本の紹介-カルトの花嫁2023年01月22日

 
冠木結心/著『カルトの花嫁 宗教二世 洗脳から抜け出すまでの20年』(2022.11)合同出版
 
 本書は、統一協会に入信し、その後、悲惨な生活を強いられた著者の自叙伝。
  
 著者は、高校生の時、統一協会信者の母親に連れられて、統一協会にマインドコントロールされる。その後、統一協会の合同結婚式で韓国人男性と結婚するも、悲惨な結婚生活を余儀なくされ、離婚に至る。その後、再び統一教会の合同結婚式で再婚し、今度は韓国で生活をするも、さらに凄絶な極貧生活を強いられた。このような生活に見切りをつけるべく、日本に逃げ帰り、統一協会を脱会し、法テラスや精神科医の協力のもと、人生をたて直すこととなった。

本の紹介-神様のいる家で育ちました2023年01月19日

 
菊池真理子/著『神様のいる家で育ちました』文芸春秋(2022.10)
 
 
全7話。
第1話:エホバ 二世問題
第2話:崇教真光 二世問題
第3話:統一教会 二世問題
第4話:バプテスト 二世問題
第5話:幸福の科学 二世問題
第6話:真如苑 二世問題
第7話:創価学会 二世問題
 
 各章ともに、宗教の名称は書かれていないが、話の内容や漫画の絵から宗教名は容易に推定できる。
 第4話以外は新興宗教。第4話のバプテストは、教会ごとに教義の厳格さに違いがあるが、本書の内容や絵からは、どの教会なのか分からない。第7話の創価学会は、おそらく著者自身の体験を描いたもの。
 
 マンガの絵は明るい感じなのだけれど、内容は暗く重い。子供に対する虐待・ネグレクトなどが多い。また、すべてのケースで宗教の押し付けのため、学校で子供が浮いてしまい、正常な人間関係の構築に支障をきたしており、脱会することが困難になっている。これは、取り上げられた宗教が日本社会の中で浮いた存在であることの証と言えるだろう。

 本書はマンガなので、書かれている内容のすべてが100%事実というわけではない。そんなことは、言わなくても、ほとんどの人は知っているだろう。ただし、そうはいっても、この漫画の内容は、かなりの部分が実話のようで、多くは、信者二世の聞き取り調査をして書いたものだと思われる。
 落ち着いて読むと、どうも二世信者と宗教の問題ではなくて、母親・両親・夫婦関係にもともと問題があって、そこを宗教に付け込まれた悲劇が多いように感じる。
 
 
 本書は、かつて、集英社のウエブサイトで公開されていたが、幸福の科学から事実誤認があるとの抗議を受けて、公開中止となった。その後、文芸春秋より単行本として出版された。そもそも、これは漫画であって、事実に基づく論文ではないので、事実誤認との新興宗教側の抗議はまとはずれであり、しかも、抗議の内容は、微細なことに感じる。以下に、幸福の科学による反論が掲載されている。
 https://happy-science.jp/news/public/15638/
 
 漫画では高校から繁華街までは電車とバスで1時間とあるが、幸福の科学は、最も近い繁華街まではバス30分であるとの指摘している。(実際はシャトルバスで精舎から那須塩原駅までは30分、高校から那須塩原駅は35分。)しかし、那須塩原にはあまりいい店がなく、黒磯に行きたい人は、乗り換え時間を含めると、駅まで50分程度はかかることになり、漫画の記載はかなり正確と思える。
 漫画には本人が「総裁先生も東大を勧められてる」と思っているシーンがある。この点について、幸福の科学は「そのような事実はありません」としている。漫画では、本人の思いであって、大川が言ったとは書かれていない。頓珍漢な批判にはあきれる。もっとも、それほど学力が高くない幸福の科学学園高校の卒業生全員が東大に入れるわけないのだから、高校側が全員に東大進学を目指す指導をしてとは思えないが、成績の良いごく一部の子が東大を目指すように指導することがあるのは当然です。
 
 幸福の科学の反論には興味ある記述がある。
 『本漫画の冒頭では、「24歳 死ぬことにしました」と主人公が薬物を大量摂取して自殺を図るようなシーンが描かれていますが、当グループは「自殺してはいけない」ことを繰り返し教えています。』
 漫画を読んだ時、自殺未遂は、話を面白くするためのフィクションと思った。幸福の科学がこのように書いているところを見ると、一期生の自殺未遂は事実なのだろうか。幸福の科学のために心を病んで自殺未遂に至ったにもかかわらず、教団では、高校生に、「自殺してはいけない」ことを繰り返し教えているだけなのだろうか。もしそうだとしたら、まともな宗教とはとても思えない。「自殺してはいけない」ことを繰り返し教えればよいのではなくて、命を大切にする教育をして、実効が上がらないといけないのです。

