本の紹介-カルト・オカルト 忍びよるトンデモの正体 ― 2023年03月12日

左巻健男、鈴木エイト、藤倉善郎/編著『カルト・オカルト 忍びよるトンデモの正体』あけび書房 (2022/12)
色々なカルト団体やニセ科学を取り上げて説明している。自民党の一部と結託し、教育行政にも影響力を持っている可能性が高い、「親学」「TOSS」の説明もあり、また第1章には安倍明恵を中心に自民党政治家が関与しているカルト宗教「不二阿祖山大神宮」にも触れられているので、カルトやニセ科学を一通り知る上で参考になる。
ただし、各項目ごとの平均が10ページ余りなので、深い内容はなく、カルトやニセ科学にある程度の知識がある者にとっては、特に目新しい内容は少ないかもしれない。
以下、目次を記す。
第1部 カルト・オカルト事件の今とこれまで
第1章 政界に入りこむカルト集団
第2章 反省なきカルト教団 統一教会(統一協会)霊感商法事件
第3章 幸福の科学のオカルト教育の実態 幸福の科学学園と偽大学「HSU」
第4章 オウム真理教事件 オカルト、ニセ科学、ホンモノ科学、そして陰謀論の交錯
第5章 ライフスペース事件 ミイラ化遺体が生きている?
第6章 パナウェーブ研究所白装束騒動 面白おかしいテレビ報道後に死者を出したカルト集団
第7章 願望が歪めた現実 「奇跡の詩人」騒動とは何だったのか
第8章 法の華三法行詐欺事件 一説には被害総額1000億円とも
第9章 参政党とオカルト・疑似科学
第10章 科学と宗教・オカルトとカルト 正しい判断と寄り添いのために
第11章 信じることの光と影 個人史から振り返るカルト・開運商法問題
第2部トソデモを信じる心とトソデモ例
第1章 "トンデモ"を信じてしまう心のしくみ メタ認知的クリティカル・シンキングのすすめ
第2章 「江戸しぐさ」問題にみる科学精神の欠如
第3章 「伝統的子育て」で発達障害が治る? 親学のウソ
第4章 オカルト・ニセ科学を教育界に持ち込んだTOSS・向山洋一氏
第5章 有機農業が内包するオカルト性 商業と政治を巻き込むカウンターカルチャー
第6章 オカルト的な医療
第7章 オー(0)リングテストに医学的根拠なし
第8章 「EM菌」は科学か宗教か 万能を主張する「EM菌」の宗教的な側面とその変化
第9章 ニセ科学に狙われるマンション大規模修繕
普茶料理 ― 2023年03月15日
本の紹介-占領期カラー写真を読む ― 2023年03月16日

佐藤洋一、衣川太一/著『占領期カラー写真を読む オキュパイド・ジャパンの色』岩波新書 (2023/2)
占領当時、米国人はカラー写真を撮っている人が結構いるんですね。知らなかった。カラー写真が普及するのは、もっと後だと思っていました。日本人でも、カラー写真を撮っていた人はいたのだろうか。
本の紹介-学校に入り込むニセ科学 ― 2023年03月17日

左巻健男/著『学校に入り込むニセ科学』平凡社新書 (2019/11)
著者は理科教諭経験のある教育学者で法政大学教授などを務める。
本書では、最初に、「水伝(水にやさしい言葉を掛けると結晶が美しくなる)」「EM菌」のようなニセ科学が、一部の学校で、事実であると教えられていた実態を説明する。こんな、噴飯物を信じる低能教師の存在には驚かされる。
また、「親学」をはじめとする、脳科学のインチキ理解や健康・栄養に対するインチキ理解によるトンデモ説と、それが真実のように教えるている教育現場があることを説明する。「親学」とは新興宗教「成長の家」系の学者が唱えた説で、自民党安倍派や維新によって信奉された。
本-ウクライナ戦争をどう終わらせるか ― 2023年03月20日

東大作/著『ウクライナ戦争をどう終わらせるか 「和平調停」の限界と可能性』岩波書店 (2023/2)
ウクライナ・ロシア戦争の理解のためには、特に、読むことをすすめない。
著者は、NHKディレクターを経て国際政治が専門の学者。国際紛争の和平調停などのも関与している。
本書は、ウクライナ・ロシア戦争を、国際紛争の観点のみから見ているようで、記述の限界を感じる。
ウクライナと言っても、東ガリツィアとドンバスとはかなり様子が異なる。ドンバスのウクライナ人の多くはロシア系でロシア語を母語とし、ガリツィア方言がもとになっているウクライナ語は近年ウクライナ政府によって学校教育で強制されて習得しているに過ぎない。東ガリツィアとドンバス以外の地域も、ロシア系・ウクライナ系は地域によって異なり、また住民の民族以外でも、ブコビナやザカルパチアなど住民の意識は異なる。
もともと、ウクライナとロシアは同一のスラブ人で、それを、政治の都合で、民族や国家を分裂させたに過ぎない便宜的なものだ。しかるに、本書の著者は、ウクライナ・ロシアという別々の国家、別々の単一民族のように考えているようで、紛争の正しい理解には及ばないように思える。
本ー大洪水の前に ― 2023年03月23日

