マリンカ 解放間近2023年06月04日


 
マリンカ 解放間近
 ドネツク西の町、マリンカの解放が時間の問題となってきている。
 北西のアフディフカの解放が先かと思っていたが、マリンカ解放を先行させたようだ。(上図、赤丸印)
 この2つの町は、ドネツクに近かったため、ロシア・ウクライナ戦争以前は、ウクライナのネオナチスがここからドネツク市民を攻撃していた。
 
 
 
アルティモフスク(バフムト)膠着
 5月20日、ワグネル・ロシア軍はアルティモフスク(バフムト)を完全解放した。6月になると、ワグネルはここから撤退した。現在、ロシア軍は、ウクライナ軍が敷設した対人地雷を除去作業中。あと数か月はかかりそう。
 アルティモフスク解放のとき、クロモヴォ(図のA地点)に展開するウクライナ軍から側面圧力をかけられていた。解放後、クロモヴォを攻略したが、完全支配に至ってはいないようだ。
 また、5月終り頃、イワノスケ(青丸)に展開するウクライナ軍と、クリスチフカに展開するロシア軍との間で戦闘がったが、支配地域に大きな変化はない。
 アルティモフスク(バフムト)陥落前、ウクライナは「バフムトで数平方キロ取り戻した」との報道をした。貯水池南側の図のB地点に軍を展開したことを言っているようだった。ほとんど戦略的価値もない、畑と荒れ地が広がるだけの場所だ。バフムト陥落後、この地のウクライナ軍はすでに撤退した模様。
 現在、図のC地点の広い範囲で、両軍が散発的に衝突していることを除けば、この地域の衝突はほとんどない。
 
 アルティモフスク(バフムト)の西、青丸を付けたチャソフヤールにはウクライナ軍数万が駐屯している模様。住民を人質にしているのでロシア軍の攻略は困難を極めるだろう。ただし、住民にはロシア支持が多いので、チャソフヤールに展開するウクライナ軍の情報はロシア軍に筒抜けになっている可能性が高い。
 
 
 
ハリコフ州
 ゼレンスキーは、春に大攻勢をかけるとのデマを飛ばしていた。日本の報道機関は、このデマを事実であるかのように伝えていたが、大攻勢などないままに夏になった。デマを糊塗するためだろうか、ウクライナのハリコフ州からロシアへ越境して、住民を殺害する事件が起きている。老婆や農民、牛が犠牲になった模様。老婆・農民を幾人か殺したとしても、戦争の帰趨に変わりがないことは明らかだ。
 このような状況の為、ロシア軍はハリコフ州に軍を進めている。クピャンスク陥落の可能性が高い。
 
 
ザルジニー、ブダノフ
 ウクライナ軍総司令官ザルジニーが5月初めごろから消息不明。粛清・戦死・重病など諸説がある。
 ウクライナ国防省情報総局長ブダノフが5月30日に死亡したとの情報がある。この日、国防省情報総局のビルがミサイル攻撃され、NATO軍人ら多数の犠牲者を出したことは確実だが、このとき、ブダノフが死んだかどうかは不明。
 その後、ザルジニーやブダノフの映像が現れ、健在を主張する説もあるが、過去の映像の可能性がある。


本の紹介―知の巨人」が暴く 世界の常識はウソばかり2023年06月05日

 
副島隆彦 、佐藤優/著『「知の巨人」が暴く 世界の常識はウソばかり』ビジネス社 (2022/2)
 
 旧ソビエト地域に詳しい元外務省主任分析官で執筆業・佐藤優と、国際政治に詳しい元常葉学園大学教授で副島国家戦略研究所主宰・副島隆彦の対談。
 マルクス主義の現在・日本の左翼運動からはじめて、国際情勢・ディープ・ステイトなど幅広い問題を扱う。出版が、ロシア・ウクライナ戦争直前のため、この問題に関する言及はない。
 
第1章 世界の新潮流を読む
 低成長・マルクス主義の時代
 マイルドヤンキーが日本の主流
第2章 戦後リベラルの正体
 構造改革派の思想と田辺元の敗北
 日本共産党の正体
 新左翼とは何だったのか
第3章 米中ロの世界戦略と日本の未来
 アメリカの敗北で起爆するイスラム革命
 宗教対立と戦略なきバイデン政権
 中国の台湾侵攻と日本の未来
第4章 ディープ・ステイトの闇
 ディープ・ステイトとは何か
 世界を支配する闇の真実
第5章 間違いだらけの世界の超常識
 世界はデイズム(理神論)に向かっている
 学問の最先端を理解する
 佐藤優と副島隆彦の生き方哲学

