ポクロフスク(クラスノアルメスク)解放2025年12月02日

ポクロフスクはドネツク市北西部にある交通の要衝。1年以上前から、ここの攻防が焦点だった。
2025年12月1日、ロシア軍はポクロフスク市を完全制圧し戦闘を終結させた。ネット上には、Pokrovsʹka Misʹka Rada(ポクロフスク市役所)付近を自由に歩き回るロシア兵の動画が多数投稿されている。
ただし、ポクロフスクの隣市ディミトロフ北部には、いまだに、包囲されたウクライナ兵が立てこもっている。これらのウクライナ兵が安全に脱出する可能性はない。11月上旬、ウクライナ軍は悪名高きアゾフ連隊の兵士十数名を包囲地に入れた。一般ウクライナ兵がロシア軍に投降あるいは逃亡しそうになった時に、背後から射殺するための人員と思われる。このため、ディミトロフ市解放はもう少し時間が必要だ。

本の紹介-バガヴァッド・ギーター2025年12月07日

 
佐藤裕之/訳『バガヴァッド・ギーター ヒンドゥー教の聖典』角川 (2022/12)
 
先日、プーチン大統領がインドを訪問した。この時、モディ首相はプーチンにバガヴァッド・ギーターのロシア語訳本をプレゼントした。バガヴァッド・ギーターはヒンズー教のもっとも有名な聖典。王家の後継者争いに発する戦争の時、王子アルジュナは敵軍に親戚がいたため戦争をためらったが、ビシュヌ神の化身であるクリシュナが躊躇するアルジュナに戦うことを薦めた物語。この中で、クリシュナへの信仰やヒンズー教の道徳を説いている。
本書は、バガヴァッド・ギーターの日本語訳。最近の出版だけあって、文章は読みやすい。

ロシア軍、全線で攻勢2025年12月08日

 全線にわたって、ロシア軍の攻勢が続いている。


 上の図は、ウクライナ側のDeepStateによる数値を使って作成した、月ごとのロシア軍が解放した面積の増加量。ウクライナ側データを使用しているため、ロシア軍支配面積を過小評価する傾向がある。
 2025年9月、10月の解放面積増加量が低下している。この時期はドネツク州ポクロフスク、ハリコフ州クピャンスク、ドネツク州シベルスクなど都市の解放が焦点だった。このため解放面積的には低下しているものの、戦略上の重要性は大きい。
 ただし、ウクライナ側のDeepStateによる数値には問題があって、9月、10月が少なすぎる。


 上の図は、ロシア側の数値を使って作成したもの。(ロシア側の誰の数値だったか忘れた)。2025年9月、10月の解放面積が異なる。最近はドローン戦なので、接触線の概念が曖昧になり、解放面積が見方によって異なっているため、ウクライナ側の数値は小さくなっている。さらに、ウクライナ側情報は、10月のシベルスク戦線の状況が分からなかったようで、ウクライナ側情報では10月に少なく計上し、その分を11月に振り替えた模様。


本の紹介―イスラエルの起源 ロシア・ユダヤ人が作った国2025年12月09日

 
鶴見太郎/著『イスラエルの起源 ロシア・ユダヤ人が作った国』 講談社 (2020/11)
 
 著者は東大准教授で、ロシア・ユダヤ史、シオニズム、イスラエル・パレスチナ紛争などが専門。
 著者は、最近、中公新書から『ユダヤ人の歴史』、岩波新書から『シオニズム』を上梓している。本書は講談社選書で、新書に比べて学術的な内容のため、読むのが面倒に感じた章もあった。
 第一次大戦前、ユダヤ人口が多かったのは、現在のポーランド・ウクライナ・ロシアと、当時のロシア帝国内だった。イスラエルの建国やシオニズムなど、イスラエルの好戦的姿勢には、これら旧ロシア帝国内ユダヤ人ポグロムが関与しているのだろう。この点、ユダヤ人は気の毒ではあるが、自分たちが残虐行為を受けたからといって、無関係なアラブ人に残虐となって良いとの理屈は成り立たない。イスラエルの残虐性の原因がどこにあるのか、本書を読んでも、良く分からなかった。
 ところで、旧ロシア帝国内にユダヤ人が多かった原因として、本書では、ドイツからの移住者を理由に挙げている。南ウクライナのユダヤ人は、トルコ系ハザール人起源とする説もあったが、これだとイスラエル建国の根拠がなくなるので、この説はイスラエルが否定している。本書で触れられていないところを見ると、科学的に否定されているのだろうか。

