北海道大学・理系 数学入試問題2022年03月04日

 北海道大学は旧帝大7+1の中では、九大と並んで入りやすい大学だ。このため、数学入試問題も易し目であることが多い。しかし、今年は、どうしたことか、北大にしてはかなり難しい。合格点もだいぶ下がったのではないだろうか。

 問1は、区間をきちんと分けて、落ち着いて考えれば、なんでもない問題。しかし、頭を整理して解答を書く必要がある。思考力のほかに、答案をまとめる文章力も必要。
 この他、問3も結構難しい問題。具体的に積分をすることが困難なので、区間を分けて、少し抽象的議論をする必要がある。
 以下、問1の問題と解答例を示します。
  
問題 1
0≦a≦b≦1とする。、
f(x)=|x(x-1)| + |(x-a)(x-b)|
を考える。xが実数の範囲を動くとき、f(x)は最小値 m を持つものとする。
(1) x<0,x>1のとき、f(x)>mを示せ。
(2) m=f(0) または m=f(1) であることを示せ
(3) a,b が 0≦a≦b≦1 を満たして動くとき、mの最大値を求めよ。

考え方:
 絶対値があるので、それぞれの区間ごとに考えればよい。ただし、x≦0,0≦x≦a,a≦x≦b,b≦x≦1,x≧1の5つの区間に分ける必要があって、めんどう。

解答:
(1)
x<0,x>1のとき、
f(x)=x(x-1)+(x-1)(x-b)であるから、このとき、
f’(x)=4x-(a+b+1)
すなわち、x<0 の時 f’(x)<0 、x>1 の時 f’(x)>0
よって、x<0のとき、f(x)>f(0) 、 x>1のとき、f(x)>f(1) であるので、題意は示された。

(2) x≦0,0≦x≦a,a≦x≦b,b≦x≦1,x≧1の5つの区間に分けて考える。

x≦0,x≧1のときは、(1)より、f(x)の最小値はf(0),f(1)である。
0≦x≦a、b≦x≦1のとき、f(x)は一次多項式であるから、端点で最小値となる。
すなわち、最小値となるのはf(0),f(a),f(b),f(1)のいずれかのうち、一番小さい値である。
a≦x≦bのとき、f(x)は上に凸の2次関数だから、最小値となるのはf(a),f(b)のいずれかのうち、一番小さい値である。

結局、f(x)の最小値は、f(0),f(a),f(b),f(1)のいずれかのうち、一番小さい値であるので、具体的には、
f(0)=ab , f(a)=a(1-a) , f(b)=b(1-b) , f(1)=(1-a)(1-b) のいずれかということになる。
a+b≦1のとき、ab≦a(1-a) , b(1-b) , (1-a)(1-b)
a+b≧1のとき、(1-a)(1-b)≦ab , a(1-a),b(1-b)
であるから、f(x)はx=0またはx=1のときに最小となる。

(3)
最初に a+b≦1 の場合を考える。この時は、ab≦(1-a)(1-b)であるから、m=abである。
0≦a≦b≦1であるから、0≦a≦1/2
この時、ab≦a(1-a)≦1/4 (a=1/2,b=1/2のとき、等号成立)。
次に、a+b≧1 の場合を考える。この時は、ab≧(1-a)(1-b)であるから、m=(1-a)(1-b)である。
α=1-a,β=1-bと置くと、(1-a)(1-b)=αβ≦α(1-α)≦1/4  (α=1/2,β=1/2のとき、等号成立)。
結局、mの最大値は1/4で、a=b=1/2の時に実現する。

東北大学理系数学入試問題2022年03月03日

 東北大学は、かつては難問が出題されたが、近年はそんなことはなかった。ところが、今年の問2は難しい。今年の主要大学入試問題の中で、一番難しかったと思う。この問題は決して、奇をてらったようなものではなく、普通に高校の範囲で解けるのだけれど、時間内に正解に到達するのは、かなり困難だろう。良問というべきなのか、意地悪問というべきなのか。完答した生徒はどれほどいただろうか。
 ただし、(1)は易しいので、部分点は確保したい。
 