ウクライナの反転攻勢2023年06月06日

 6月4日、ウクライナ軍は各方面で攻勢に出たが、多くの地点で撃退された。6月5日も引き続き、各地で戦闘が続いているが、ほとんど撃退されている。
 昨年終わりごろから、春になったらウクライナが大攻勢をかけるとの報道が続いた。しかし、そのようなことはなく、春は終わった。ウクライナの嘘が明白になると西側援助も難しいので、大攻勢の恰好をしたのだろう。6月4日の攻撃は、多くの地点で撃退された。ウクライナの損失は大きく、ドイツから供与された最新鋭戦車も複数台失った。
 
 ザポロージェ州やドニエプルペトロフスク州に近い、ドネツク州のVelyka Novosilka付近では、ウクライナ軍は最大で2~3㎞進攻した。これら地域は、畑と荒れ地で進攻する戦略的価値はほとんどなく、また、多くの地点で撃退された。何もなく撤退した地点もあったようだ。
 
 ドネツク市の北西Avdiikaはウクライナ軍支配地域。6月4日にはここからドネツク市方面の攻撃があったが、すべて、撃退された。
 ドネツク市南西のマリンカはウクライナ軍支配地域だったが、5月末からのロシア軍攻勢により、ウクライナ軍は撃退され、その結果、市の70%以上がロシア軍支配となっている。
 
 6月4日のウクライナ軍攻撃は、アルティモフスク(バフムト)を含む、北部地域でも行われたが、おおむね低調で、ほとんど撃退された。
 
 6月6日、毎日新聞に「ウクライナ軍がバフムト周辺の村の一部を奪還」との記事があった。
 https://mainichi.jp/articles/20230606/k00/00m/030/003000c
 この記事を読んでも、状況は良く分からないだろう。
 

 
 上の図はアルティモフスク及び周辺。A,B,Cの矢印は、最近のウクライナ軍の進攻を表す。毎日新聞の記事は、おそらく図の矢印Aを言っているもの。ここには、戸数40ほどの村があったが、現在は無人で、荒地が広がる。ウクライナ軍はここに進軍したが、多くは撃退された。一部ウクライナ兵士が空き家などに潜んでいる可能性がある。
 矢印B,Cのウクライナ軍進攻はすでに撃退されている。ただし、図の左側のチャソフヤールにウクライナ軍、2万の兵士駐屯しているとのうわさもあるので、今後とも、小規模な進攻の可能性はある。
 
 5月20日、ロシア・ワグネルはアルティモフスクの完全解放を宣言した。しかし、ウクライナは、今でも、一部を支配していると言っているようだ。図のD地域は市内ではあるが、市民のための家庭農園地域で、区画された小規模な畑になっている。物置小屋など小規模建物も多い。ウクライナ兵士の一部が、いまだにこの地域に潜んでいて、散発的な衝突があるようだ。しかし、いずれにしても、ウクライナ軍が市内で支配している場所はない。
 
 ウクライナは、ハリコフ州からロシアに向けてテロ攻撃を行い、老婆・農夫・牛などを殺害した。このため、ロシアも一部ハリコフ州に進軍している。クピャンスク進攻中のロシア軍は、すでに、Oskil川を渡った模様。


本の紹介―新宗教 驚異の集金力2023年06月07日

 
島田裕巳/著『新宗教 驚異の集金力』ビジネス社 (2022/10)
 
本の前半は、新興宗教の統一協会・真如苑・幸福の科学・創価学会 を取り上げて、これら教団の莫大な集金力とそのひずみを説明。
後半では、宗教教団のビジネスモデルと、なぜ新興宗教が儲かるのか、なぜ非課税なのか、このような問題を説明する。
 
著者は、新興宗教関連の執筆が多いため、本書の内容も、他の出版物に書かれている内容がほとんど。このため、著者の本をよく読んでいる者にとっては、特に目新しい感じはしない。

本の紹介-信者二世たちの叫び 徹底追及統一協会2023年06月08日

  
しんぶん赤旗社会部統一協会取材班/著『信者二世たちの叫び 徹底追及統一協会』新日本出版社 (2023/3)
 
 古くから統一協会を追及してきた共産党赤旗から、ようやく出版された。
 安倍晋三銃殺以前から、統一教会を追及していたのは、共産党赤旗と鈴木エイトだった。安倍晋三が韓鶴子を称賛するビデオを寄せていたことを報道したのも、赤旗と鈴木エイトの記事だった。
 
