広瀬陽子先生2022年04月06日

 広瀬陽子先生がウクライナ紛争の解説で頻繁にTVに出演しておられる。広瀬陽子先生はコーカサス地方・特にアゼルバイジャンの民俗が専門で、政治・外交・軍事の専門家ではなかったと思っていたが、最近はロシア・ウクライナの外交・戦争の解説が多い。先週のテレビ朝日で、次はオデッサ攻撃で、その後、ロシア軍は「沿ド二エステル共和国」に入るとの予想をしておられた。これまで、広瀬陽子先生の予想は、だいたい外れていたように思うので、この予想もあまり信用していなかったが、テレビであれだけはっきり言ったので、よほど自信のある予想なのかと思った。
 「沿ド二エステル共和国」と言っても、多くの人には、なじみがないと思い、この国で発行された切手を紹介した。
http://cccpcamera.asablo.jp/blog/2022/03/29/9476683

 その後のロシア軍の展開を見ると、オデッサに対するロケット攻撃はあったものの、上陸・占領の兆候はなく、ましてや、沿ド二エステル共和国進軍の兆候は全くない。それどころか、ロシア軍はキエフ周辺から撤退し、東部戦線に軸足を移している。
 この状況が、どのような理由で起こったのか、外交評論家の孫崎先生の説を読めば、容易に予想できたことだ。3/4のTwitterで孫崎先生は次のように書いている。
『繰り返しますがロシアの今回の行動は反ウクライナでもウクライナを奪取しようという動機ではない。①NATO拡大によって隣接地に短距離・中距離弾道ミサイルの配備を阻止、②東部二州の「自治権」確立。』
 
 ロシア軍の行動は、孫崎先生の言う①②を達成することであり、これまでのロシア軍は、この二つの目的達成のために、合理的な行動をしていることが分かるだろう。
 これに対して、広瀬陽子先生の解説では、戦況の見通しが外れている。『誤った歴史知識』『デタラメな現状認識』を基準にした将来の予想は、外れることが多いという、典型的な解説に感じる。
 もう少し考えてから話せばいいのに。広瀬陽子先生のコーカサス民俗の説明は、わかりやすくて面白いのに、最近のテレビでの解説が残念です。

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