北海道大学 数学入試問題2017年03月02日

ここは、例年難しことはない。今年も、とりつきやすかったと思う。ただし、複素平面の問3は北大にしては難しかった。
  
北海道大学 理系 問3
  
(解答例 作図省略)
  
外心とは外接円の中心のことだから次式が成り立つ。
|z|=|z-α|=|z-β|
z=αβにより、次式が成り立つ。
|1-α|=|α|   |1-β|=|β|
  
1)
 |1-α|=|α| を図示すればよい。x=1/2の直線です。
  
2)
 1)から、α=1/2+ai β=1/2+bi とする。このとき、z=αβ=(1/4)-ab + (1/2)(a+b)i
 ここで、z=x+iyと書く。
  x=(1/4)-ab y=(1/2)(a+b) となる異なるa,bが実数の範囲で存在するための条件は次式である。
 y^2+(x-1/4)>0  <==  これを図示すればよい。(横倒れの放物線の片側です)

大阪大学・理系 数学入試問題2017年03月01日

 この大学は、例年難しい問題が出題される。本質的に難しいというよりも、出題者の意図の読み取りが難しいなど好ましくない問題も多い。今年も、そんな感じの出題だった。
 出題5問のうち、問3、問4が鬼門だ。問3は出題者の意図が読み取れるかどうかがポイント。問4は問題文に引きずられないで、問題の本質が見抜けたかどうかがポイント。もっとも、問題文の通りに解いても、計算力があるならば十分正解にたどり着く。
  
問3
  
この問題は(1)が(2)のヒントになっていることは気づくだろう。どう使えばよいのか、出題者の意図が読み取れるかどうかがこの問題のポイント。出題者の意図が読み取れるかどうかは数学の能力と無関係なので、こういう問題は出題しないでほしい。
  
解答例  
  
(1)容易なので省略
  
(2)元の不等式と(1)の不等式をかけ合わせて、次の不等式を得る。(ここに気が付くかどうかがポイント)
  |a^2-7b^2|<12/b^2
 √7は無理数だから、a^2-7b^2≠0 なので、|a^2-7b^2|≧1
  よって、12/b^2>1
   これを満たすb≧2の自然数はb=2,3である。
 この中で、元不等式を満たす値は a=8,b=3 のみである。
  
  
問4
  
この問題をそのまま解くと、計算量が多くて大変。でも、ちょっと考えてみると、f(x)=-x^2+bx+cと書いた時のb,cはどうでもよくて、要するにf(x)は2次の係数が-1の2次式であるということです。
  
解答例
  
(1)このまま解いてもよいけれど、
 f(x)=-x^2+ax+(d-4a)
 と書くと、f(4)=-16+d となって、aが消えるので、少し計算量が減る。
  0≦f(1)≦2 、5≦f(3)≦6  から次の④つの式が成り立つ。
 ①-3a+d-1≧0  ②-3a+d-3≦0  ③-a+d-14≧0  ④-a+d-15≦0 
  結局dの最小値はd=39/2(a=11/2)  最大値はd=22(a=7) である。
 すなわち、7/2≦f(4)≦6
  
(2)このまま解くと計算が多くて面倒なので、
 f(x)=-(x-p)^2+q 
 と書いて、qの範囲を求めると計算量が少なくて済む。
  p^2-2p+1≦q≦p^2-2p+3     p^2-6p+14≦q≦p^2-6p+15
  で囲まれた部分で、p=3のときq=5、p=7/2のときq=25/4となるので、
  5≦q≦25/4 
  
(3)f(X)=-X^2+6 (X=x-p)と考えると容易。
 答えはS=8√6

      
注 (2)はf(x)=-(x-p-2)^2+qと置くと、
(p+1)^2≦q≦(p+1)^2+1,(p-1)^2+5≦q≦(p-1)^2+6
となるので、このほうが見通しが良い。

京都大学・理系 数学入試問題2017年02月28日

   
京大・理系の数学入試問題は時々とてつもなく難しい問題やひねった問題が出題される。今年はそういうことはなく、普通にまじめに受験勉強に取り組んでいれば、解きやすかったと思う。問5などは、計算が若干ごちゃごちゃするので、まじめに受験勉強をしていなければ、正解にたどり着かなかったかもしれないが、京大受験生でまじめに受験勉強をしていなかった生徒はいないかな。
   
