ウクライナ軍 大敗北 ― 2023年06月12日
ウクライナが大攻勢をかけて、一部勝利しているかのような報道がある。
読売新聞ニュース 2023/06/12 11:23「ウクライナ、反攻後初めて「集落奪還」…ロシア側「幹部」はSNSで撤退明かす」
https://www.yomiuri.co.jp/world/20230612-OYT1T50029/
実際、ウクライナ軍がNeskuchneか、その南に入った時の映像がネット上に投稿されている。(下の写真は動画を切り取ったもの)
しかし、実際は日本の報道とは異なり、全線にわたってウクライナ軍が大敗北を喫している。
6月4日、ウクライナ軍は各地で小規模な攻勢をかける。この攻撃は6日までに、すべてロシア軍により排除された。6月5日、6月6日に、アンモニアガスパイプラインが爆破され、へルソン市上流のドニエプル川ダムが決壊すると、ウクライナは、6月7日に大規模攻撃をしかけた。
6月4日の攻撃には、Velyka Novosilkaが含まれていたが、6月7日の攻撃は、ザポロージェ州のオレホボが進攻の中心になった。オレホボからはトクマクを経由してメリトポリに至ることができるので、トクマク攻略は軍事上に意味深い。しかし、7,8,9日の攻撃では、オレホボのすぐ南のRobotyneにあるロシア軍第一防衛線を突破することができず、多大な損害を出して終わった。西側から供与された最新鋭戦車Leopardも失っている。
6月10日夜になると、ウクライナ軍は、オレホボではなくて、ロシア軍の防衛線が弱いVelyka Novosilkaから南下した。、
Velyka Novosilka及び、南側は右図赤塗部分が20m~50mほど高地になっている。これまで、Velyka Novosilkaはウクライナ支配、Neskuchneはロシア支配だったが、この時、ロシア軍は守りやすい高地に布陣し、Neskuchneはほとんど無人状態だった。ウクライナ軍が進軍すると、Neskuchneに残っていたわずかのロシア軍も高地に移動したため、ウクライナ軍はほとんど戦闘なしにNeskuchneに入り、さらにMakarivkaにも進軍した。
最初の写真は、この時の映像で、6月11日朝に撮られたものと思われる。
しかし、日が昇るにつれて、有利な高地に陣取るロシア軍の砲撃により、ウクライナ軍は350人の犠牲を出したとの見方もある(この数字の信憑性は低い)。この後、天候が悪化したため、ロシア軍は高地から下りてこず、Neskuchneを制圧するに至っていない。
こんなつまらない写真を撮るために、多数のウクライナ兵士を死に至らしめる、ウクライナ軍の戦略は誰がたてているのだろう。ザルジニー総司令官やブダノフ情報局長が総指揮を取りそうなものだが、二人とも現在行方不明。
なお、Velyka Novosilka近辺は、州境であることからも分かるように、へき地であり、軍事上の重要性は低い。ロシアの第一防衛線は、Makarivkaのさらに10㎞以上南にあり、ここを突破されない限り、ロシアの軍事戦略が不利になることはない。
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