 本書は赤旗の取材班による統一協会問題の説明。
 タイトルは「信者二世たちの叫び」と大きく書かれているが、二世問題は最初の章だけで、全体の2割弱。何人かの統一協会二世被害者を取材している。
 このほかの章は、統一協会の霊感商法被害、違法伝道、自民党政治家との癒着、名称変更に対する政治家の圧力、反共組織など、統一協会問題を総合的に取り上げている。160ページほどの薄い本なので、特に詳しい内容があるわけではないが、本書を読んだだけで、統一協会問題の概要が理解できる。ただし、長年、統一協会と対決してきた共産党の本としては、ちょっと物足りない気がした。

ウクライナの反転大攻勢2023年06月10日

 
プーチンは、ウクライナが反転攻勢に出たとの認識を示した。
 
 6月4日、ウクライナ軍は、ザポロージェ、ドネツクなど各方面で攻勢に出たが、多くの地点で撃退された。5日、6日も引き続き、類似の攻撃が行われた。
 6月5日深夜、ハリコフ州のアンモニアパイプラインが爆破され、6月6日、ウクライナ南部のカホフカ・ダムが決壊すると、7日には、ウクライナが各方面で大攻勢に出た。ウクライナの攻撃は、主に夜間に行われる。これは、航空機のないウクライナ軍が、ロシア戦闘機に見つかりにくくするためであり、朝になると、ウクライナ軍は撃退される。
 ウクライナ軍の攻勢が一番激しいところは、オリホフ(オレホボ)から、トクマクに向かう地点であるが、ロシア軍はここに少なくも3重の防衛線を築いている。第一防衛線はRobotyneにあるが、ウクライナ軍はここを越えられない。戦う以前に地雷に触れて、戦闘不能となった戦車も多く、ここで、ドイツが提供した最新鋭の戦車レオパルト2を失っている。
 ウクライナ軍は稚拙な攻撃で多数の犠牲を出し、戦車・装甲車を多数失っている。戦車レオパルト2は提供された100両のうちすでに1割以上失った模様。
 
 ドネツク州でも、ウクライナ軍の攻勢が続いている。ドネツク州西部のVelyka Novosilka付近では、6月4日~6日に、ウクライナ軍の攻撃があったが、すべて撃退されている。6月9日~10日にも、攻撃があった。戦果は今のところ分からない。
 ドネツク州マリンカやAvdiika周辺でも時々衝突があるが、支配地域に大きな変化はない。
 アルティモフスク(バフムト)周辺では、大きな戦闘はない。この地域は、夜間になると、無人の原野にウクライナ軍が数百メートル進軍し、朝になると、ロシア軍に見つかって逃げかえるということが繰り返されている。ときどき、ウクライナ側が、バフムトで何百メートル前進したとの発表をすることがあるが、実際は深夜の無意味な前進を誇張して報道している。
 
 ハリコフ州では、クリャビンスクに向けロシア軍が進軍していた。6月5日深夜、アンモニアパイプラインが爆破されると、ロシア軍の進軍は停止した。その後の状況は不明。
 
 
カホフカ・ダムの決壊
 6月6日、カホフカ・ダムが決壊した。前日深夜の、アンモニアパイプライン爆破に続くものだった。常識的に考えて、アンモニアパイプラインはウクライナ側の仕業だ。
 翌日のダム決壊が決壊すると、ウクライナは上流のダムを一斉に放流し、被害を拡大させた。ダム決壊の原因が爆破ならば、ウクライナの仕業の可能性が高い。ただし、ウクライナが上流のダムを一斉放流して、水位を上げて、決壊させた可能性もある。いずれにしても、ウクライナは、ダム決壊を、翌日の大攻勢に備えた。

ウクライナ軍 大敗北2023年06月12日

ウクライナが大攻勢をかけて、一部勝利しているかのような報道がある。
読売新聞ニュース 2023/06/12 11:23「ウクライナ、反攻後初めて「集落奪還」…ロシア側「幹部」はSNSで撤退明かす」
https://www.yomiuri.co.jp/world/20230612-OYT1T50029/

実際、ウクライナ軍がNeskuchneか、その南に入った時の映像がネット上に投稿されている。(下の写真は動画を切り取ったもの)
 
 
しかし、実際は日本の報道とは異なり、全線にわたってウクライナ軍が大敗北を喫している。

 6月4日、ウクライナ軍は各地で小規模な攻勢をかける。この攻撃は6日までに、すべてロシア軍により排除された。6月5日、6月6日に、アンモニアガスパイプラインが爆破され、へルソン市上流のドニエプル川ダムが決壊すると、ウクライナは、6月7日に大規模攻撃をしかけた。
 
