福島原発事故から5年2016年06月14日

 
 浪江町は放射線が低いところもあるのに、町のほとんどが一般立ち入り禁止となっていたため、復興は手付かずだった。もう少し立ち入り規制を緩和して復興を加速化したほうが良いように思っていたが、補助金の関係もあったのだろう。
 原発事故から5年たった2016年4月1日から、浪江町の立ち入り規制が緩和された。
 
 浪江町請戸地区の空間放射線量は0.059μGy/hを示していた。事故前と同じ。それなのに、これまで立ち入りが原則禁止されていたため、まったく復興がなされておらず、津波被害の建物がそのまま放置されている。(写真)
 
 浪江町請戸地区のほか、原発被災地のいくつかの写真を以下に掲載しました。
 http://cccpcamera.photo-web.cc/GENPATSU/FUKUSHIMAA/index.htm

個人番号カード2016年06月13日

 先日、東海原研に入門した時、身分証明書の提示を求められたので、個人番号カードを見せたら、守衛さんに初めてみたと言われた。交付は、まだあまり進んでいないのだろう。
 原子力関係施設に入る時は、公式身分証明書の提示が求められる。日本人の場合、公式身分証明書として認められるのは「運転免許証」「パスポート」「写真入り住基カード」「個人番号カード」。

甲状腺がん-チェルノブイリと福島2016年03月21日

 
本の紹介  岩波「世界」2016年3月号
 
 チェルノブイリ原発事故では事故後5年後に甲状腺がんが発生したとの都市伝説がある。福島では、事故後3年から小児甲状腺がんが激増している。福島大学医療関係者や放射線医療専門家の中には、チェルノブイリの都市伝説に基づいて、事故後5年しないうちの甲状腺がんは原発の影響ではないとの主張が見受けられる。
  
 岩波「世界」2016年3月号には、ロシア研究者・尾松亮氏の論文「チェルノブイリ被災国の知見は生かされているか」が掲載されている。尾松氏は2011年のロシア政府報告書内容を紹介することにより、チェルノブイリ原発事故では事故の翌年から小児甲状腺がんが増大していると説明している。
 
 現在、福島で激増している小児甲状腺がんの原因は、普通の頭で考えたら、原発事故の初期に放射性ヨウ素に被爆したことが原因と思うでしょう。原発事故当時、浪江町民は、汚染が激しい津島に数日滞在したし、飯館村では数か月とどまったのだから。

福島第一原発2015年10月26日

 
福島県富岡町の麓山から福島第一原発が見えます。除染作業中のようで、登山道がブルドーザー道になっていました。一部、斬り払われているところがあって、福島第一原発が良く見えます。ただし遠いので双眼鏡があった方が良い。
 
右側4号機の手前に見えるのはタンクでしょうか。3号機はみえない。
 
麓山頂上からは福島第二原発が見えます。

福島第一原発2015年05月11日

  
常磐道が全通し、国道6号が通行解除になったので、両道を走ってみた。
なお、両道とも、4輪自動車のみ通行可能で駐停車禁止。
  
  
  
常磐道で、一番高い空間線量の数値は5.6μSv/h。車内で図ったら1.6μSv/hだった。
  

  
  
国道6号には線量計がなかったので、車内で測定すると、5.52μSv/h。常磐道よりも、国道6号のほうがずっと高いようだ。
  
国道6号から原発は見えないが、双葉町と大熊町の境界付近から、排気塔が見える。
  
  
  