ポクロフスク(クラスノアルメスク)解放2025年12月09日

 
ポクロフスクはドネツク市北西部にある交通の要衝。1年以上前から、ここの攻防が焦点だった。
2025年12月1日、ロシア軍はポクロフスク市を完全制圧し戦闘を終結させた。
 
ポクロフスク市(ロシア名:Krasnoarmiisk)の東隣にRovnoe村を挟んで、ディミトロフ市(ウクライナ名:Myrnohrad)がある。Rovnoe村はすでに解放されているが、ディミトロフ市には、ウクライナ兵がいまだに立てこもっている。その数、数百名とも言われているが、詳細不明。補給はドローン以外は絶たれているので、掃討は時間の問題。立てこもりウクライナ兵は投降すれば命は助かるが、ウクライナ軍は投降を禁止しているので、運よく投降できた者や、逃亡できた者以外は、戦死しかないだろう。
 
上図左は、11月30日の両軍支配地域。オレンジがロシア軍支配、水色がウクライナ軍支配地域。白は交戦地。
上図右は、12月8日の両軍支配地域。いずれも、Divgenによるもの。

本ー占領下の日本 カラーフィルム写真集2025年12月10日

  
衣川太一/著『占領下の日本 カラーフィルム写真集』草思社 (2025/9)

コダックのカラーリバーサルフィルムで撮った占領下の日本の写真。著者が、買い求めたものを写真集にしている。写っているものには、あまり興味はなかったのだけれど、鮮やかな色が残っているので驚いた。

シヴェルシク解放2025年12月11日

 タイトルは、急ぎすぎ。実際にはシヴェルシク全域の解放は完了していない。
 シヴェルシクはドネツク州北部の市でドネツクの北90㎞に位置する。ここは、ウクライナ軍のドネツク州北部地域最前線の防衛拠点となっていた。シヴェルシクの北には広大なセレブリャンカ森林地帯が広がり、東にはビロホリフカ白亜地帯があるため、これまで、難攻不落を誇っていた。今秋、ロシア軍はシヴェルシクへの攻撃を活発化させ、11月下旬には東部に侵入、ついに、都市全体を解放した。ただし、西部・北部の畑地域はいまだにウクライナ軍が立てこもっているので、市全域の解放には至っていない。ただし、ウクライナ軍の組織的抵抗は終焉し、ウクライナ兵への補給もドローンを中心としたものに限られているので、ウクライナ軍の破滅は時間の問題。

このほか、全線に渡って、ロシア軍による積極的攻撃が続いている。

ポクロフスク(クラスノアルメスク)・ディミトロフ(ミルノグラード):
 すでに、ポクロフスク市を解放したロシア軍は東隣のディミトロフ市のウクライナ兵を完全に包囲し、南・東の両方面から圧力を加え、ウクライナ軍は北部に立てこもるのみとなっている。ウクライナ軍の組織的抵抗は終焉し、今月に入って、包囲環を脱出したウクライナ兵は僅かだが、いまだに数百名が包囲されている模様。ただし、ウクライナ国防相シルスキーは、ポクロフスクの一部を奪回したと虚偽報告をしており、また、包囲されているウクライナ兵の投降を禁止している。
 注:ポクロフスクはウクライナ名で、クラスノアルメスクはロシア名。ディミトロフはロシア名で、ミルノグラードはウクライナ名。GoogleMapでは、Pokrovskとディミトロフとなっている。

コンスタンチノフカ:
 コンスタンチノフカはポクロフスクの北東45㎞の都市。ポクロフスク戦線で包囲が完了するにつれて、コンスタンチノフカでもロシア軍の攻勢が活発化している。南部地域をロシア軍が解放した模様。また、中部の鉄道駅付近は交戦地となっている。