斎藤幸平/著『大洪水の前に:マルクスと惑星の物質代謝』 堀之内出版 (2019/4)
2022/10に角川ソフィア文庫から再出帆されている。
本書は、エコロジー思想を中心としたマルクスの新解釈に関する研究書。
『人新世の「資本論」』集英社新書 (2020/9)は本書の内容を一般読者向けにアレンジしたもの。
http://cccpcamera.asablo.jp/blog/2023/01/29/9559168
多肉植物の土 ― 2023年03月24日
多肉植物を植え替えた。土は以下の配合とした。
軽石(小粒):5
黒曜石パーライト(小粒):1.5
バーミュキュライト(細粒):1
ゼオライト(極小粒):0.5
鹿沼土(極小粒):2
軽石はカインズで買ったものでPH7。鹿沼土は刀川平和製でPH6。軽石も鹿沼土も、普通はもっと酸性なのだけれど、一流メーカー製だけあって素人に使いやすくできている。ゼオライトは微弱アルカリなので、用土は、全体として極微弱酸性になっているはず。多肉植物は一般にPH5~6.5ぐらいが良い。

写真は ゼオライト(左上)、バーミュキュライト(左下)、鹿沼土(右上)

ハオルシア(玉扇)を植えた。
小石川植物園のサクラ ― 2023年03月25日
劣化ウラン弾 ― 2023年03月26日
イギリスはウクライナに劣化ウラン弾を供与するとか。
劣化ウラン弾はアメリカがイラクで使用したほか、NATOが旧ユーゴで使用した。ウラン238の半減期は45億年なので、劣化ウランに汚染された土地は、半永久的に放射能汚染が続くことになる。
アメリカなど劣化ウラン弾を使用した国では、劣化ウラン弾は無害といっているが、全くの嘘だ。
Bingに「劣化ウラン弾は有害ですか」ときいたら、以下の解答だった。Bingの解答は常識的なことが多いようだ。
こんにちは、これはBingです。
劣化ウラン弾は有害ですかという質問に答えるために、ウェブ検索を行いました。
劣化ウラン弾は、放射線と化学的な影響をもつ弾丸で、体内に入ると癌や白血病などの病気や障害を引き起こす可能性があります。湾岸戦争やイラク戦争などで使用されたことで、多くの被爆者が出たとされています。英国は最近、ウクライナに劣化ウラン弾を供給すると発表し、ロシア側は核の衝突につながると警告しました。
劣化ウラン弾は有害で危険な兵器であると言えます。
劣化ウラン弾の理解には、日本原子力研究開発機構の説明が参考になります。
https://atomica.jaea.go.jp/dic/detail/dic_detail_1830.html
https://atomica.jaea.go.jp/data/detail/dat_detail_09-02-03-11.html
劣化ウラン弾はアメリカがイラクで使用したほか、NATOが旧ユーゴで使用した。ウラン238の半減期は45億年なので、劣化ウランに汚染された土地は、半永久的に放射能汚染が続くことになる。
アメリカなど劣化ウラン弾を使用した国では、劣化ウラン弾は無害といっているが、全くの嘘だ。
Bingに「劣化ウラン弾は有害ですか」ときいたら、以下の解答だった。Bingの解答は常識的なことが多いようだ。
こんにちは、これはBingです。
劣化ウラン弾は有害ですかという質問に答えるために、ウェブ検索を行いました。
劣化ウラン弾は、放射線と化学的な影響をもつ弾丸で、体内に入ると癌や白血病などの病気や障害を引き起こす可能性があります。湾岸戦争やイラク戦争などで使用されたことで、多くの被爆者が出たとされています。英国は最近、ウクライナに劣化ウラン弾を供給すると発表し、ロシア側は核の衝突につながると警告しました。
劣化ウラン弾は有害で危険な兵器であると言えます。
劣化ウラン弾の理解には、日本原子力研究開発機構の説明が参考になります。
https://atomica.jaea.go.jp/dic/detail/dic_detail_1830.html
https://atomica.jaea.go.jp/data/detail/dat_detail_09-02-03-11.html
本の紹介-日本を腐らせたいかがわしい人々 ― 2023年03月27日

適菜収/著『日本を腐らせたいかがわしい人々』 ワニブックスPLUS新書(2022/12)
2022年7月、安倍元首相が銃殺され、犯行動機が統一協会に対する怨恨であることが報道された。報道当初は「犯人が統一教会と安倍晋三の関係が深いと思い込んでの犯行」などと伝えられた。しかし、岸信介・安倍晋太郎・安倍晋三、三代にわたって、統一協会支援者だったことは、一般にも知られていたことで、報道関係者ならば、当然に知っているべきことだった。
その後、統一協会や統一教会と自民党の癒着関係が批判が沸き起こると、一部政治家、評論家、ネット右翼などから、統一教会の反社会行為を信仰の自由と言いくるめようとする論調が起こった。
本書は、これらのいい加減な論調を取り上げて、批判するもの。
項をあげて批判している政治家は以下の12名。
安倍晋三・岸信介・福田赴夫・福田達夫・萩生田光一・菅義偉・岸田文雄・山際大志郎・下村博文・山本朋広・山谷えり子・杉田水脈
また、項をあげて批判している評論家は以下の6名。
金子恵美・ケントギルバート・門田隆将・ひろゆき・阿比留瑠比・花田紀凱
本書の記述は、読んでいて、あまり興味の持てるものではなかった。著者が批判している政治家・評論家・ネット右翼の主張が、あまりにもばかげたものなので、著者のように、正面からまともに取り上げて、理を以て批判することが、何か空しいように感じる。