本の紹介-プーチン戦争の論理2025年01月29日

 
下斗米伸夫/著『プーチン戦争の論理』(2022/10)インターナショナル新書
 
 ロシア関連地域の政治史が専門の下斗米伸夫・法政大学名誉教授によるロシア・ウクライナ戦争の解説。戦争開始後8か月で出版された本なので、その後の戦争の経緯や、国際社会のかかわりなどは記述がない。
 著者はロシアによる侵攻には批判的であるが、単にロシア悪者論で思考停止することなく、本書はこの戦争を理解するために、ウクライナ現代政治史、ロシア現代政治史のほか、ロシア史の観点を含めて、総合的に戦争を俯瞰しており、好感が持てる。
 戦争開始当時、テレビには廣瀬陽子先生をはじめ、ロシア・ウクライナ政治にはあまり詳しいとは思えない人たちが、ロシア悪者論の一方的言説を流していたけれど、そのような解説に比べて、本書の著者はロシア及び関連地域政治史の専門家だけって、客観的で冷静な判断になっている。ウクライナにはバンデラ・ステツコらによるナチス協力の歴史があり、この関係でプーチンの主張の中にはウクライナ・ネオナチ問題がある。本書はウクライナの歴史に関する記述が薄いため、ネオナチ問題理解には不足を感じる。

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