ところで、東大・理系の問1は三角関数の関数の形の出題だったが、三角関数にする意味があるの疑問に感じた。京大・理系の問3も問題に三角関数が現れているが、意味があるのか疑問だ。
   
京大・理系 問3   
 
   
解答例
 最初にtanβ≠1、すなわちq≠1とする。
 この時、tan(α+2β)の展開をすることにより次式を得る。
 (q^2-1+2pq)/(pq^2-p-2q)=2
  2p-1=5q/(q^2-q-1)  ここで、qは自然数だからq^2-q-1≠0を使った。
  2p-1≧1であるから、5q/(q^2-q-1)≧1
 すなわち、q^2-6q-1≦0
  これを満たす自然数qは2,3,4,5,6である。
 このなかで、pが自然数となるものはq=3で、このときp=2。
   
 tanβ=1とすると、β=π/4+nπ (nは整数) となるので、
 tan(α+2β)=tan(α+π/2)=-1/tanα=-p<0 となって、tan(α+2β)=2に反する。
   
 以上より、求める解は p=2,q=3 。
   
   
京大・理系 問6
   
 確率の問題は漸化式を立てるものが多い。これもその一つ。他大学だと標準的な問題だが、京大としてはやや易しい問題になるだろう。
   
解答例:
 カードは1,2,3,4,5なので、Xを3で割った余りが1,2の確率は等しい。
 このため、Xを3で割った余りが0の確率をa(n)とすると、余りが1,2の確率はそえぞれ、(1/2)(1-a(n))となる。
 よって、a(n)にたいして、次の漸化式が成り立つ。
 a(n+1)=(1/5)a(n)+(2/5)(1-a(n))=(-1/5)a(n)+(2/5)
  a(1)=1/5であるから、結局、
 a(n)=(2/3)(-1/5)^n+(1/3)



東京大学・理系 数学入試問題2017年02月27日

 ここは、例年、計算量も多く内容も高度。しかし、今年は易しい。本当に東大の問題なのだろうかと首をかしげてしまう。特に、問4は、なんで、こんな易しい問題出したのだろう、出題者の意図がわからない。東大・理系の数学入試問題問4は次の問題です。

  
  
  
 p,1/pなどが出てくるので、ひねった問題なのかと思ったら、そういうことはなくてとても易しい問題。出題者はいったい何を考えてこの問題を出したのだろう。
  
以下、解答です。
  
p=2+√5  -1/p=2-√5 なので、
a(n)=(2+√5)^n + (2-√5)^n
  
1)a1=4  a2=18   問題にはないけれどa3=38*2
  
2)α=2+√5 β=2-√5 とすると、α+β=4  αβ=-1 なので、
 a(n+1)-4a(n)-a(n-1)=0   よって、a(1)a(n)=a(n+1)-a(n-1)
  
3)a(n+1)=4a(n)+a(n-1)とa1,a2が自然数であることから、数学的帰納法によりa(n+1)は自然数。
  
注意)(2+√5)^nを展開して得られる√5の奇数乗と、(2-√5)^nを展開して得られる-√5の奇数乗はプラスマイナスでゼロになる。このため、anは√5の偶数乗および2のべき乗の輪になる。よって、a(n)は自然数である。

4)答えは2  
 証明は、a(n+1)=4a(n)+a(n-1)を使って、数学的帰納法を使う。
  
 こんな感じ。a(n),a(n-1)の最大公約数が2であるとする。a(n+1)が2の倍数であることは明らか。
  a(n),a(n+1)の最大公約数が2rとすると、a(n-1)=-4a(n)+a(n+1)も2rの倍数となる。a(n),a(n-1)の最大公約数が2であるので、r=1。


本の紹介―「南京事件」を調査せよ2017年02月26日

 
清水潔/著『「南京事件」を調査せよ』 文藝春秋 (2016/8)
 
