本の紹介ー日本会議の解説2017年01月18日

「日本最大の右翼組織」「安倍政権を支える国家主義団体」と報じられる日本会議について、最近いくつかの本が出版されている。中でも有名なのは、菅野完の本だ。ここでは、この本以外の4冊を紹介する。
  
  
上杉聰/著『日本会議とは何か 「憲法改正」に突き進むカルト集団』合同出版 (2016/5)
 タイトルに「カルト集団」とあることからもわかるように、日本会議と諸宗教団体との関係の説明が詳しい。
 日本会議が「生長の家」「念法真教」のような新興宗教や神社本庁・仏教系宗教団体などを糾合する形で生まれ、これら諸宗教団体関係者が運動の主体を担っていることを明らかにした後、日本会議の主な活動である「憲法改正」「教科書問題」などへの積極的な関与を明らかにしている。
 本書を読むと、日本会議は「おどろおどろしい」団体であって、警戒が必要であることが理解できる。日本会議にはそのような一面があるのだから、この本を読む意義は大きい。しかし、この本だけで日本会議の全体を理解したと思ってしまったら、それは一面的な理解だろう。
  
  
俵義文/著『日本会議の全貌 知られざる巨大組織の実態』 花伝社 (2016/6)
 日本会議の出自を宗教系と学者系との2つの側面から解説。さらに、日本会議の活動である「憲法改正」「教科書問題」などへの積極的関与を明らかにする。
 この本を読めば、日本会議の全貌が理解できる。しかし、「なぜ日本会議は政権中枢に影響力を及ぼすようになれたか」この点がわからなかった。
  
  
青木理/著『日本会議の正体』 平凡社 (2016/7)平凡社新書
 日本会議の概要を知るために1冊読むとしたら、本書を第一に薦めたい。文章も読みやすい。この本を読んだ限り、日本会議におどろおどろしさは感じられない。
 上杉聰の本などでは、日本会議と宗教系団体との関係が中心に描かれているが、本書では右翼系学者らとの関係も詳しい。日本会議は国政に影響を及ぼす有力団体になっているが、なぜ、そのようになったのか、本書を読むとその答えがあるようだ。
  
  
山崎雅弘/著『日本会議 戦前回帰への情念』集英社 (2016/7)集英社新書山崎雅弘/著『日本会議 戦前回帰への情念』 (2016/7)集英社新書
 本書は、日本会議の思想・政策と安倍政権がそれらを取り入れていることを示すもの。「日本会議がどのような理由で政権に影響を及ぼしているのか」、「日本会議の出自は何か」などについては、詳しくない。



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