国道6号は通行できるが、帰還困難地域と浪江町の側道に入ることはできない。写真は大熊町付近。家の入口にもバリケードが作られている。
  

『放射線量』の考え方と使い方2014年06月26日


『わかりやすい 放射線物理学』多田順一郎/著 (1997/12)オーム社

に、『放射線量』の考え方と使い方について、分かりやすく書かれている。

放射線の量とは
 放射線は、人の五感によって捉えることができません。これは、私達の感覚が、磁場の存在を直接感知できないことと類似した状況です。もちろん、鉄粉やコイルを利用すれば、私達は、鉄粉が磁場から受ける力やコイルに誘導される電流を介して、磁場の状態を知ることができます。同様に、放射線を物質に作用させることによって、そこに生じる相互作用の種類と強さとから、放射線場の状態を間接的に知ることが可能なはずです。ここにいう放射線場の状態とは;
  ①どういう粒子(光子を含む)からなる放射線が、
  ②どういうエネルギー分布と、
  ③どういう方向分布を持って、
  ④単位時間にどれだけやって来ているか、
  ⑤さらに、①~④が時間的にどのように変化するか、
という状態を意味します。もし、ある空間領域内の任意の場所で、これらすべての量に関する情報が明らかであれば、我々は、その領域における放射線場の状態を完全に把握していると主張することができます。しかし、ある放射線場を表すのに、これら無数の情報を列挙することは、場が特別な対称性を持つ場合のような少数の例を除いてほとんど不可能でしょう。実用的な見地からすると、上に述べた複雑な放射線場の情報を、何かある一つの数値で代表させることができれば、大変に便利なはずです。私達が放射線場を記述するために用いるさまざまな"線量"は、こうした観点から、膨大な放射線場のパラメータを、一つの数値に集約させたものです。もちろん、この集約の方法は無数に考えられますから、私達の周りには、その目的に応じた方法で情報を集約したさまざまな"線量"(照射線量・カーマ・吸収線量など)が、共存する結果となりました。したがって、私達は、個々の"線量"が;
  ①どのような目的のために、
  ②どのような方法で放射線場の情報を集約し、
  ③結果として、放射線場のどのような特徴を記述する量になっている
かを、十分理解した上で、的確に区別して使用しなければなりません。(P173、P174)

計測線量
 計測線量(dosimetricquantity)は、放射線場の情報を一つの値に集約した俗に"線量"と呼ばれる量のうち、物理量であるものに相当します。放射線場とそれが相互作用する物体とに関するさまざまな情報をただ一つの数値に集約させる方法は無数にあり、それに対応して数多くの計測線量が考案されてきました。しかし、そのいずれの計測線量もある特定の事象に着目してつくられたものですから、その適用範囲は自ずから限定され、すべての現象について放射線の種類も物質の種類も問わず、同一の線量が同一の効果を表すような"万能の線量"などというものは存在するはずがありません。(P187)

線量当量
 放射線の単位と計測に関する国際委員会(ICRU)は、1962年に、放射線の種類の違いによる人体影響の相違を考慮した放射線防護のために用いる線量に、線量当量(H)という名称を与えました。その定義は、1986年若干の変更を加えられて、今日では以下のように規定されています。
 H=D・Q
 人体組織の吸収線量(D)に乗じられる線質係数は、上に示すように荷電粒子の水中における衝突阻止能の関数として与えられますが、"荷電粒子の水中における衝突阻止能"を測定その他の方法で決定することは容易ではありませんから、α粒子・重荷電粒子および速中性子(熱外中性子以上のエネルギーを持つものをすべて含む)に関しては20、陽子・中間子およびミューオンに関しては10、熱中性子に関しては4.6、そして光子や電子・陽電子に関しては1という実効値(Q)が便宜的に用いられています。
 線質係数には次元がありませんから、線量当量は吸収線量と同じ(J/kg)というSI単位を持ちます。そこで、吸収線量と区別するためシーベルト(Sv)という特別の名称が与えられています。
 線量当量を用いるときに注意すべきことは、線量当量が放射線による晩発障害(発がんや白内障、遺伝的影響等)のリスクを記述するための量であるという点です。したがって、放射線治療における投与線量を表すために用いることはもちろん、大量の線量を高い線量率で被曝したときに発生する急性障害(消化管障害・増血機能障害・皮膚障害など)のリスクを記述するために用いることも適切ではありません。また、線質係数を乗じた量であるという意味で、線量当量を含むすべての"放射線防護のための線量"は物理量ではなく、数値的な厳密さを追求すべきものではありません。(P207、P208)