問題
 aを実数とする。
 f(x)=(x^2+3x+a)(x+1)^2 を考える。
 
(1) f(x)の最小値が負になるときのaの範囲を求めよ
(2) a<2とする。このとき、f(x)には極小値を2つもつ。これをα1,α2(α1<α2)とするとき、f(α1)<f(α2)を示せ。
(3) f(x)は x<β において単調減少し、かつ、x=βでf(x)が最小値となる。このようなβが存在するための、aの範囲を求めよ。。

解答 
 
(1)『最小値が負』ということは、要するに『f(x)が負の値になることがある』ということである。
f(x)={(x+3/2)^2+a-9/4}(x+1)^2となるので、
a<9/4のとき、f(-3/2)は負の値となる。
よって、この時は最小値が負となる。
逆にa≧9/4とすると、f(x)は常に正またはゼロであるから、f(x)の最小値はゼロである。
以上より、求める範囲はa<9/4

(2)(注:a<2はα1<-1<α2となる条件)
f’(x)=(x+1)(4x^2+11x+2a+3) である。
g(x)=4x^2+11x+2a+3とする。
a<2のとき、g(-1)<0であるから、g(x)=0の解をβ1,β2(β1<β2)とすると、β1<-1<β2 となる。
 注)2<a<9/4のときは、β1<β2<-1 となる
よって、g(x)=0の二つの解がα1、α2である。
ここで、h(x)=x^2+3x+a   i(x)=(x+1)^2   f(x)=h(x)×i(x)  と書く。
α=α1 または α=α2 とする。
g(α)=0であるから、4α^2=-(11α+2a+3)が成り立つ。よって、
4h(α)=α+2a-3    4i(α)=-3α-2a+1
したがって、h(α2)-h(α1)=(α2-α1)/4 >0
一方、 i(α2)-i(α1)=-3(α2-α1)/4<0  であるから、0<i(α2)<i(α1)

ここで、h(α2)≧0とする。i(α2)>0であるから、f(α2)≧0である。(1)より、f(x)の最小値は負であるから、このときf(α1)<0である。
すなわち、f(α1)<0≦f(α2)が成り立つ。
次に、h(α2)<0とする。このとき、h(α1)<h(α2)<0と、0<i(α2)<i(α1)から、、f(α1)<f(α2)<0 が成り立つ。
結局、f(α1)<f(α2)となる。

(3)a>9/4とすると、(1)から、x=-1で最小値0をとることが分かる。
f'(x)=(x+1)(4x^2+11x+2a+3) であるから、g(x)=4x^2+11x+2a+3=4(x+11/8)^2-(11/8)^2+2a+4とする。
2次方程式g(x)=0の解の判別式をDとする。D<0とa>73/32は同値である。
 
よって、a>73/32のとき、f'(x)はx<-1で負の値となり、f(x)はこの範囲で単調減少となる。
 
a=73/32のときg(x)は重解を持つ。この解をγとすると、g(γ)=0,g(x)>0(x≠γ)であるから、x<-1のとき、f(x)は単調減少である。
 
9/4<a<73/32のときは、g(x)=0が異なる2つの解を持ち、少なくとも一方は-1よりも小さいから、x<-1の範囲で、f(x)が増加関数の時がある。
 
a<2のときは、(2)より、β=α1とすると、x<βのとき、f(x)は単調減少かつ、βで最小値となる。
 
2≦a<9/4のとき。g(x)=0の解をβ1,β2(β1<β2)とすると、β1<β2≦-1 となるので、β=β1とすると、x<βのとき、f(x)は単調減少かつ、βで最小値となる。

a=9/4の時は、x=-3/2,-1でf(x)は最小値0となるので、β=-3/2とすれば、x<βのとき、f(x)は単調減少かつ、βで最小値となる。

以上より、
a≦9/4 、 a≧73/32 のとき、x<βのとき、f(x)は単調減少かつ、βで最小値となるようなβが存在する。。

京都大学・理系 数学入試問題2022年03月03日

 京大、東大とも、簡単ではないけれど、それぞれ特徴がある。東大は計算量も多く、高度な思考力も要求されるが、日ごろ受験勉強に取り組んでいれば何とかなるだろう。京大は計算量はそれほどでもないが、問題3など、解答方針が思いつかないかもしれない。

