本の紹介ー進駐軍向け特殊慰安所RAA2022年05月27日

 
村上勝彦/著『進駐軍向け特殊慰安所RAA』ちくま新書(2020/3)
 
終戦直後、日本は急遽、GHQ向けに、日本人女性を集め、売春所を建設した。米軍向け売春場は、アメリカ本国で批判を受け、半年後には閉鎖になった。
GHQ向け売春所や米軍人による強姦犯罪などについては、占領下では報道禁止となっていたため、当時報道されることはなかったが、米軍相手の売春婦(いわゆるパンパン)は良く知られた存在だった。

 本書の前半はRAA設立のいきさつから、売春婦の募集、売春の実態を記す。もともと売春婦であったものの募集も多かったが、事務員名目で募集した者に売春をさせて自殺した話など、嫌がる女性に売春を強いた話も記載されている。
 売春所があったにもかかわらず、米軍人による強姦は頻発していた。これらについても若干の記述がある。
 本書の後半は、売春所が閉鎖になった後の話。公的売春所が閉鎖になると、私的な売春が流行るようになった。

 GHQ向けの売春所については、これまでいくつかの本も出版されているので、関心のある人は知っているはずだが、売春や性犯罪の歴史は、学校で習うことが少ないので、知らない人も多いと思う。本書は、新書版で手軽に読めるため、日本史の闇の部分を知るうえで、好適な書と言えるだろう。

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