 
 幸福の科学は以下のように書いている。
 『また、本漫画では「母が私の名義で多額の借金をつくっていたことも判明」などと描かれています。これは奨学金のことと思われますが、奨学金は本人名義でしか借りられません。本漫画のケースの場合、実際には当初から奨学金はすべて母親が代わりに返済しています。』
 この記述が真実ならば、恐ろしい。教団は信者の借金の内訳をどのようにして知ったのだろう。幸福の科学の信者は個人の借入金を教団に報告するのだろうか。預金通帳を提出させて、献金を命令していた恐ろしい教団もあるようだが、幸福の科学もそういう新興宗教なの?
 
 普通に読めば、この漫画は幸福の科学と信者の直接関係を扱ったのではなくて、信者と信者2世の問題を扱ったもの。幸福の科学は幸福の科学と信者2世の直接関係ととらえて批判しているように見受けられる。このため、幸福の科学側の反論は、的外れに感じる。


 

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本の紹介 「カルト宗教」取材したらこうだった2023年01月17日

 
藤倉喜朗/著『「カルト宗教」取材したらこうだった』宝島社新書(2012/8)
 
 この手の本の多くは、いくつかのカルト教団を取り上げて、それぞれのカルトごとに問題を記載するものが多いが、本書は、カルトにまつわる雑多な話題を書いたものなので、まとまりがないように感じる。
 
 この中で、幸福の科学については、多少まとまって取り上げられている。第二章「取材したらこうだった」の35ページは幸福の科学と地域住民の対立関係。場所は、本部がある港区白金と大川隆法(中川隆)出身地である徳島県吉野川市川島町の二か所を扱っている。私の住んでいる埼玉県川口市にも幸福の科学の建物があるが、住民とのトラブルは聞いたことがない。
 また、第4章「カルトと報道」の11ページは、幸福の科学が反対運動を迷惑電話やスラップ訴訟を使って、つぶしているさまを記載している。昨今、このような訴訟は統一協会によるものが話題になったが、似たようなことは幸福の科学も行っているようだ。 
 幸福の科学は公称信者数1000万人を超えているが、2022年参院選幸福実現党得票数は15万なので、信者数が十数万程度の新興宗教ということだろう。教祖・大川隆法のイタコ芸が有名。

本の紹介-マインド・コントロールの恐怖2023年01月05日


スティーヴン ハッサン著、浅見定男/訳『マインド・コントロールの恐怖』恒友出版 (1993/4)

 著者はアメリカ統一協会元幹部。ユダヤ教の家庭に生まれたが、失恋で失意の中、統一協会に誘われ、マインドコントロールを受けて、統一協会活動家となると、マインドコントロールをする側になった。脱退後、統一協会の悪質手口を明らかにして、マインドコントロールを受けた人の救済活動に当たる。
 統一協会のマインドコントロールの手口が詳しい。人は誰でも、失恋などショックのことがあるだろう。あるいは、人生うまく行かず腐っていることがあるだろう。こういう時、近くに相談相手がいない場合、そこに付け入り、心理学の手法でマインドコントロールを行う。これが、統一協会の手口のようだ。

 本書は、統一協会のこのようなマインドコントオールの手口と、マインドコントロールを受ける人の心理が詳しい。本書の前半では、著者がマインドコントロールを受けた経緯、脱会した経緯、統一協会のマインドコントロールの手口が示される。
 本書後半では、マインドコントロールから回復するための救済方法。具体例を挙げて詳しく説明されているが、私の場合は、知人にマインドコントロールを受けている人がいないので、自分にはあまり役に立たない。マインドコントロール状態から救済したい人がいる場合は、本書の記述は必読だ。

 ある教団が破壊的カルトかどうかを判定する方法として、以下の記述がある。この手法は、日本の新興宗教を評価する上で参考になる。
 ・教義ではなくて行動を見ること
 ・教団内のコミュニケーションは、教団の信仰体系に回心させるものか、それとも、多様な視点で物事を自分自身で処理するように励ますのか