 1970年代に、南京大虐殺は無かったとする主張があった。南京大虐殺論争に歴史学者が加わると、南京大虐殺は無かったとする主張は、歴史学研究のレベルに達していないことが明らかにされ、完全に破綻したようだった。しかし、その後、南京大虐殺の被害者数はずっと少ないというような主張が現れた。 どの範囲で起こったことを「南京大虐殺」というべきであるのかは、人のよって違うし、人数を正確に特定できるはずもないので、確定的な犠牲者数が研究者によって異なるのは当然のことだ。
 
「南京大虐殺は無かった」「被害者は少ない」との主張をする人は、神主・漫画家・作家・右翼機関紙編集者などが多く、「南京大虐殺はあった」とする人は、歴史学者(有名大学教授)・大手新聞の記者などが多かった。最近は、南京大虐殺否定派に、学者(大学教授)が加わり、否定派の元気がいいようだ。ただし、大虐殺肯定派の学者は有名大学教授なのに対して、大虐殺否定派はどうしようもない低能学生が行く大学の教授であることが多い。学者の学説と、学生の偏差値は本来無関係なはずだが、明確な相関があるようで不思議だ。
 
 南京大虐殺の被害者数は、南京の範囲や大虐殺の期間を短くすれば、いくらでも少なく見せかけることが可能だ。最近、良く聞く「南京大虐殺の被害者は少ない」との主張は、このようにして行われている。言葉の定義は、自分に都合よくすれば、どうとでもなるので、このような主張が誤りであるとは言えない。しかし、そうすると、日本軍は、「南京大虐殺」「南京郊外大虐殺」「南京周辺地域大虐殺」と、いくつもの大虐殺犯罪をしたことになり、それぞれに対して、日本政府や天皇は何度も謝罪が必要になるだろう。
 
 本書は、日本テレビで放送された番組のための取材記で、事件当時、実際に従軍していた兵士の陣中日記などの一次資料を基に、南京大虐殺の実態を明らかにしている。事件当時書かれた日記類を基にしているので信憑性が高い内容になっている。
 ただし、南京事件の犠牲者数など南京事件の全体像を明らかにすることを目的としたものではなく、あくまでも、入手した一次資料を基に南京事件の一部を解明したもの。
 
 ところで、南京事件をねつ造だと叫ぶ右翼勢力の中には、兵士の陣中日記がペン書きであることをもって捏造されたものであると主張する者がいる。このような右翼の間抜けた考えでは、従軍中の筆記用具は鉛筆でなくてはならないということのようだ。無知無能な右翼が、非常識なことを考えるのは仕方のないことであるが、日中戦争関連の陣中日記は古本屋で容易に入手できるので、そういうものを調べれば、多くはペン書きであって、鉛筆書きでないことなどすぐにわかるはずだ。陣中日記がペン書きである点について、本書でも触れられ、当時万年筆が一般に使われていたことを示して、間抜けな右翼の妄想を一蹴している(P88)。

早稲田大学・理工関連学部の入試問題2017年02月23日

 早稲田の理工の数学入試問題は、例年オーソドックスな問題であることが多く、まじめに参考書・問題集を勉強していれば難しいことはない。今年の数学は5問あった。問1~問4は例年通りの問題で、特に難しいことはないだろう。
 でも、問5は癖があって、かなり苦戦した受験生も多かったと思う。何年かに一度、難しい問題が出るので、早稲田の理工は注意が必要だ。
  
以下、早稲田大学・理工関連学部数学入試問題・問5の問題と解答例を示す。
 
  
問題
 
 解答例
   
(1)  
f(x)=0の実数解の一つをαとする。
題意から0,-1は解ではないので、α≠0,α≠-1。
このとき、g(α)=-1/(α+1),g(g(α))=-(1+1/α)はf(x)=0の解である。
ここで、α=g(α) あるいは α=g(g(α)) あるいは g(α)=g(g(α))とすると、α^2+α+1=0となって、αが実数であることに反する。 
よって、α、-1/(α+1)、-(1+1/α) はf(x)=0の異なる3つの解である。
ところで、f(x)の3次係数と2次係数はともに1であるから、次式が成り立つ。
α+g(α)+g(g(α))=-1 
変形して次式となる。
α^3+α^2-2α-1=0
αはf(x)=0の任意の実数解なので、別の解をβ、γとしたときは、次式が成り立つ。
β^3+β^2-2β-1=0 、 γ^3+γ^2-2γ-1=0
結局、p=-2,q=-1となる。
  
