ウクライナの反転大攻勢 ― 2023年06月10日
プーチンは、ウクライナが反転攻勢に出たとの認識を示した。
6月4日、ウクライナ軍は、ザポロージェ、ドネツクなど各方面で攻勢に出たが、多くの地点で撃退された。5日、6日も引き続き、類似の攻撃が行われた。
6月5日深夜、ハリコフ州のアンモニアパイプラインが爆破され、6月6日、ウクライナ南部のカホフカ・ダムが決壊すると、7日には、ウクライナが各方面で大攻勢に出た。ウクライナの攻撃は、主に夜間に行われる。これは、航空機のないウクライナ軍が、ロシア戦闘機に見つかりにくくするためであり、朝になると、ウクライナ軍は撃退される。
ウクライナ軍の攻勢が一番激しいところは、オリホフ(オレホボ)から、トクマクに向かう地点であるが、ロシア軍はここに少なくも3重の防衛線を築いている。第一防衛線はRobotyneにあるが、ウクライナ軍はここを越えられない。戦う以前に地雷に触れて、戦闘不能となった戦車も多く、ここで、ドイツが提供した最新鋭の戦車レオパルト2を失っている。
ウクライナ軍は稚拙な攻撃で多数の犠牲を出し、戦車・装甲車を多数失っている。戦車レオパルト2は提供された100両のうちすでに1割以上失った模様。
ドネツク州でも、ウクライナ軍の攻勢が続いている。ドネツク州西部のVelyka Novosilka付近では、6月4日~6日に、ウクライナ軍の攻撃があったが、すべて撃退されている。6月9日~10日にも、攻撃があった。戦果は今のところ分からない。
ドネツク州マリンカやAvdiika周辺でも時々衝突があるが、支配地域に大きな変化はない。
アルティモフスク(バフムト)周辺では、大きな戦闘はない。この地域は、夜間になると、無人の原野にウクライナ軍が数百メートル進軍し、朝になると、ロシア軍に見つかって逃げかえるということが繰り返されている。ときどき、ウクライナ側が、バフムトで何百メートル前進したとの発表をすることがあるが、実際は深夜の無意味な前進を誇張して報道している。
ハリコフ州では、クリャビンスクに向けロシア軍が進軍していた。6月5日深夜、アンモニアパイプラインが爆破されると、ロシア軍の進軍は停止した。その後の状況は不明。
カホフカ・ダムの決壊
6月6日、カホフカ・ダムが決壊した。前日深夜の、アンモニアパイプライン爆破に続くものだった。常識的に考えて、アンモニアパイプラインはウクライナ側の仕業だ。
翌日のダム決壊が決壊すると、ウクライナは上流のダムを一斉に放流し、被害を拡大させた。ダム決壊の原因が爆破ならば、ウクライナの仕業の可能性が高い。ただし、ウクライナが上流のダムを一斉放流して、水位を上げて、決壊させた可能性もある。いずれにしても、ウクライナは、ダム決壊を、翌日の大攻勢に備えた。