本の紹介-北方領土のなにが問題?2022年10月17日

 
黒岩幸子/著『北方領土のなにが問題?』清水書院 (2022/8)
 
 100ページ余りの薄い本。文章は平易で、文字の行間も大きいため、楽に読める。
 幕末期の日ロ交渉から最近の返還交渉まで、歴史を追って、北方領土問題を記す。日本に都合の良い主張をする本ではなくて、冷静に事実を記載している点で好感が持てる。薄い本なので、詳しい内容はないが、領土問題を理解するための参考書としては好適だろう。
 この地域の歴史は、幕末の日ロ交渉から始まったわけではなく、もっとずっと以前から人々が暮らしていた。そういう視点で北方領土問題を理解したい人は、本書だけでは不足で、この場合は、以下の本が参考になる。
 黒岩幸子/著『千島はだれのものか』東洋書店 (2013/12)

 本書は7つの章に分かれ、各章の末尾にはレッスンとして課題が出されている。終りの方の章で以下の課題がある。著者は北方四島交流に長い間携わってきたので、日本の主張だけを声高に叫べば解決するという問題ではないことを十分に承知しているのだろう。

以下の2つの問題を、皆さんも考えてください。
(a)北方領土に現在住んでいるロシア人島民になったつもりで,領土問題を考えてみましょう。日本の領土要求をどのように受け止めますか。自分や家族の生活に関してどんな心配が生まれるでしょうか。
(b)北方領土問題の解決案をつくってみましょう。まず北海道根室管内の市民,次に南クリルのロシア人島民が集まっていると想定して,その解決案を説明してみましょう。

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