本の紹介―第三次世界大戦はもう始まっている2023年09月12日

 
エマニュエル・トッド/著、大野舞/訳『第三次世界大戦はもう始まっている』(2022/6)文春新書
 
著者はフランスの歴史学者
 
 日本のテレビ、新聞における、ウクライナ・ロシア戦争の報道は、ウクライナの謀略情報や、アメリカの謀略機関・戦争研究所からの情報を垂れ流しにしている。このため、ウクライナが圧倒的善戦しているかのような、虚偽報道がなされている。戦争の原因も、善悪二元論に固執し、一方的にロシアが悪く、ゼレンスキーが絶対善であるかのような間違った報道がなされている。
 本書は、客観的立場にたって、戦争の原因を解明するもの。NATOの責任を指摘する部分が多い。また、ウクライナ・ネオナチの記述もあるが、多くはない。ウクライナ政府による、ドンバス地域のロシア系住民弾圧の話はほとんどない。また、本書は、戦争開始後の早い時期に書かれたものなので、その後の、戦争の推移に関する記述はない。
 現在、世界はロシア批判の西側諸国と、それに同調しないBRICS・アフリカ諸国に分かれている。著者は、これを、核家族・個人主義社会と、家父長的・権威主義的社会に分ける。日本とドイツは本来は家父長的社会だったが、敗戦により、個人主義社会に変貌させられた社会である。著者は人類学者であるため、このような視点を持つに至ったのだろう。興味が持てる見解だ。

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