問題3  (累乗を^と書きます)
n^2+2,n^4+2,n^6+2の最大公約数を求めよ。ただし、nは正の整数。

考え方
 日頃、問題集に取り組んでいても、正解が思いつくとは限らない難しい問題。
 ここでは、最大公約数がrだったら、どんなことが成り立つだろうかと考えた。
 すなわち、rがn^2+2の約数だったとしたら、6はrの倍数でなくてはならないことを最初に示す。
 
解答
n≧2の場合を考える。
n^2+2 がrの倍数とする。ただし、rは正の整数。
このとき、n^2=rN-2 (Nは正の整数でrN≧6)と書けるので、
n^4+2=rN(rN-4)+6となる。この値がrの倍数の場合は、6はrの倍数である。
よって、n^2+2,n^4+2の約数は、1,2,3,6以外にはない。
n=1のときも、n^2+2,n^4+2の約数は、1,2,3,6以外にはない。(n=1のときは、1,3が約数です)

最初に、2がn^2+2,n^4+2,n^6+2の約数であるための条件を探す。 
 nが偶数の時は、n^2+2,n^4+2,n^6+2はすべて2の倍数であり、nが奇数の時は2の倍数ではない。
次に、3がn^2+2,n^4+2,n^6+2の約数であるための条件を探す
 n=3k+3 (kは0または正の整数)のとき、n^2+2は3の倍数ではない。
 n=3k+1,n=3k+2(kは0または正の整数)のときn^2+2,n^4+2,n^6+2はすべて3の倍数である。
 
以上より、次のようにまとめられる。ただし、kはゼロまたは正の整数とする。
 n=6k+1のとき、最大公約数は3
 n=6k+2のとき、最大公約数は6
 n=6k+3のとき、最大公約数は1
 n=6k+4のとき、最大公約数は6
 n=6k+5のとき、最大公約数は3
 n=6k+6のとき、最大公約数は2

京都大学・理系 数学入試問題2022年03月03日

京都大学理系の問6は、東大理系の問6と雰囲気が似ている。ただし、東大のは「場合の数」を絡めているので、数え落としが多い。この問題は素直に考えればよい。東大の問6に比べて、どちらが難しいか、似たようなものだろうが、こちらの方が点は取りやすい。
 
問題 6
 数列{x(n)},{y(n)}を次式で定義するとき、{x(n)-y(n)}をもとめよ。
 x(1)=0 x(n+1)=x(n)+n+2×cos(2πx(n)/3) (n=1,2,3,…)
 y(3m+1)=3m,y(3m+2)=3m+2,y(3m+3)=3m+4 (m=0,1,2,…)
 
方針:
 このような数列は、一般的にどうすればよいのか、分からないので、最初のいくつかを求めて、考えてみることだ。一般解が推定できれば、後は数学的帰納法を使えばよい。
 なお、数列は、x(n+1)-x(n)≒nなのだから、典型的な階差数列に近いものに感じる。
 
 x(1)=0
 x(2)=3
 x(3)=7=3*2+1
 x(4)=9=3*3
 x(5)=15=3*5
 x(6)=22=3*7+1
 x(7)=27=3*9
 x(8)=36=3*12
 x(9)=46*3*15+1
 x(10)=54=3*18
となる。普通はx(4)ぐらいまで見ればわかるはずだが、cosの項があるために、3回ずつで様子が異なるので、x(10)まで調べた。
 x(1)=3*0 x(4)=3*3 x(7)=3*9 x(10)=3*18
このためz(m)=x(3m+1)/3とすると、z(0)=0,z(1)=3,z(2)=9,z(3)=18 であるから、x(3m+1)=z(m)*3=m(m+1)*(9/2)と推定できる。
 
