本の紹介-統一教会とは何か2022年09月23日

 
有田芳生/著『統一教会とは何か』大月書店(2022/9)
1992年に出版された本の改定新版。序章と資料の一部が新版の書き下ろし。
 
 1980年代後半から1990年代前半にかけて、統一教会の霊感商法が批判されたことがある。しかし、その後、オウム真理教問題が起きると、そちらに関心が移り、統一教会問題はバラエティー番組の話題ではなくなった。
 2022年7月、安倍晋三元総理が銃殺されると、再び、統一教会がマスコミの関心事となった。
  
 1992年から2022年、マスコミの関心が薄れた時期も、統一教会被害は続いていた。この時期を、著者は「失われた30年」と表現している。しかし、この時期も、統一教会被害が書かれた本は毎年のように出版されていたし、新聞・赤旗にも、ときどき、統一教会被害や政治家の癒着を示す記事が掲載されていた。このため、新興宗教被害に関心のある者にとって、この30年間の統一教会被害はよく知られたことだった。
 
 本書の多くは、1992年出版の旧版と同じ内容だが、被害の実態は、このころと基本的に変わっていないので、現在の統一教会を理解する上で、本書の記述は十分に有益である。
 
 ところで、1980年代までは『統一協会』と書かれたが、1990年代になると『統一教会』が使われるようになった。『世界基督教統一神霊協会』が正式な法人名称なので『統一協会』が正解のように思うのだが。本書の旧版は『統一教会』の表記を使った初期のもの。
 
 ところで、こんな教団にどうして入会する人がいるのか、不思議なことだ。この件について、P77に以下の記述がある。
 『統一教会に入る若者の特徴を最大公約数でいえば、何でも受け入れてしまう性格で、それが本当かどうかを、他の方法で確認することをせず、論理よりも感情的といった共通点がみられる。』

 また、P193に書かれた脱会した元信者の手記には以下のように書かれている。
 『聖書を読み、原理講論を読み、神学書を読んだ。学べば学ぶほど原理のまちがいに気づき、私の信仰が浅薄な、見当違いなものであることがわかった。』
 キリスト教には、大きい括りで、カトリック、プロテスタント、正教があって、教義が違うことは、中学で習ったはずだ。統一教会の教義を聞いて、単純にキリスト教の教義であると信じてしまうのは、あまりにも知恵がなさすぎと思うのだが、中学校で成績不振だったのだろうか。

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック

* * * * * *

<< 2022/09 >>
01 02 03
04 05 06 07 08 09 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30

RSS