コロナ陽性 ― 2023年07月01日
本の紹介―自民党の統一教会汚染2 ― 2023年07月02日

鈴木エイト/著『自民党の統一教会汚染2 山上徹也からの伝言』小学館 (2023/5)
安倍首相が銃殺され、犯人の動機が、統一協会に対する怨恨であることが知れると、統一教会問題がにわかにマスコミの関心になった。
今から30年ほど前に、霊感商法や合同結婚式で統一協会がバラエティー番組の話題となったことがあったが、その後、統一協会はマスコミの関心事ではなくなった。こうした中、フリージャーナリストのなかでは、唯一、鈴木エイトが統一協会と自民党との癒着関係を取材していた。鈴木エイトの他にも、新聞赤旗や宗教学者などが、記事や論文を書いていたので、統一協会問題が社会から忘れ去られていたわけではないが、ほとんど関心がもたれていなかったことは事実だ。
安倍銃殺以降、統一教会問題がにわかにマスコミの関心になると、鈴木エイトが連日のようにテレビに出演して、統一教会の問題を解説した。
本書第一章は、鈴木エイトが統一協会や自民党との癒着関連を取材するようになったいきさつや、安倍銃殺以降、マスコミに出演した状況などが書かれている。既に知っている内容が多かった。
第二章は、ひろゆき、紀藤弁護士、太田光など、鈴木エイトが出演した番組の出演者等との対談。この部分は、週刊誌等で既出のものが多い。
第三章に、山上徹也から鈴木エイトへのメールの話がある。統一協会の開場予定を聞いただけの事務的な内容で、犯行動機につながるものではなさそうだ。
著者は、テレビ出演が多かったので、本書の内容で重要なことはすでに知っていることが多いように感じる。
本の紹介ーウクライナ戦争をどうみるか ― 2023年07月03日

塩原俊彦/著『ウクライナ戦争をどうみるか:「情報リテラシー」の視点から読み解くロシア・ウクライナの実態』花伝社 (2023/4)
著者は元・朝日新聞モスクワ特派員、元・高知大大学院准教授。ロシア・ウクライナ関係の著者が多い。
ウクライナ戦争に対する日本のマスコミは、ロシア悪者論のもと、ウクライナ・ゼレンスキーなどの情報を真実として報道することが多い。戦争というのは、もともと、謀略戦を含むものだから、両国の情報には虚実が混合している。また、アメリカやイギリスなどウクライナ応援団諸国の報道も嘘が多い。本書では、連日、日本のマスコミが流している、ウクライナの謀略報道に惑わされることなく、事実をつかむことを説明する。
ウクライナ戦争の歴史的経緯を含めたウクライナ戦争の記述が多いが、情報をどのように受け取るのかという点についても書かれている。
本書の章題を記す
第1章 情報リテラシーをめぐる基本構造
第2章 二〇一四年春にはじまった? ウクライナ戦争
第3章 ウクライナ側の情報に頼りすぎるな
第4章 なぜ停戦できないのか
第5章 だまされないための対策
本の紹介ーシニア右翼 ― 2023年07月04日

