本の紹介-なぜ日本は原発を止められないのか?2024年01月18日

 
青木美希/著『なぜ日本は原発を止められないのか?』(文春新書) (2023/11) 
 
 日本の原発に対して警鐘を鳴らす本で、原発政策に対する、一般向けの啓蒙書。本の内容は、反原発の立場で、普通に書かれた本で、特に問題となるような記述はないように感じる。
 
 著者は朝日新聞社の社員。記者時代に、福島原発の手抜き除染に関する記事など、原発に否定的な論調の記事を書いたため、記事を書くことができない広報部員に左遷されたとの情報がある。 
 本書のあとがきが面白い。著者は、出版に際して新聞社に出版申請をしたところ、新聞社は出版を認めないとの処分を下した。さらに、新聞社は「本社の報道・取材領域にかかわる取材・執筆・出版」に関する社外活動に対して「編集部の確認(監修)」が必要との命令を下した。これでは、上層部の意向に反する情報を社会に提供することが不可能になり、記者としては自殺行為だ。
 このような経緯があって、著者は、社名を出さずに、個人として行った私的利益を目的としない行為として、新聞社と無関係に本書を出版した。
  
 朝日新聞社は政府の意向を忖度して、政権に都合の良い報道をする、御用新聞になり下がったのだろうか。私は、近年の朝日新聞の記事はひどすぎると感じていたが、本書のあとがきを読むと、朝日新聞に、日ごろ感じていたことが正しかったと得心した。

本の紹介-アフガニスタンの素顔 「文明の十字路」の肖像2024年01月11日

 
青木健太/著『アフガニスタンの素顔 「文明の十字路」の肖像』光文社 (2023/7)
 
 2021年8月、アフガニスタンに軍事介入していた米軍が撤退すると、アフガニスタンンの親米政権は、一日で崩壊し、反米のタリバンが政権を奪取した。
 本書は、この時以降のタリバン政権下のアフガニスタンの情勢についての記載がメイン。このほか、王政崩壊後のアフガニスタン現代史にも触れられている。

東京国立博物館2024年01月03日

  
 東京国立博物館は、1月2日から開館しています。
 正月の企画として、本館前で、太い腿むき出し女の和太鼓演奏があった。外国人観光客も多い中、日本の正月文化を見せようとの配慮かもしれないが、女が太い腿を、むき出しにするのは、日本の伝統ではない。

謹賀新年2024年01月01日

  
あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願い申し上げます。

本-ネット右翼になった父2023年12月28日

  
鈴木大介/著『ネット右翼になった父』講談社現代新書 (2023/1)
 
久しぶりにつまらない本を読んだ。
 タイトルからして、高齢者がネット右翼になってゆく原因を探るものかと思ったら、違った。本書は、ネット右翼になった父親の死後、父親の過去を知ることにより、父親が右翼でも、保守でもなかったとの結論に至る話。
 「ネット右翼」と言われている人には、ネット上で右翼思想を語る人から、単なるヘイトスピーチまで、さまざまなタイプがある。著者の父親は、高邁な右翼思想の持ち主ではなかったことが分かったので、ネット右翼ではなかったと結論付けている。しかし、下劣なヘイトスピーチに至った理由を解明しようとしていない。要するに、著者は、ネット右翼の定義を適当にごまかすことにより、自分の父親はその定義に当てはまらないのでネット右翼ではない、だから正しかったと、主張したいようだ。しかし、事実として、ヘイトスピーチだったのだから、著者の父親が、最低最悪で下劣なヘイトスピーチ型ネット右翼ではなかったのかとの疑問は払拭されていない。
 