(2)
f(-2)<0,f(-1)>0,f(1)<0,f(2)>0であるから、f(x)=0の解は-2と2の間に3つある。
  
(3)
x=2cosθと書く。
2cos2θ=x^2-2   2cos3θ=x^3-3x となる。
ここで、x^3+x^2-2x-1=0であるから、
 x^2-2 = -1/(1+x)
 x^3-3x = -(1+1/x)
  注)x^3+x^2-2x-1=0⇒(x-1)(x^3+x^2-2x-1)=0
        ⇒x^4-3x^2=-(x+1)⇒x^3-3x = -(1+1/x)
となる。ただし、ここで、x≠0,x≠-1を使った。
よって、2cos2θ、2cos3θは解である。  
  
(4)
2cosθが解の時、(3)より、f(x)=0の相異なる3つの解は、次の3つとなる。
2cosθ、2cos2θ、2cos3θ
ところで、2cos2θは解であるから、2cos2θ、2cos4θ、2cos6θも相異なる3つの解である。
よって、cosθ=cos4θまたはcosθ=cos6θが成り立つ。
すなわち、θ=(2/3)nπ、(2/5)nπ、(2/7)nπ (nは整数)となる。
θ=(2/3)nπのときは、2cos3θ=±2となって、解として不適。
θ=(2/5)nπとする。2cos2θ、2cos4θ、2cos6θは相異なる3つの解なので、
cos{(8/5)nπ}≠cos{(12/5)nπ}となる必要があるが、そうではないので、θ=(2/5)nπは解として不適。
結局、解はθ=(2/7)π 、(4/7)π 、(6/7)π である。これは、すべて題意を満たす。(ここは、もう少し詳しく書くべきです)

児童ポルノって何だろう2017年02月22日

  
 法律によると、児童の性行為等を扱ったもののほかに、次のものが児童ポルノとされている。
「衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの」
 普通の大人ならば、児童の裸体を見ても「性欲を興奮・刺激」されることはないだろうから、どういう意味なのか分からない。この条文は、変態・ロリコン人間向けの話なのだろうか。
  
 川口市立図書館で閲覧できる本の中に、下記の写真があった。(早川タダノリ/著 『「愛国」の技法』青弓社 )。これは、昭和17年頃撮影された、新潟県・市之瀬国民学校の授業風景で初出は当時のアサヒグラフのようだ。
  
 上の写真では、「はずかしそうに乳房を露出している少女の写真」と見る人もあるだろう。この写真は右側が少しカットされているが、(アサヒグラフわれらが100年 1968.9.)の写真には、他にも乳房を露出した女子児童が写っている。以下に、右下部分を掲載する。雑誌の見開き2ページにわたっているので、ページの継ぎ目のスキャンがうまくできなかった。後ろの女児は堂々と乳房をさらけ出していて、恥じらいは感じられない。
  
  
 アサヒグラフにはもう一枚同じような写真がある。この写真は(宮崎鏡/著『少女愛』作品社)にも掲載されていて、この本も川口市立図書館でだれでも閲覧できる。この写真も市之瀬国民学校の授業(勤労奉仕)風景のようだ。
  
  
 下の写真は、写真週報・第180号(昭和16年8月6日)に掲載されていたもので、当時の国民学校の乾布摩擦の様子。写真週報は国立公文書館・アジア歴史資料センターで公開されているので、だれでも閲覧可能。
https://www.jacar.go.jp/shuhou/shiryo.html
  
  
 公立図書館や国立公文書館でだれでも閲覧できる写真が違法な児童ポルノのはずはない。小6女児が乳房をさらけ出している写真は児童ポルノには該当しないのだろうか。それとも、古い写真だと児童ポルノではないのだろうか。
  
