1)(4x^2+11x+2a+3) であるから、g(x)=4x^2+11x+2a+3=4(x+11/8)^2-(11/8)^2+2a+4とする。
2次方程式g(x)=0の解の判別式をDとする。D<0とa>73/32は同値である。
よって、a>73/32のとき、f'(x)はx<-1で負の値となり、f(x)はこの範囲で単調減少となる。
a=73/32のときg(x)は重解を持つ。この解をγとすると、g(γ)=0,g(x)>0(x≠γ)であるから、x<-1のとき、f(x)は単調減少である。
9/4<a<73/32のときは、g(x)=0が異なる2つの解を持ち、少なくとも一方は-1よりも小さいから、x<-1の範囲で、f(x)が増加関数の時がある。
a<2のときは、(2)より、β=α1とすると、x<βのとき、f(x)は単調減少かつ、βで最小値となる。
2≦a<9/4のとき。g(x)=0の解をβ1,β2(β1<β2)とすると、β1<β2≦-1 となるので、β=β1とすると、x<βのとき、f(x)は単調減少かつ、βで最小値となる。
a=9/4の時は、x=-3/2,-1でf(x)は最小値0となるので、β=-3/2とすれば、x<βのとき、f(x)は単調減少かつ、βで最小値となる。
以上より、
a≦9/4 、 a≧73/32 のとき、x<βのとき、f(x)は単調減少かつ、βで最小値となるようなβが存在する。。
ただし、(1)は易しいので、部分点は確保したい。
問題
aを実数とする。
f(x)=(x^2+3x+a)(x+1)^2 を考える。
(1) f(x)の最小値が負になるときのaの範囲を求めよ
(2) a<2とする。このとき、f(x)には極小値を2つもつ。これをα1,α2(α1<α2)とするとき、f(α1)<f(α2)を示せ。
(3) f(x)は x<β において単調減少し、かつ、x=βでf(x)が最小値となる。このようなβが存在するための、aの範囲を求めよ。。
解答
(1)『最小値が負』ということは、要するに『f(x)が負の値になることがある』ということである。
f(x)={(x+3/2)^2+a-9/4}(x+1)^2となるので、
a<9/4のとき、f(-3/2)は負の値となる。
よって、この時は最小値が負となる。
逆にa≧9/4とすると、f(x)は常に正またはゼロであるから、f(x)の最小値はゼロである。
以上より、求める範囲はa<9/4
(2)(注:a<2はα1<-1<α2となる条件)
f’(x)=(x+1)(4x^2+11x+2a+3) である。
g(x)=4x^2+11x+2a+3とする。
a<2のとき、g(-1)<0であるから、g(x)=0の解をβ1,β2(β1<β2)とすると、β1<-1<β2 となる。
注)2<a<9/4のときは、β1<β2<-1 となる
よって、g(x)=0の二つの解がα1、α2である。
ここで、h(x)=x^2+3x+a i(x)=(x+1)^2 f(x)=h(x)×i(x) と書く。
α=α1 または α=α2 とする。
g(α)=0であるから、4α^2=-(11α+2a+3)が成り立つ。よって、
4h(α)=α+2a-3 4i(α)=-3α-2a+1
したがって、h(α2)-h(α1)=(α2-α1)/4 >0
一方、 i(α2)-i(α1)=-3(α2-α1)/4<0 であるから、0<i(α2)<i(α1)
ここで、h(α2)≧0とする。i(α2)>0であるから、f(α2)≧0である。(1)より、f(x)の最小値は負であるから、このときf(α1)<0である。
すなわち、f(α1)<0≦f(α2)が成り立つ。
次に、h(α2)<0とする。このとき、h(α1)<h(α2)<0と、0<i(α2)<i(α1)から、、f(α1)<f(α2)<0 が成り立つ。
結局、f(α1)<f(α2)となる。
(3)a>9/4とすると、(1)から、x=-1で最小値0をとることが分かる。
f'(x)=(x+1)(4x^2+11x+2a+3) であるから、g(x)=4x^2+11x+2a+3=4(x+11/8)^2-(11/8)^2+2a+4とする。
2次方程式g(x)=0の解の判別式をDとする。D<0とa>73/32は同値である。
よって、a>73/32のとき、f'(x)はx<-1で負の値となり、f(x)はこの範囲で単調減少となる。
a=73/32のときg(x)は重解を持つ。この解をγとすると、g(γ)=0,g(x)>0(x≠γ)であるから、x<-1のとき、f(x)は単調減少である。
9/4<a<73/32のときは、g(x)=0が異なる2つの解を持ち、少なくとも一方は-1よりも小さいから、x<-1の範囲で、f(x)が増加関数の時がある。
a<2のときは、(2)より、β=α1とすると、x<βのとき、f(x)は単調減少かつ、βで最小値となる。
2≦a<9/4のとき。g(x)=0の解をβ1,β2(β1<β2)とすると、β1<β2≦-1 となるので、β=β1とすると、x<βのとき、f(x)は単調減少かつ、βで最小値となる。
a=9/4の時は、x=-3/2,-1でf(x)は最小値0となるので、β=-3/2とすれば、x<βのとき、f(x)は単調減少かつ、βで最小値となる。
以上より、
a≦9/4 、 a≧73/32 のとき、x<βのとき、f(x)は単調減少かつ、βで最小値となるようなβが存在する。。
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