 破壊的カルトの疑いがあるグループを調べ鑑定するとき、私はまず、神学やイデオロギーの分野ではなく、心理学の分野で作業をする。破壊的カルトについて考える私の基準は、マインド・コソトロールと暗示と集団心理、この三つの影響作用ということである。私はそのグループが何を信じるかではなく、何をするかを見る。ほかの分析家や批評家が、自分の聖書解釈や政治的見解こそが正しいものだという信念でカルトのメンバーに対処していくのに対して、私は、破壊的カルトがそのメンバーとどんなコミュニケーショソをするか(あるいはしないか)を分析する。私の見るところでは、破壊的カルトはメンパーを彼ら自身の信念体系へと回心させようとする。だが私のやりかたは、その人が多様な視点を調べ、物事を自分自身で処理するように励ますものである。
 しかしある人が何かを信じる自由は、その信念にもとついて見境なく行動する免許を自動的に与えるものではない。もしそんなことをしたら、白人優越主義のグループはこの国の非白人をみな追放したり殺したりするだろうし、悪魔カルトは、自分たちの儀式のいけにえに、公然と人々を殺すだろう。
 あるグループが、その目的を推進するために嘘をつくのはよいことだと信じているとしよう。しかしもしその嘘が、人々の憲法で保障された諸権利を侵害するなら、それは人々の自由を侵していることになる。(P174)



 


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本の紹介-宗教事件の内側2023年01月03日


藤田庄市/著『宗教事件の内側: 精神を呪縛される人びと』岩波書店 (2008/10)
 
 前半最後の第4章で統一協会のマインドコントロールが記載されている。この部分は58ページと本全体の17%。本の後半はオウム真理教。このほか、第2章で信者を殺害後ミイラ化した遺体と暮らしていた幾つかのオドロオドロシイ教団、第3章で法の華と明覚寺の霊感商法が取り上げられている。

 本書は2008年の出版であるが、統一協会の人権侵害被害が当時も継続していた事実が指摘されている。
第四章 違法伝道の果て  霊感商法による財産収奪
 「カルト」という言葉が日本に流布するずっと以前から、世界基督教統一神霊協会(統一教会)はその語の意味する内実、つまり信仰による精神呪縛による人間性破壊(人権侵害)と、反社会的行為による人々の生活や家庭の破壊を行ってきたし、現在もそれは変わらずに続いている。
 教祖文鮮明が1954年に韓国で創立したこの宗教は、同国において教勢を拡大するなかで信者監禁、洗脳、「血分け」などの噂が高まった。血分けとは教祖と女性信者がセックスし、その女性と男性信者がセックスするという"宗教儀礼"であり、かの合同結婚式の原型である。(P112)
 安倍銃殺以降、統一協会が批判されると、ズブズブの関係にあった自民党議員の中には、「マスコミ報道されていなかったので、統一教会が悪いとは思っていなかった」などと、見え透いた言い訳をした者も多い。
 1992年に統一協会がマスコミの話題をさらったことがあったが、その後は、この教団がマスコミの話題になることは少なかった。しかし、マスコミの話題になっていなくても、統一協会の反社会性は変わることはなく、被害も継続した。このため、本書のように、統一協会被害に対して、警鐘を鳴らす本も多い。テレビとマンガ以外に見る能力がない人ならば仕方ないが、日本語の啓蒙書を読んで理解できる普通の能力がある人ならば、1992年以降も統一協会の反社会性は容易にわかったはずだ。

 

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本の紹介-信じる者は、ダマされる2022年12月28日

 
多田文明/著『信じる者は、ダマされる。 元統一教会信者だから書けた「マインドコントロール」の手口』清談社Publico (2022/10)
 
 安倍元首相殺害以降、統一教会の悪業ぶりが報道された。本書は、統一教会に入信し、不況や献金に手を染め、その後脱会したジャーナリストによる統一教会・マインドコントロールの手口を明らかにするもの。
 
 全10章のうち、最初の第1章、第2章は、著者が統一教会に入信し、マインドコントロール下で献金活動に従事させられた体験。
第3章~第9章は、統一教会が人をだます様々な手口を紹介し、同様な手口が他でも行われることへ警鐘する。

 人に親切にされたときに、その人の行為に報いることが正しいと思っている人に対して、悪質新興宗教は、そこに付け込んで、マインドコントロールする。このため、親切心を無下に出来ない人の場合、マインドコントロールに引っかかる可能性が高くなるのだろう。このほか、もともと、人生に不満があったり、何らかの恐怖心が強く、それが安易に解決するような幻想を持っている人も、だます人につけ入れられる可能性がある。

以下、各章の目次を記す。

第1章 内側から見た旧統一教会の「勧誘」「マインドコントロール」の手口
第2章 内側から見た旧統一教会の「活動」「お金集め」の実態
第3章 旧統一教会も駆使した「組織力」でダマす手口
第4章 旧統一教会も駆使した「正体隠し」でダマす手口
第5章 旧統一教会も駆使した「善意」でダマす手口
第6章 旧統一教会も駆使した「権威」でダマす手口
第7章 旧統一教会も駆使した「恐怖」でダマす手口
第8章 旧統一教会も駆使した「ウソ」でダマす手口
第9章 旧統一教会も駆使した「夢と希望」でダマす手口
第10章 旧統一教会の「マインドコントロール」を解く4つの方法