 児童ポルノの問題はさておき、戦時中はおかしな教育が行われていたものだ。どういう理由で少女に乳房を露出させるのだろう。そういうことが好きな校長が「天子様のからだです、大事にします鍛えます」と言わせて女児を裸にしていたのだろうか。


本の紹介―「愛国」の技法2017年02月21日

 
早川タダノリ/著 『「愛国」の技法』(2014.1)青弓社
 
 戦争中のポスターやチラシなどを左側ページに紹介し、右側ページにその解説を書いている。こういうスタイルなので読みやすい。
 戦争中のポスターのいくつかは、佐倉の国立歴史民俗博物館にも展示されており、見たことのある人も多いだろう。本書では、かなりの枚数を紹介しているので、ざっと見ただけでも面白い。
 本書の解説は、戦争中の日本の愛国心を揶揄するもの。解説を読まず、写真を見るだけでも、著者の意図は明快だ。もっとも、普通に思考力のある人ならば、国立歴史民俗博物館に展示されているポスターを見ただけでも、同様の感想を持つだろう。

本の紹介―日本会議と神社本庁2017年02月19日

 
『週刊金曜日』成澤宗男/編著 『日本会議と神社本庁』金曜日 (2016/6)
 
 菅野完/著『日本会議の研究』では、日本会議と生長の家・元活動家の関係がクローズアップされている。日本会議の活動を理解するうえで、成長の家活動家の関係は重要であるが、新興宗教の一つの力で、日本会議が政権に影響力をもつにいたったわけではない。日本会議の中心には神社本庁があって、神道政治連盟と自民党議員との結びつきが強い。
 
 本書は、日本会議の中心勢力として、神社本庁に焦点を当てている。
 
 現在、日本会議が政権に深く影響力を持つに至った理由を理解するためには、菅野完/著『日本会議の研究』と本書の両方を読むとよいだろう。

本の紹介―日本会議の研究2017年02月14日

 
菅野完/著『日本会議の研究』 2016/4 扶桑社 (扶桑社新書)
 
 日本会議の解説本として有名。この本のおかげで、日本会議の存在を知った人も多いだろう。日本会議を理解するために、第一に読むべき本であることは間違いない。
 川口市立図書館には蔵書が4冊あるが、現在予約33件待ち。この調子だと、予約しても手元に届くのは数か月後になるだろう。大変よく読まれている本だ。
 
 本の内容は日本会議が現政権に深く入り込んでいること、日本会議の運動と成果、日本会議の出自 等をわかりやすく説明している。日本会議について多岐に渡った解説であり、あまり知られていないことも多く、詳細かつ専門的内容ではあるが、事前の知識がない人でも十分に読みやすい記述になっている。本書が出版されると、その後、日本会議を取り扱った書籍がいくつも出版されるようになった。このような他書と比べても、本書は読みやすい方だ。
  
 著者は、膨大な公開文書を調べることにより、日本会議に新興宗教「生長の家」関係者が深く関与している事実を明らかにしている。日本会議を担っている人は、生長の家関係者だけではなく、神社本庁や念法真教のような右翼的新興宗教も関係が深いが、本書では、生長の家関係者の関与がクローズアップされている。
 
 本書の記述が名誉棄損しているとの理由で、生長の家・千葉県教区教化部長だった人等から出版差し止めの仮処分申請が出され、東京地裁は記述の1か所が名誉を棄損しているとして出版差し止めの仮処分を出した。このため、現在売られている本は、この部分2行が墨塗り状態となっている。
 墨塗り部分の記述の内容はおおよそこんな感じ。
 ①安藤巌は生長の家関連雑誌の売り上げ向上の努力をした。②このためサラ金に借金をしてまでして購入する者もあった。③当時サラ金は社会問題になっていた。④自殺者も現れるほどだった。⑤しかし、安藤巌はこのようなことに馬耳東風だった。
 「自殺者も現れるほど」というのは当時のサラ金一般のことを言っているのだろうが、安藤巌がサラ金自殺に追い込んだとも読めるとの主張もある。著者が読みやすい記述を心掛けたため記述が不正確になって、そこを狙われたと思える。

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