本の紹介ー法句経講義 ― 2025年07月12日
友松円諦/著『法句経講義』(昭和43年11月)(角川文庫)
本書は、大正時代に著者がラジオ放送で行った講義を、昭和9年に書籍化して出版された本が元になっている。昭和30年6月に文庫本で出版され、昭和43年に、新字・新かな使いに改定された。現在、角川文庫の本は絶版になっているが、1981年に、講談社学術文庫から出版されている。
法句経はダンマパダと言って、初期仏教に属する教典で、日本の各宗派では重要視されてこなかったが、南伝仏教では重要な教典。
本書は、法句経の訳本ではなくて、教典のうちの15の句を取り上げて、それに解説する形で、釈迦の仏教はどういうものだったのかを説明し、さらに、著者の人生観・仏教観を語っている。戦前の日本人の解説のためか、若干、儒教臭を感じるところがある。日本の仏教は釈迦の教えとは異なる大乗仏教なので、ラジオ放送当時は、日本の仏教が釈迦の教えであると勘違いしていた日本人に、新たな視点を与えた点で、重要な放送だった。