放射線、被曝に関する用語の説明2014年06月10日

 1か月ほど前、フィクションマンガ「美味しんぼ」のなかで、福島原発事故放射能で鼻血が出たとの件に関して、各方面で、批判があった。被曝が唯一の原因で鼻血が出るのは、もっとずっと多い線量なので、被曝が鼻血の原因ではないかのような、むちゃくちゃな見解も多かった。
 X線CTによる被ばくをSvで表すと、福島原発事故での被ばくをSvで表した値よりも多くても、鼻血は出ないので、福島原発事故が原因で、鼻血はでないとの見解があったのには、大きな違和感を感じた。
 Svとは、放射線防護の指針のために使う被曝線量であって、目的によって、等価線量・実効線量・線量等量など、幾つかの量がある。Svで表された量であっても、どれをどのような目的で比較するのかを明確にしない限り、意味のある比較はできない。たとえば、肺胞の病気を診断するためのX線撮影では、たとえ、表面照射量をSvで表した値が大きくても、骨髄内の造血細胞への影響は少ないだろう。

 放射線と被曝に関する概念が、世の中一般では、あまり理解されぬまま、勝手なデタラメ議論が行われているような気がしたので、放射線と被曝に関する、いくつかの概念をまとめてみた。

http://cccpcamera.photo-web.cc/GENPATSU/HousyasenSetsumei/index.htm

ビッグコミックスピリッツ2014年05月19日

 
 「美味しんぼ」に、議論を起こすような内容があることを期待して買ったのだけど、当たり前すぎる内容。
 マンガ買ったのなんて、何十年ぶりかな。マンガって、好きではないです。
 
 福島原発事故後、鼻血が出た人が、有意に多かったとの調査があるので、福島原発事故が原因の鼻血があったことは、間違いない事実だ。鼻血の原因が被曝であるかどうかは、今のところ分からない。
 
 低線量被曝では血小板減少は起こらないとか、X線を鼻の粘膜に当てても、鼻血は出ないとか言う人もいる。もし、それが事実だとしても、全身低線量被曝し、かつ、鼻粘膜に放射性物質が微量に沈着したケースで、鼻血発生率がゼロであることを調査したことがなければ、鼻血の原因が被曝でないと決め付けることは、早計だ。

放射性物質対策に関する不安の声について2014年05月13日

環境省は5月13日付で、福島原発事故後の鼻血に対する見解を示した。
http://www.env.go.jp/chemi/rhm/info_1405-1.html
 
【放射線被ばくと確定的影響の1つとされる疲労感、鼻血といった症状との関係について】(一部省略)
 ○東京電力福島第一原子力発電所の事故の放射線被ばくが原因で、住民に鼻血が多発しているとは考えられません。
 ○国連公表によれば、住民への健康影響について、「確定的影響は認められない」とされています。
 
 
 さすが、官僚の見解だけあってすばらしい作文で、まったく同感です。たしかに、「原発事故の放射線が原因で住民に鼻血が多発しているとは考えられない」けれど、
 ○原発事故が原因で、住民に鼻血が多発した可能性がある。
 ○原発事故の放射線が原因で、住民に鼻血が発生した可能性は、今のところ、完全には否定できない。
 ○国連は、住民への健康影響について、確率的影響がないとは言っていない。
  
 
小泉進次郎:
 マンガ「美味しんぼ」の鼻血騒ぎに関連して、小泉進次郎復興政務官は、「私はあれだけ福島に行っているが、鼻血を流したこともない。行くたびに元気になって帰ってくる」と発言したそうだ。
 アジテーションがうまい人ですね。でも、ちょっと考えてみれば、小泉発言は「おれは真冬に裸でも風邪ひとつひいたことないぞ」と言っている熱血漢と同類の発言で、安全性の説明には、まったく、なっていないですね。(2014/5/14 追記)

福島原発事故が原因で鼻血・・・あたりまえでしょう2014年05月12日

福島原発事故が原因で鼻血:
 
 マンガ「美味しんぼ」のなかで、福島原発事故後に、鼻血が出る人がいるとの描写があるとかで、これを批判している人たちがいるようだ。でもね、福島原発事故が原因で鼻血が出た人がいること自体、不思議でもなんでもないことです。福島では、まだ寒い時期に、長期間、避難所生活を余儀なくされたのだから、血圧が上がった人も多かっただろう。血圧が上がると、鼻血が出る人は、珍しくはない。また、避難を余儀なくされた人の中には、鼻血の原因は、直接被爆ではないのかと心配した人も多かったと思います。
 福島原発事故が原因で鼻血が出た人がいたことや、直接被爆が原因ではなかろうかと心配した人がいたことは事実なので、マンガ「美味しんぼ」の記述が、事実と大きく異なるとは思えない。
  