 
 
 6月4日の攻撃には、Velyka Novosilkaが含まれていたが、6月7日の攻撃は、ザポロージェ州のオレホボが進攻の中心になった。オレホボからはトクマクを経由してメリトポリに至ることができるので、トクマク攻略は軍事上に意味深い。しかし、7,8,9日の攻撃では、オレホボのすぐ南のRobotyneにあるロシア軍第一防衛線を突破することができず、多大な損害を出して終わった。西側から供与された最新鋭戦車Leopardも失っている。
 
 6月10日夜になると、ウクライナ軍は、オレホボではなくて、ロシア軍の防衛線が弱いVelyka Novosilkaから南下した。、
 
 Velyka Novosilka及び、南側は右図赤塗部分が20m~50mほど高地になっている。これまで、Velyka Novosilkaはウクライナ支配、Neskuchneはロシア支配だったが、この時、ロシア軍は守りやすい高地に布陣し、Neskuchneはほとんど無人状態だった。ウクライナ軍が進軍すると、Neskuchneに残っていたわずかのロシア軍も高地に移動したため、ウクライナ軍はほとんど戦闘なしにNeskuchneに入り、さらにMakarivkaにも進軍した。
 最初の写真は、この時の映像で、6月11日朝に撮られたものと思われる。
 しかし、日が昇るにつれて、有利な高地に陣取るロシア軍の砲撃により、ウクライナ軍は350人の犠牲を出したとの見方もある(この数字の信憑性は低い)。この後、天候が悪化したため、ロシア軍は高地から下りてこず、Neskuchneを制圧するに至っていない。
 こんなつまらない写真を撮るために、多数のウクライナ兵士を死に至らしめる、ウクライナ軍の戦略は誰がたてているのだろう。ザルジニー総司令官やブダノフ情報局長が総指揮を取りそうなものだが、二人とも現在行方不明。
 
 なお、Velyka Novosilka近辺は、州境であることからも分かるように、へき地であり、軍事上の重要性は低い。ロシアの第一防衛線は、Makarivkaのさらに10㎞以上南にあり、ここを突破されない限り、ロシアの軍事戦略が不利になることはない。


本の紹介―亡国の国賊・安倍晋三2023年06月14日

 
横田一/著『亡国の国賊・安倍晋三』緑風出版 (2022/12)
 
著者は、東工大卒のフリージャーナリスト。
 
 統一協会問題の深刻化により安倍晋三が銃殺されると、統一協会と安倍晋三・自民党政治家の癒着がマスコミの話題になった。
 本書の半分は、統一協会と安倍晋三・自民党政治家の癒着を扱う。井上義行参議院議員が、統一協会会員になっていたことは著者の取材で明らかにされたことで、この時の取材が映像が、テレビ放送された。
 本書では、河野大臣を中心とする対策検討会等にも一層を当てて触れられている。河野大臣に対して、著者は「やっている感演出」との評価を下している。その後の、マイナンバーカードの混乱を見ても、河野太郎は実務能力に乏しい三代目のボンボンのような気がする。
 
 本の後半分はアベノミクスの評価、安倍国葬の評価、安倍友政治の評価、安倍外交の評価が記される。著者は、安倍政治に厳しい評価を下している。アベノミクスは、要するに国債を発行し国民の借金を増やして、円安誘導で、その結果、庶民の賃金は下落、日本の国際競争力は無残に低迷、これが今に見るアベノミクスの惨憺たる結果だ。

本―東アジア宗教のかたち2023年06月15日

 
櫻井義秀/著『東アジア宗教のかたち 比較宗教社会学への招待』法蔵館(2022/6)
 
実地調査による研究成果だとおもう。これだけの本を書くには、相当な努力が必要なのだろうと感じたが、私にはあまり興味のある内容ではなかった。

ゼレンスキーの嘘 いい加減な日本の報道2023年06月17日

 
FNNプライムオンラインに以下の報道がある。
『アフリカ諸国の首脳が訪問中のウクライナの首都・キーウに、弾道ミサイルなどによる攻撃があった。』
https://news.yahoo.co.jp/articles/cb6f6c75d1eff567ccbd8207b290b2cb9a350ecf
 
 これに対して、南アフリカ共和国大統領報道官のビンセント・マグウェニャは、キエフでの爆発を見たり聞いたりしていないとの声明を繰り返した。
https://twitter.com/tretter50001/status/1669779161089540105
 
 日本の報道も、事実を伝えてほしい。

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