本の紹介-戦争ミュージアム ― 2024年08月22日

梯久美子 (著)『戦争ミュージアム─記憶の回路をつなぐ』 (岩波新書) 2024/7
本書の内容は悪いとは思わないけれど、なんとなく突っ込み不足の感がした。最近の岩波新書はこのようなのが多いともいえるのだけれど。
取り上げている記念館は以下の14か所。
大久野島毒ガス資料館(広島県)
予科練平和記念館(千葉県)
戦没画学生慰霊美術館 無言館(長野県)
周南市回天記念館(山口県)
対馬丸記念館(沖縄県)
象山地下壕(松代大本営地下壕)(長野県)
東京大空襲・戦災資料センター(東京都)
八重山平和祈念館(沖縄県)
原爆の図丸木美術館(埼玉県)
長崎原爆資料館(長崎県)
稚内市樺太記念館(北海道)
満蒙開拓平和記念館(長野県)
舞鶴引揚記念館(京都府)
都立第五福竜丸展示館(東京都)
内容の多くは、戦争中の日本人の苦労話。戦争中、日本人が苦労したことや、日本軍国主義のために苦労させられたことは事実なので、そういう記述があるのは問題ない。私は、取り上げられている施設のうち7か所を見学したことがあるが、多くは、このようなニュアンスの解説だったので、本書もそれを踏襲しているのだろう。
このため、本書を読むよりも、実際の展示館を見学した方が良いし、それならば、本書を読む必要はないと感じた。
稚内市樺太記念館の章は、真岡郵電局で自殺した9人の乙女の話があるが、ここは、電信課の職員は自殺したものの、郵便課の職員に自殺者はいなかったことが知られている。戦後80年近くたつのだから、単純に気の毒と考えることのほかに、なぜ、不必要な自殺をしなくてはならなかったのかを考える思考能力があった方が良いと思う。
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