Huliaipole:
 Huliaipoleはザポロージェ州東部の市。10月ごろから、Huliaipoleの東側地域でロシア軍の進軍が激しかった。今では、市東部の一部をロシア軍が支配している模様。ただし、ロシア軍はHaichur川を渡ってはいないようで、Huliaipole市解放はまだ先のことだろう。

オレホボ:
 ザポロージェ州最大のウクライナ軍拠点。この市にロシア軍の侵攻は今のところないが、東側のMala Tokmachkaの大部分と、南側の
Novodanylivkaの一部はロシア軍が支配しているので、Huliaipoleが解放されると、オレホボへの圧力が高まるだろう。

クピャンスク:
 クピャンスクはハリコフ州東部の市。11月20日、ロシア軍はクピャンスクの解放を宣言した。その後、市内の敗残ウクライナ兵や周辺地域の掃討が進んでいるが、緩慢。
 変わって、ロシア軍はハリコフ州北部のボルチャンスクを解放した。ボルチャンスクからクピャンスクに至る東側の広大な地域には、ウクライナ軍の抵抗拠点がないので、この地域の解放は容易だ。この地域に、戦略的意義はあまりないと思えるが、停戦交渉の材料を狙っている可能性もある。

ドニエプロペトロフスク州:
 ポクロフスコエ方面への進軍が盛ん。

へルソン州方面:
 目立った戦闘はない。ドニエプロ川の左岸と右岸で支配地域が分かれている。

セヴェレスク(シヴェルシク)解放2025年12月12日

セヴェレスクの解放がプーチン大統領に報告された。
プーチン大統領は軍の成果を称賛した。

本の紹介ー仏教の思想 5 絶対の真理<天台>2025年12月14日

 
田村芳朗、梅原猛/著『仏教の思想 5 絶対の真理<天台>』(1996/6)角川ソフィア文庫
 
本書は1970年ごろ角川書店から単行本として出版された仏教講座の文庫版。
インド仏教4巻、中国仏教4巻、日本仏教4巻の計12巻のうちの第5巻で、中国天台宗の解説。
新しい本ではないが、仏教思想を理解する上で、最適な12冊だと思う。
 
 本書は3部に別れ、第1部は天台教学者・田村芳朗による天台教学の説明で、本の半分程度を占める。天台教学側の世界観を示すことを目的としているのだろうが、天台教学から見た世界観ではなくて、もう少し、普通の立場で天台教学を俯瞰するような書き方をしてくれた方が理解しやすかったように感じた。
 第3部は哲学者・梅原猛による法華経を中心とした解説で、中国天台宗にとどまらずインド仏教から最澄の天台宗までを説明していて、一般読者にも分かりやすい記述になっている。
 第2部は、田村芳朗と梅原猛の対談。天台教学・智顗について、簡潔に理解できる内容になっており、読みやすい。

本の紹介-シオニズム2025年12月23日

 
鶴見太郎/著『シオニズム─イスラエルと現代世界』岩波新書 (2025/11)
 
 著者は東大准教授で、ロシア・ユダヤ史、シオニズム、イスラエル・パレスチナ紛争などが専門の歴史学者。本書の他にも、ユダヤの歴史を扱った新書には、以下の本があり、こちらの方がより多く読まれているようだ。
 
 ユダヤ人の歴史(2025/1)中公新書
 
 本書は、シオニズムの解説であるが、ロシア帝国のユダヤ人近代史やポグロムの歴史から解き明かし、現代のシオニズムについて説明している。記述の内容や歴史の流れの解説など、基礎知識がない者にとっても、わかりやすい。
 
 第二次大戦期のユダヤ人虐殺ではナチスドイツの犯行とされているが、本書では、別の始点に注目している。P106に以下の記述がある。
「ホロコーストの主戦場が東欧で合った事実は今一度正確に認識されなければならない。…ドイツ単独で多数のユダヤ人を連行することは不可能だった。…現地民主導でホロコーストというよりポグロムが繰り返された例も、今日では多く紹介されている。」
 なお、現在、ウクライナ政権が称賛しているバンデラ・ステツコ主義者は、ウクライナでホロコーストに直接協力した人たちだった。

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