解答 
x(3m+1)=m(m+1)*(9/2) とする。ただし、m=0,1,2,…。この数列が題意を満たすことを数学的帰納法によって示す。
最初にm=0の時は題意を満たす。
次に、、
x(3m+2)=m(m+1)*(9/2)+3m+1+2=m(m+1)*(9/2)+3m+3
x(3m+3)=m(m+1)*(9/2)+3m+3+3m+2+2=m(m+1)*(9/2)+6m+7
x(3m+4)=m(m+1)*(9/2)+6m+7+3m+3-1=m(m+1)*(9/2)+9m+9=(m+1)(m+2)*9/2
よって、x(3(m+1)+1)=(m+1)(m+2)*9/2となって、
数学的帰納法から、x(3m+1)=m(m+1)*(9/2)である。
また、当然に、上で求めたx(3m+2),x(3m+3)も解である。
  
x(3m+1)-y(3m+1)=m(m+1)*(9/2)-3m=(1/2)(3m)(3m+1)
x(3m+2)-y(3m+2)=m(m+1)*(9/2)+3m+3-3m-2=(1/2)(3m+1)(3m+2)
x(3m+3)-y(3m+3)=m(m+1)*(9/2)+6m+7-3m-4=(1/2)(3m+2)(3m+3)
結局、
x(n)-y(n)=n(n-1)/2

東京大学理系数学入試問題2022年03月01日

  
(クリックすると拡大します) 
 
東大理系・数学問1はごくありふれた問題。一見したところ、教科書の練習問題程度の感じがするが、実際に解いてみると、積分計算が難しいので、数3の練習問題に取り組んでいないと無理。東大理系を受験する生徒なら、たいていできたのではないかと思います。

解答方針
(1)は普通に微分して増減を調べればよい。θ=π/4のときに最小値となることがわかる。
(2)は式の後半の積分をまともにするしかない。部分積分してlog(cos)をなくしたあと、1/cosの積分が現れるので、三角関数の積分に慣れていないとできない。東大に限らず上位大学理系を受験するならば、この程度の計算はできるようにしておきたい。

東京大学理系数学入試問題2022年02月28日

 東大の入試問題は、例年、良問が出題される。真面目に受験勉強に取り組んでいて、かつ、柔軟な思考ができないと無理だろう。もともと頭の良い子がまじめに勉強して、初めて合格するのですよ、と言っているような感じがします。
 
 問2は思考力が問われる問題。
 
問2  問題
数列 {a(n)} を以下のように定める。(累乗を^と書きます)
a(1)=1 a(n+1)=a(n)^2+1
(1) 正の数nが3の倍数のとき、a(n)は5の倍数であることを示せ。
(2) k,nを正の整数とする。a(n)がa(k)の倍数であるための、必要十分条件をk,nを用いて表せ。
(3) a(2022)とa(8091)^2の最大公約数を求めよ

解答方針
 (1)は数学的帰納法で簡単にできる。(2)は考えないとできないが、(1)を取り組んだ過程でおのずから解答方針が見えるだろう。東大に入るには、このくらいできないとだめだよと言っているような問題ですね。(3)は(1)(2)がヒントになっていることはわかるでしょう。(1)で5の倍数であることを示したけれど、このほかに25の倍数でないことを示しておかないと(3)はできない。その点で、ちょっとヒントが少なくて、完答はたいへん。

解答
 (1) 簡単なので省略
 (2) a(k)=a と書く。B(l)をaの倍数とする。
a(k)はaの倍数だから、a(k)=B(0)と書くことができる。
a(k+1)=B(0)^2+1= B(0)^2+a(1)であるから、a(k+1)=B(1)+a(1)と書くことができる。
同様にして、a(k+m)=B(m)+a(m) (m=1,2,・・・,k-1)と書くことができる。
ここで、m=1,2,・・・,k-1のときa(m)<aであるから、a(m)はaの倍数ではないので、a(k+m)はaの倍数ではない。
次に、
a(k+k)={B(k-1)+a(k-1)}^2+1= B(k-1){ B(k-1)+2* a(k-1)}+a(k)となる。
よって、a(k+k)はaの倍数である。
同様にして、nがkの倍数のとき、a(n)はaの倍数となり、それ以外では倍数とならない。