 長期間の避難所生活が原因で、鼻血が出るようになった人がいることは間違いないだろう。しかし、鼻血の原因はこれだけではないと思う。栄養の問題、寝具や衣類を屋外で乾燥できずカビやダニの影響があった、子供が運動できなかった等々、色々な原因が考えられる。
 事故当初の放射線直接被爆の影響や、その後に、放射性物質を吸引した影響などについては、分からない。
 
 今後、どこかの原発が事故を起こすかもしれない。そのときは、福島と同様に、被災者は、避難所に長期間放置される恐れがあるにもかかわらず、何の対策も立てずに、原発を推進しようとしている勢力にとって、この漫画が目障りであることは、間違いない。日ごろから、非常時の対応を考え、対策を建てることが必要なのに、その努力を怠っている愚か者が、マンガを批判し、騒ぎ立てているように思える。
 
 
X線CTと、放射能被曝の比較:
 Twitterをみると、札幌医大の高田純氏は以下のように書いている。
 『病院の放射線科や歯科医でのX線撮影で、鼻血が出たという事例は、聞いたことがありません。みなさんも、X線撮影あるでしょう。CT検査(一回、およそ10ミリシーベルト)でも、鼻血ないのです。小学館は、福島県民に謝罪し、風評被害・精神被害を賠償すべし。』
 また、武蔵野市の歯科医師・野々村氏は以下のように書いている。
 『もし「福島に行って被曝したので鼻血が~」が事実だとしたら、私の歯科医院のレントゲン室・CT室は毎日“血の海”でしょう。ありえません。(上顎の歯の根は鼻に近接しているので、同部の撮影時、放射線は確実に鼻粘膜を貫いています)』
  
 これらの主張は、いったい何を言っているのでしょう。本人に直接聞けば良いのだけれど、メールアドレスが分からないので、聞けない。
 X線CTのエネルギーとγ線のエネルギーは、両方ともに、Svの単位で測るけれど、両者は違うものなので、Svの値が同じでも、生体に及ぼす影響は、違うはず。それとも、両氏の使っているX線CT装置は、セシウムのγ線と同じような放射線が出るのかな。
  
 物理が苦手な人にちょっと説明します。X線・γ線・赤外線・紫外線などは、どれも電磁波であり、光子という名前の粒子線です。光子は一粒一粒がエネルギーを持っていて、一粒のエネルギーはE=hc/λと書くことができます。γ線・赤外線・紫外線はλ(波長)が違い、光子のエネルギーが異なります。X線とγ線の違いは、波長ではなくて、作り方の違いです。電子から出てくるのをX線、原子核から出てくるのをγ線と言います。作り方の違いとは言っても、実際には、一般に、X線の方が波長が長く、光子のエネルギーが低いことが多いのです。
 光子一粒のエネルギーが小さくても、たくさんの光子が飛んでくれば、総エネルギーは大きくなります。
 赤外線電気炬燵に当たったときの暖かさと同程度に、紫外線を浴びたらどうなるでしょう。重症な皮膚障害になるかもしれません。暖かさが同じであるということは、総エネルギーが同じ程度であることを意味しています。このように、赤外線と紫外線とでは、総エネルギーが同じでも、生体に与える障害は全く異なります。赤外線と紫外線とでは、光子一つのエネルギーは3倍程度以上異なります。
 X線CT装置のX線と、放射性セシウム由来のγ線とでは、波長が異なることが多いので、Svで表す吸収線量が同じでも、生体に与える影響は異なると考えられるはずです。
 
 X線CTの光子一つのエネルギー(陰極管の管電位で決まる)が、セシウムのγ線よりも小さいならば、X線が安全だからと言って、γ線が安全とは言えないのです。
 両先生が使っているX線CT装置のX線エネルギーは、何MeVなのだろう。
  
 どなた様か、医科・歯科で使用するCTのX線エネルギーは、何MeV程度なのか、あるいは、陰極管電位は何MVなのか、ご存知でしたなら、教えてください。

 注)以前、γ線のエネルギーと遮蔽能の関係を簡単に計算してグラフ化しました。
http://cccpcamera.asablo.jp/blog/2011/03/23/5754773

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