本の紹介-検証 ナチスは「良いこと」もしたのか? ― 2023年11月27日

小野寺拓也、田野大輔/著『検証 ナチスは「良いこと」もしたのか?』(岩波ブックレット)(2023/7)
ヒットラーが何をしたかといえば、夜寝て、起きて、クソをして、などなどがあっただろう。こんなことは、良くも悪くもない。蜘蛛の糸のカンダタも、一つだけよいことをしたのだから、ヒットラーも良いことをしているに違いない。しかし、こんなつまらないことで、本が出版されることはないだろう。
本書が出版された背景には、ネット上で、ナチス政策の一部が、一部の人に役に立ったことを以て、ナチスも悪くなかったとする言説があるためである。高校世界史を普通に学べば、このような考えに陥るはずはないが、昨今は、勉強しなかった人も、ネットでいい加減なことを言い、それに同調する人も多い。
本書では、ネットで言及されることが多い、以下の8項目について、ナチスは悪であるか、または、前政権の政策を踏襲したに過ぎないことを説明している。
「ナチズムとは?」「ヒトラーはいかにして権力を握ったのか?」「ドイツ人は熱狂的にナチ体制を支持していたのか?」「経済回復はナチスのおかげ?」「ナチスは労働者の味方だったのか?」「手厚い家族支援?」「先進的な環境保護政策?」「健康帝国ナチス?」