 ところで、本当に著者はジャーナリストかと疑問に思う記述がある。
 著者の父親は朝鮮人蔑視を口にしていたそうだ。その原因として、大阪での保険の仕事で、部落解放同盟関係の朝鮮人との軋轢があって、それが原因で朝鮮人ヘイトを言っていたと考えている。もしそうだとしたら、彼の父親は、本当の大バカ者でしょう。部落解放同盟は日本人部落民の組織であって、関係者に朝鮮人がいたとしても、部落幹部の意向で行動している可能性が高いので、軋轢の本質は日本人部落民のはずだ。そんなことがわからないほどの、無知だったのか。それから、仕事をする中で、朝鮮人と軋轢があったとしても、朝鮮人と軋轢が無かったことも、日本人と軋轢があったことも、いろいろな経験があるだろう。それにもかかわらず、日本人ヘイトではなく、朝鮮人ヘイトになるところに、ネット右翼の特徴があるはずだ。本書では、このような見地からの考察がなく、冷静なジャーナリストの記述とは思えない。
 
 心の底に劣等感を抱えた人の中には、ネット右翼になる人や、おかしな新興宗教・セミナーに、はまる人がいる。ネット右翼・新興宗教・セミナーは冷静に見たら、実にケッタイナ思想であって、とても信じるに足るものではない。しかし、劣等感を抱えた人がこのような思想に触れ、それを受け入れると、自分だけが素晴らしいことを知っているとの自己陶酔にひたり、かつて自分を追い抜いた多くの人に対して知的優位に立ったように感じる。こうして、ネット右翼になる人もいる。
 著者の父親が、どのような理由で、ヘイトスピーチ型ネット右翼になったのかわからないが、本書によると、高校時代は、進学校にもかかわらず勉強に取り組むことはせず、就職後も、出世コースを外れた人のようだ。このため、自分の人生に何らかの劣等感があって、ネット右翼のデタラメ主張を真に受けて、自分だけが素晴らしいことを知っているとの自己陶酔にひたっていた人である可能性は否定できないように感じた。

本の紹介-ぼくはウーバーで捻挫し、山でシカと闘い、水俣で泣いた2023年12月25日

 
斎藤幸平/著『ぼくはウーバーで捻挫し、山でシカと闘い、水俣で泣いた』KADOKAWA (2022/11)
 
 哲学者で東大准教授の斎藤幸平氏のエッセー集。おおむね9ページ弱の24項に渡る。
 著者は、哲学者といっても、マルクス主義研究者なので、こもって考えているだけではなく、人々の生活の場に入っていくことが研究スタイルなのだろうか。本書は、著者の色々な行動が記されている。
 しかし、24項目もあるので、各項の記述は少なく、著者の人柄はわかるとしても、それ以上のものは、私には良く分からなかった。

雁 鳴き渡る 北の空 今夜 今頃 戦地では2023年12月24日


一昨日、冬至の日、埼玉県戸田市の荒川堤防ではダイヤモンド富士がみられました。写真は、日没直後。

冬至2023年12月23日

 
12月22日は冬至でした。
写真は、埼玉県戸田市の荒川堤防で撮ったのダイヤモンド富士。ここでは、冬至の日にダイヤモンド富士がみられます。

本の紹介-ALPS水・海洋排水の12のウソ2023年12月21日

 
烏賀陽弘道/著『ALPS水・海洋排水の12のウソ』三和書籍 (2023/11)
 
 福島第一原発事故による放射能汚染水は、ALPSで処理した後、敷地内タンクに貯蔵されていたが、2023年以降、付近の海に排出されている。ALPSの処理能力では放射能汚染水のトリチウム(三重水素)を除去できない。他の核種は除去できるものの、完全ということはない。しかし、日本政府は排出する放射能汚染水処理水を法規制の範囲内に薄めることにより、安全であると説明している。安全性の根拠に、IAEAのお墨付きが使われることもある。法律に適合しているとか、国際機関の了解があるなどは、権威主義的根拠ではあるが、科学的根拠ではないにもかかわらず、科学的見地から安全性に疑問を呈する見解に対しては、政府・マスコミ揚げて、非科学的であると罵倒することになっている。
 本書は、事実と科学的根拠に基づいて、日本政府・東電による放射能汚染水処理水排出の安全性の説明に異議を唱えるもの。放射線科学や原子炉工学に関する大学学部程度の知識があるならば、本書の指摘は当然のことと理解できるものだ。本書の記述は文章が平易であるため、基礎知識がなくても、多くの人は容易に理解できるだろう。
 各章のタイトルは以下の通り。