(この書き方では点をひかれそうと思うならば、以下のように書くと良い。)
Nを正の整数とする。a(Nk)がaの倍数とし、a(Nk)=B(0)と書く。あとは同じ。

 (3)kを正の整数とする。a(3k)は(1)より5の倍数である。
次に、a(3k+3)が25の倍数でないことを示す。
a(3k)は5の倍数なのだから、a(3k+3)は25の倍数に5を足した値になる。よって、a(3k+3)は5の倍数であって、25の倍数ではない。
すなわち、a(2022)は5の倍数であって、25の倍数ではない。
一方、a(8091)=a(2022*4+3)であるから、a(8091)はa(2022)の倍数に5を足した値である。
a(2022)=5Cと書く。Cは5の倍数ではない。
このとき、a(8091)^2=25(CN+1) と書ける。ただし、Nは整数。
以上より、求める最大公約数は5

早稲田理工の数学入試2022年02月21日

   
 早稲田理工の数学入試問題は国立上位大学に比べてかなり易しい。予備校の講評を見ると、問3が「やや難」になっている。教科書の基本問題がなんとかできる程度の勉強では問3(3)はできないだろうが、ちょっと考えれば普通にできるだろう。早稲田理工の数学入試問題のためには、教科書中心の勉強でよいだろう。

問3の解答
(1)ものすごくやさしい初歩的問題。
b(n+1)-7/6={b(n)-7/6}/2と書けるので、
b(n+1)-7/6=(1/2)^n×(r-7/6)   注)^は累乗の意味
よって、 b(n)→7/6
同様に、c(n+1)-5/3=(1/2)^n×(r-5/3)
であるから c(n)→5/3

(2)普通に数学的帰納法で完答できる易しい問題

(3)nが大きい時 [b(n)] [c(n)] はともに1であることに気が付けばよい。
b(n+1)=7/6+(1/2)^n×(r-7/6)であるから、r-7/6≧0の時は、常にb(n+1)>1
また、r-7/6<0の時は-(1/2)^N×(r-7/6)<1/6となるNを考える。
結局、n≧Nのとき、b(n)>1が成り立つ。
同様にして、n≧Mのとき、c(n)<2が成り立つ。
N,Mの大きい方をLとすると、n≧Lのとき、1<b(n)≦a(n)≦c(n)<2となるので、
このとき、[a(n)]=1である。
すなわち、n≧Lのとき、
a(n+1)=1/4+a(n)/4+5/6であるから、
a(n)→13/9

大学入試共通テスト 数学の出題2022年01月20日

 報道によると、
『昨年の確定結果と比べると、数ⅠAが17.43点低い40.25点、数ⅡBが14.04点低い45.89』
だそうだ。
 確かに、数ⅠAの問3は問題文が長いし、問4は数学に慣れていないと何を聞かれているのか分からなかったろうし、問5は中学校からまじめに勉強していないと難しかったと思う。このため、平均点が若干低くなったのもうなづける。でも、こんなに低いかなー。数ⅡBは普通に考えれば解ける問題だと思うのだが。問題の文章が長くなり、問題を理解して、それを数式に置き換える必要がある。ここが、苦手な受験生が多いのだろうか。本当は、問題を論理的に分析し数式を起こすところが数学の一番重要なポイントなのに、公式を覚えて数値を入れるだけになってしまったのは、センター試験の弊害だったのだろう。この弊害を是正する動きが、共通テストならば、これは好ましいことだ。

大学入試共通テスト 数学の出題2022年01月18日

センター試験から共通テストになったら、問題がおかしくなった感じがする。数2Bの問4の最初の部分を記す。
 
第4問
 以下のように,歩行者と自転車が自宅を出発して移動と停止を繰り返している。歩行者と自転車の動きについて.数学的に考えてみよう。
 自宅を原点とする数直線を考え,歩行者と自転車をその数直線上を動く点とみなす。数直線上の点の座標がyであるとき,その点は位置yにあるということにする。また,歩行者が自宅を出発してからx分経過した時点を時刻xと表す,歩行者は時刻0に自宅を出発し,正の向きに毎分1の速さで歩き始める。自転車は時刻2に自宅を出発し,毎分2の速さで歩行者を追いかける。自転車が歩行者に追いつくと,歩行者と自転車はともに1分だけ停止する。その後,歩行者は再び正の向きに毎分1の速さで歩き出し,自転車は毎分2の速さで自宅に戻る。自転車は自宅に到着すると、1分だけ停止した後,再び毎分2の速さで歩行者を追いかける。これを繰り返し,自転車は自宅と歩行者の間を往復する。
x=a(n)を自転車がn回目に自宅を出発する時刻とし,y=b(n)をそのときの歩行者の位置とする。
(1)花子さんと太郎さんは,数列{a(n)},{b(n)}の一般項を求めるために,歩行者と自転車について,時刻xにおいて位置yにいることを0を原点とする座標平面上の点(x,y)で表すことにした.
---以下省略---
 
