本の紹介-パスカル「パンセ」 「考える」ことが、すべてだ ― 2024年07月18日

鹿島茂/著『パスカル「パンセ」 「考える」ことが、すべてだ』NHK100分de名著 NHK出版(2012.6)
今から数十年前、中学生のときに、パンセの翻訳本を読んだ。特にこの本を読みたかったわけではなくて、単に、学校の図書館にあった思想系の本で、一番、分厚かった本を読んでみた。書かれた内容はあまり理解もできなかったし、あまり共感できなかったが、人の心を探求することは、おもしろそうだと思った。自分の人生を振り返ると、斜に構えた人生を送ってきたが、人の道に反することもなく、いかがわしい新興宗教に嵌ることもなく、普通の人生を歩んだと思う。パンセに教えられた「心について考える」ということが、自分の基本にあったため、道を誤らないで済んだのかもしれない。もっとも、パンセはキリスト教に基づいており、私の考えは、仏教に基づいているので、私の人生の中で、パンセがそれほど大きな影響を持っていたわけではない。
パンセは、パスカルが考えた人の心に関するいろいろなことが、寄せ集め的に書かれている。本書では、パンセのいくつかの文章を取り上げて、パンセの雰囲気を説明するものだけれど、薄い本なので、パンセの全貌がわかるものではない。パンセに興味のある人は、全訳を手に取ってみると良いだろう。半分くらい読むと、飽きてくるかもしれない。