古谷経衡/著『シニア右翼』中央公論新社 (2023/3)
著者は、右翼の評論家で、右翼放送局チャンネル桜で司会者を務めたことがある。
著者によると、ネット右翼は、若年層ではなく、中高年層が多いとのことだ。実際、ネット右翼による名誉棄損で告訴されるものには、50代以上の中高齢者がいるので、著者の説は正しいのだろう。
著者は、中高年者がネット右翼になる理由を考察している。
ネット右翼の中高年は、ネットが始まったころではなくて、ネットが普及した頃から、ネットを使用している。このため、ネット情報の信憑性を考えることなく、真実だと思い込んでしまう。さらに、戦後民主主義の理解が曖昧であるため、真実を判断する能力に欠ける。ざっくり言うと、このような二つの特徴から、ネット右翼になってしまうというのが著者の見解だ。
ところで、ネット右翼になった中高年は、主に、ネットの動画を見て、ネット右翼になったそうだ。ネットでは、動画の他に静止画や文字情報、場合によってはPDFで論文を閲覧することが可能で、通常、これらのネット情報や、新聞・雑誌・書籍から得た情報で総合的に判断するはずだが、ネット右翼中高年は、ネットの動画を見ただけで、軽率に判断してしまうのだろうか。
この点に関して、著者は以下のように書いているので、ネット右翼中高年は、やはり、ネットの動画を見ただけで、軽率に判断してしまう愚者なのだろう。
こういった手法に引っかかる人は、そもそも「世の中の常識」という部分をきちんと精査して受容していない。自らが受け入れているはずの価値観を自らが能動的に点検し、批判し、整理して分析した結果、真に同意し納得するという手段を踏んでいないから、常に外部からの「本当の真実しという甘言による「一撃」で瓦解する。彼らにとっての戦後民主主義も、実のところこのように「脆くて、よわよわとした」土台の上にあったに過ぎないので、すぐに価値観がひっくり返されてしまうのである。(P180)一方、ネット右翼中高年は大卒者が多いとの話もある。ネット右翼中高年が軽率に判断する愚者であるなら、大卒の愚者ということだろうか。この本を読んでいて、どういう中高年がネット右翼になり、どういう中高年がならないのか、その違いは何か。そういうところが分からなかった。
ウクライナ虚偽報道 ― 2023年07月09日
NHKニュース 2023年7月9日 に以下の記事がある。
ウクライナ軍 バフムトで前進か 専門家“反転攻勢はこれから”
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230709/k10014122841000.html
5月20日、ウクライナの重要拠点だったバフムトが陥落すると、ウクライナの敗北を糊塗するため、ウクライナ、イギリス、アメリカは、再三にわたって『バフムトで前進』との虚偽報道をしてきた。実際は、ほとんどの場合、ウクライナ軍が無人地を数キロ進軍し、何の成果もなく元に戻ることを、繰り返していたにすぎない。
ウクライナ、イギリス、アメリカによる虚偽報道の特徴は、バフムト方面のどこであるのかを具体的に示さないことである。
ウクライナが進軍している、バフムト(アルチェモフスク)近辺は、図の青矢印の3か所。灰色マル印の地点も、攻撃することもあるらしい。バフムト(アルチェモフスク)周辺でロシア軍が駐屯している場所は赤丸。ウクライナ軍は青丸に駐屯している。
①は貯水池の南の荒地で、ウクライナは5月中旬から再三、ここに進軍している。夜間や雨天の時はBerkhivka村に進軍することがあるが、青破線を超えると、たちどころにロシアに追い返される。また、6月下旬にYahidneに進軍したことがあった。ここは、ロシア軍が駐屯しているため、ウクライナ軍はほぼ全滅した。
②は畑や荒れ地で両軍ともに支配していない。5月下旬以降、ウクライナ軍が時々進出したり、撤退したりしている。
②③のロシア駐屯地Kishciivka、Kurdyumivkaを、7月以降、ウクライナ軍が積極的に攻撃するようになった。これまで、ロシア軍はすべての攻撃を排除しており、今のところウクライナ軍は成功していない。ただし、ChasivYarに2万~3万のウクライナ兵士が駐屯しているとのうわさがあるので、もし、うわさどおりに大軍があって、②③の地域を総攻撃するならば、ロシア軍は、今後、この地域を放棄する可能性があるかもしれない。
本-ウクライナ紛争 歴史は繰り返す ― 2023年07月11日

馬渕睦夫/著『ウクライナ紛争 歴史は繰り返す 戦争と革命を仕組んだのは誰だ』WAC新書(2022/4)
著者は2005年から2008年まで、駐ウクライナ大使を務めた元外交官。
序章の中に、オレンジ革命以降のウクライナの歴史を俯瞰し、ウクライナ紛争の原因を究明している。ただし、ウクライナ紛争の記述は全体の中で多くはない。
以下に目次を記す。
序章:「ディープステートの大戦略」プーチンを悪者にした戦争仕掛人
第1部:ウィルソン大統領時代のアメリカ」アメリカはなぜ日本を「敵国」としたのか
第2部:「支那事変」の真実」アメリカはなぜ日本より中国を支援したのか
第3部:「ルーズベルト大統領時代のアメリカ」アメリカはなぜ日本に戦争を仕掛けたのか
最終章 「これからの日米関係」「グローバリズム」は21世紀の「国際主義」である
本ー“歪んだ法”に壊される日本 ― 2023年07月17日

郷原信郎/著『”歪んだ法”に壊される日本 事件・事故の裏側にある「闇」』KADOKAWA (2023/3)
特に興味ある内容ではなかったので、読んだことを忘れないようにタイトルのみ記載します。
本の紹介―欧米の謀略を打ち破り よみがえるロシア帝国 ― 2023年07月18日

副島 ブチャの市民はロシア軍から受け取っていたということですね。医療セットとか。
佐藤 そう。たとえば、人道物資を受け取った人間が見せしめ的にやられたと、見た瞬間思いました。根拠も証拠もありません。しかし、見た瞬間、私はそう感じたのです。