 共通テストになってから、一般生活に使えるような雰囲気の問題にしたいのだろうが、おかしな問題文だ。
 まず、自転車が歩行者に追いつくとはどういう意味だろう。日常の経験では、両者の距離が2m程度に近づいたときに追いつくとみなすだろう。自転車や歩行者と書かないで、点P、点Qと書けばよいのに。
 それから、毎分1の速さって何だ。時間に単位があって、位置には単位がないとは、どういう物理量なのか。出題が雑すぎる。ところで、1分とはどれだけの時間か。数学で時間1と書いたならば、この1には誤差がないのだが、通常の1分には必ず誤差を含んでいる。理想状態で考える数学は、日常とは違うので、何も、ムリヤリ数学らしくなくする必要はない。花子さんと太郎さんも無意味な出題だ。
 
 出題自体は漸化式をたてて解を導くオーソドックスな問題で、誘導もしっかりしていて、まじめに受験勉強をしていればなんでもない問題。

2022年大学入試共通テスト 数学1A 第4問2022年01月18日

2022年大学入試共通テスト 数学1A 第4問

以下、累乗を^と書きます。
(解説)
 整数の問題に慣れていないと、何を聞かれてるいのか、分からないだろう。整数の問題に慣れていないと将来困る生徒が、どれだけいるのだろう。そう考えると、無用にひねくれた問題のように感じる。
 まず、この問題を解くときのヒントが「5^4=625を2^4で割ったときの余りは1に等しい」であることに、気づく必要がある。これを式で書くと625=16*39+1となる。そうすると、考え方自体は易しい。しかし掛け算が多くてたいへん。

(問題)
(1)
5^4=625を2^4で割ったときの余りは1に等しい。このことを用いると、不定方程式
(5^4)x-(2^4)y=1     ①
の整数解のうち、xが正の整数で最小になるのは
  x=(ア) y=(イウ)
であることがわかる.
また①の整数解のうち、xが2桁の正の整数で最小になるのは
  x=(エオ) y=(カキク)
である。

(2)
次に、625^2を5^4で割ったときの余りと、2^4で割ったときの余りについて考えてみよう。
まず
625^2=5^(ケ)
であり、またm=(イウ)とすると
625^2=(2^(ケ))(m^2)+(2^(コ))m+1
である。これらより、 625^2を5^5で割ったときの余りと、2^5で割ったときの余りがわかる。

(3)(2)の考察は、不定方程式
(5^5)x-(2^5)y=1     ②
の整数解を調べるために利用できる。
x,yを②の整数解とする。(5^5)xは5^5の倍数であり、2^5で割ったときの余りは1となる。よって、(2)により、(5^5)x -625^2は5^5でも2^5でも割り切れる。5^5と2^5は互いに素なので、(5^5)x-(625^2)は(5^5)・(2^5)の倍数である.
このことから,②の整数解のうち、xが3桁の正の整数で最小になるのは
x=(サシス)  y=(セソタチツ)
であることがわかる。

(4)
11^4を2^4で割った時の余りは1に等しい。不定方程式
 (11^5)x-(2^5)y=1
の整数解のうち、xが正の整数で最小になるのは
  x=(テト) y=(ナニヌネノ)
である。


(1)の解答
625=16*39+1 を考えると、①式は 16*(39x-y)+x=1 となる。
このことから、(ア)=1 (イウ)=39
(エオ)=17 (カキク)=664

(2)の解答
(ケ)=8
 625=(2^4)m+1であるから
(コ)=5

(3)の解答
文章を読むと、要するにx-(5^3)が2^5の倍数であるということ。
一番小さい3桁の数は
(サシス)=125 (セソタチツ)=12207

(4)の解答
同じように考えて、x-(11^3)が2^5の倍数であるということ。一番小さい整数は
(テト)=19 (ナニヌネノ)=95624

* * * * * *

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