1 国内問題だった放射性物質汚染を国際問題に拡大した
2 「海洋排水しか処理方法はない」
3 「タンクの置き場はもうない」
4 「ALPS水排水は被災地の復興に必要だ」
5 「ALPS水の海洋排水は廃炉を進めるために必要だ」
6 「ALPS水を海洋排水すればタンクはなくなる」
7 「風評被害をなくすことが必要だ」
8 「ALPS水に放射性物質はトリチウムしか残っていない」
9 「福島第一のような原発からの海洋排水は世界中でやっている」
10 「日本政府の基準を満たしているから安全だ」
11 「希釈して排水するから安全だ」
12 「環境への影響は長期的に見ても無視できる」
 

 放射線の人体への影響は「確定的影響」と「確率的影響」がある。前者は閾値があるので、法規制の範囲内に薄めれば安全と言える。この場合、考慮すべき物理量はBq/Lである。しかし、「確率的影響」には閾値がないと考えられており、また、放射性ヨウ素などは生物濃縮があるため、長期間に蓄積された量が重要となり、この影響を考慮すべき物理量はBq/Lではなく、むしろmolだ。放射能汚染水処理水の大量排出では、残留放射性物質濃度を見ただけでは、危険性の理解にはならない。
 本書、第8章「ALPS水に放射性物質はトリチウムしか残っていない」では、トリチウム以外の放射性核種の問題を取り上げる。これこそ、濃度ではなく総量を問題にすべき話であるが、本書の記述では、この点は明確ではない。また、原発事故ではヨウ素129,ヨウ素131が最大の問題になる。現在、海洋排出で一番問題とすべきはヨウ素129だろう。本書では、ウランやプルトニウムなど重い核種が検出限界以下でも、非存在でないことを問題としているが、それほど重要な問題なのか、疑問に感じた。
 
 ところで、放射性物質の安全基準と言うと、知識のない人は「安全な基準」と誤解するだろう。
 放射能の影響には、やけどなどの確定的影響と、ガンなどの確率的影響がある。確定的影響には、これより少なければ安全と考えられる閾値があるが、確率的影響には閾値はないと考えられている。このため、確率的影響が完全に安全な基準はゼロ以外にはありえない。しかし、これでは、原子力産業が成り立たず、電力会社の利益が出ないので、経済合理性の範囲で定められたものが、、安全基準である。平たく言えば、多少、他人が死んでも、国が栄えて、電力会社が儲かれる方が良いと思える基準が、安全基準ということだ。より分かりやすく言うと、安全な基準ではなくて、我慢基準であると、大学の一般教養の労働衛生の講義で、習ったことがある。
 東電の小早川社長とは入学年次は違うが、同じ大学なので、小早川社長も必修科目だった労働衛生の単位は取ったことだろう。放射能の安全基準の本質についての基礎知識があった上で、海洋放出を決断したのだろうか。学生のとき、勉学をサボっていたため、知識がないから、安易に海洋放出を決断したのだろうか。

東大寺の日2023年12月19日

 毎年、12月16日は、奈良・東大寺の日として、幾つかの秘仏の公開がある。このうち、最大の目玉は三月堂の執金剛神像。8時半受付開始、9時半公開開始なので、8時半より少し前に行ったら、9時半に見ることができた。お昼ごろには、入館を待つ人の長蛇の列(写真)。

 
 
 このほか、開山堂・俊乗堂も公開される。俊乗堂に行列はなかった(写真)。



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