本の紹介ーウクライナ戦争の嘘 ― 2023年07月19日

手嶋龍一、佐藤優/著『ウクライナ戦争の嘘-米露中北の打算・野望・本音』 (中公新書ラクレ) (2023/6/8)
手嶋龍一は元・NHKワシントン支局長、佐藤優は元・外務省主任分析官で駐ロシア大使館勤務の経験がある。
本書は、二人の対談で、主に国際政治の観点から、ウクライナ・ロシア戦争を説明する。この問題に対する、専門知識が豊富な二人の対談なので、客観的事実を語る部分が多く、好感が持てる。ただし、戦況予測など、突っ込んだ話はない。
日本のマスコミでは、ウクライナ側の謀略宣伝の垂れ流し、アメリカ・イギリスのプロパガンダ、識者のいいかげんな解説が報道されていた。もっとも、2023年6月に、ウクライナが大反攻を行い、大敗北を喫している状況が明らかになると、多少は、事実も伝えられるようになっている。
アメリカの情報がプロパガンダになっているのは、ネオコンのケーガン夫人が主宰する戦争研究所の情報を使うためである。
かつて、イギリスからの国際情勢に関する情報は、かなり正確なことが多かった。大英帝国時代からの人脈がものを言っていると思っていた。ところが、今回のウクライナ戦争では、イギリスからの情報劣化が著しい。
本書、P94~P100にこの理由が記されている。少し長くなるが、一部抜粋する。
日本の専門家の解説はひどいものだ。ロシア・ウクライナ問題の知識は乏しいが、日本政府の方針に都合の良い解説をする人をテレビ局が呼んでいるためだと思う。本書、P138,P139には、以下のように記載されている。佐藤 ウクライナ戦争をめぐるインテリジェンスに関して、私が最も驚き、危惧しているのは、実はイギリスなんです。今回のウクライナの戦いで、世界中のメディアが情報源として頼り切っているのは、アメリカの戦争研究所と英国防省です。いまはアメリカの戦争研究所以上に前のめりになっているのがイギリスです。英国防省とM16(秘密情報部)が毎週やっているブリーフィングは、メディアを介して戦局を左右するほどの影響力を持っています。…
しかも、その中身は、正義はゼレンスキーに、不正義はプーチンにという"二項対立"のイデオロギーをベースにした大本営発表です。…
世界に冠たる英国秘密情報部の様子が今回は実におかしい。ひとことで言えば、「インテリジェンス」と「プロパガンダ」が一体になってしまっている。
手嶋 この二つが一つになってしまえば、情報活動そのものが成立しません。秘密の情報活動で得た貴重なインテリジェンスを国家の舵取りに資するのではなく、相手国を惑わしたり、誘導したりする手段に使うのは邪道といわざるをえませんね。
佐藤 伝統あるインテリジェンス大国のイギリスでは、情報と宣伝は峻別されてきました。ですから、様々な戦争のさなかでも、BBCはおおむね公正な報道を行ってきました。にもかかわらず、今回のウクライナ報道では、明らかに当局の情報操作が入っていて、冷静な分析には役立ちません。
昨年、ある雑誌の鼎談でエマニュエル・トッド氏に会ったのですが、彼も英国防省の発表のほとんどは根拠に乏しいプロパガンダだと断じていました。
…
佐藤 トッド氏は、BBCもさることながら、高級紙「ガーディアン」の報道がひどくなっているとショックを受けているようでした。そこに反映されているのは、エリートが劣化したイギリスの危機なのだ、と。
手嶋 英国エリート層の劣化は、情報活動の在り方にも大きな影響を与えていますが、どうしてこんなことが起きてしまったのでしょう。
佐藤 トッド氏にいわせれば、「長い目で見れば、まさにサッチャi改革の]つの帰結ではないか」と。サッチャーの時代、すべての価値判断を市場に委ねかねない新自由主義の流れが、イギリスに一気に流れ込んできた。そうした環境下で高等教育を受けた人たちが、社会の第一線に立つようになった。…
分かりやすく言えば、すべてを金に還元することはできない、というヨーロッパ的なエリート主義の崩壊です。…ところが、アメリカとの違いがなくなって、結局ゲームに勝利したものが総取りしてかまわないという社会になってしまった。大げさではなく、イギリスからヨーロッパ的価値観が消えつつあるのです。
佐藤 でも日本の現状を見ていると、プラモデルが好きで軍事評論家になったひと、アゼルバイジャンの地域研究者で、ロシアやウクライナを専門としない学者、極秘の公電に接触できない防衛研究所の研究者の論評が大半で、後世の評価に耐えるものは極めて少ないですね。「プラモデルが好きで軍事評論家になった」のは東大・小泉悠先生。「アゼルバイジャンの地域研究者で、ロシアやウクライナを専門としない学者」は慶応大学・廣瀬陽子先生。廣瀬先生は静岡大学准教授時代には、アゼルバイジャン民俗の優れた論文を書いていたと思うが、慶応に来てからどうしたのだろう。
手嶋 その結果、ロシアがウクライナに侵攻した際には、驚くべきことが起こりました。欧米でも日本でも、「プーチンはほとんど狂っている」「病気でまともな判断ができなくなっている」という観測がメディアでまことしやかに流されたのです。
佐藤 「狂っている」というのは、分析の放棄以外の何ものでもありません。
それから、本書にはないが、東野篤子・中村逸郎の二人の筑波大学の先生もテレビで解説している。かつて、筑波大学学長は、統一教会・勝共連合の中心人物の一人だったので、統一教会の息がかかっているのならば、プロパガンダになるのは当然だろう。
以下に目次を記す。
第1章 アメリカはウクライナ戦争の“管理人”
第2章 ロシアが侵攻に踏み切った真の理由
第3章 ウクライナという国 ゼレンスキーという人物
第4章 プーチン大統領はご乱心なのか
第5章 ロシアが核を使うとき
第6章 ウクライナ戦争と連動する台湾危機
第7章 戦争終結の処方箋 日本のなすべきこと