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本-親鸞復興2022年12月20日


吉本隆明/著『親鸞復興』春秋社 (1995/7)

 著名な思想家なので、新宗教についても、興味ある見解が示されているのだろうかと思って読んでみたが、ガッカリ。
 本書の7割強が親鸞の話で、3割弱が新宗教の話。新宗教の話では「幸福の科学」「統一教会」「オウム真理教」が取り上げられている。

 悪質新宗教に対して、好意的すぎる。統一教会について以下のように記載されている。
(P197)霊感商法はインチキだとジャーナリズムは統一教会を批判しますが、それはちがいます。宗教とか理念というものは、いつも霊感商法に類することを行っています。…だから、霊感商法だからインチキだというような言い方では、ぼくは納得しません。やはり教義の中心を追求して、そこで得るところ、これは得難いところとか、これはちょっとちがうそということを、よくよく検討しないといけないとおもいます。それをひとつひとつ踏まえたうえで問題にしたほうがいいのです。霊感商法程度のことで、統一教会を決めつけたりしないほうがいいとおもいます。
 ずいぶん、寝ぼけた主張だ。たいての新興宗教は、既存宗教の教義や、その国の文化を取り入れて成立する。多くの場合は、いいとこどりをする。このため、教義の根幹に素晴らしいものを含んでいることは多い。しかし、そんなこととは関係なく、反社会行為を行っているならば、それは、悪質宗教だ。たとえば、オウム真理教は殺人や覚醒剤を密造をしたが、教義でいくらごまかしていても、絶対に容認できない悪質宗教であることに変わりはない。統一教会も、いくら『真のお母さま』を連呼しても、詐欺商法の赦免にならない。
 既存宗教から適当に良さそうな言葉を集めて、教義を飾り立てても、犯罪的な行為につながる教義が、容認できないのは当然ではないか。

次のようにも書かれている。
(P194)『原理講論』を読むと、文鮮明という人も一種の超能力体験をしていることです。大川さんとおなじように抽象的な言葉で表現されていますが、悪魔と精神で戦い、肉体で戦うことを経てきた人で、神様と自由に交霊することができるというふうに文鮮明について説明しています。その一方、統一教会の教義の中で、単なる短絡ではなくてバカ話だとおもえるところもあります。それはどういうところかというと・・・やがて、キリスト教だけでなくて、世界の宗教はすべて統一教会の下に統一される、その暁には、韓国語が世界語になると『原理講論』の中に書かれています。
 吉本隆明は『世界の宗教はすべて統一教会の下に統一される』というのは、単なるバカ話だと言っているが、『悪魔と精神で戦い、肉体で戦うことを経てきた』との統一教会の主張が、単なるバカ話でないとでも、思っているように読める。そうだとしたら、貧困な推理力に呆れる。こんなの、どう考えても、信者獲得のバカ話でしかないだろうに。

本-新宗教と巨大建築2022年12月06日


五十嵐太郎/著『新宗教と巨大建築』講談社現代新書(2001.12)
 
新宗教と巨大建築の解説。モノクロの写真はあるが少ない。あまり、興味の持てる内容ではなかった。
取り上げている新宗教は、天理教・金光教・大本教/他。

2007年に新編がちくま学芸文庫から、また、2022年11月に増補版が青土社から出版された。


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最悪な宗教家か-ローマ教皇2022年12月02日

 
 ロシア・ウクライナ戦争に関連して、フランシスコ教皇が『一般的に最も残忍なのは、恐らくロシアの伝統に属さないロシア人、例えばチェチェン民族やブリヤート民族などだろう』と発言したそうだ。

https://www.asahi.com/articles/ASQCZ1C96QCYUHBI04B.html

 イタリア人・ロシア人・チェチェン人・ブリヤート人・日本人の中には、悪い人・残虐な人だっているし、中にはサイコパスもいるだろう。でも、これらの民族の多くの人は愛すべき善良な人たちだ。
 報道が事実ならば、フランシスコ教皇は自分と異なった宗教の人に、悪人がいることを以て、彼らの多くが悪人であるかのように主張しているようだ。このような考えこそ、唾棄すべきネオナチそのままである。

新興宗教の本2022年11月29日

 
創価学会『折伏教典』
真如苑『一如の道』

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