本の紹介-明治政府と日露関係2026年07月06日

 
醍醐龍馬/著『明治政府と日露関係: 樺太千島交換条約とその時代』有斐閣(2025/12)
 
 1875年、明治政府はロシアとの間で「樺太千島交換条約」を締結した。
 本書は、この条約を締結するに至った状況を詳述する研究書。著者の博士論文がベースとなっているようで、内容は高度で、この分野に対するそれなりの予備知識がないと読めないだろう。日ロ関係史の研究書としては、長谷川毅/著『北方領土問題と日露関係』 があるが、本書も同様に高度な内容のため、一般的啓蒙書のつもりで読むと歯が立たない。
 1855年、日露和親条約だ締結されるも、樺太に対する国境は定めることができず、これまでのしきたり通りとされた。1867年には樺太仮規則が締結されたが、この時も国境を定めることができなかった。日本は、樺太全島領有や、中間の北緯50度線を境界とすることなどを望んでいたが、実際には樺太へのロシア勢力の進出は盛んだったにもかかわらず、日本の進出は遅々として進まなかった。
 本書は、樺太仮規則以降の戊辰戦争等の日本の北方状況から説明し、樺太放棄反対派だった副島種臣から樺太放棄論者の黒田清隆へ交渉責任者が変わったことや、榎本武明のサンクトペテルブルグでの状況など、日本の状況が詳述されている。また、条約締結の背景としてマリア・ルス号事件のロシア皇帝による国際仲裁裁判と、長崎稲佐ロシア村の話がある。
 本条約でロシアは幌筵島を含む得撫島以北の全千島を日本に引き渡した。本書にはロシアが譲歩した背景の説明なども書かれているが、日本の状況に比べてずっと少ない。
 なお、学術論文のため、参考文献の掲載も詳しい。

コンスタンチノフカ解放2026年07月04日

コンスタンチノフカはロシアにより解放された模様。
ウクライナ・ロシア戦争は、現在、ロシア軍に極めて有利に進んでいる。

コンスタンチノフカはドネツクの北60㎞にある都市。
昨年12月、ドネツク州ポクロフスクが解放された後、コンスタンチノフカの解放が焦点となっていた。1か月ほど前、コンスタンチノフカはほぼ解放された。しかし、この時は、市内のビル地下などにウクライナ敗残兵が立てこもっており、また北西部は解放されていなかった。

ドネツク州の未解放大都市はスリャビンスクとクラマトルスクのみ。

本の紹介ー西洋の敗北と日本の選択2026年06月27日

 
エマニュエル・トッド/著『西洋の敗北と日本の選択』文春新書(2025.9)
 
著者は社会学者(人類学者)で、2024年に文芸春秋社から出版された『西洋の敗北』はロシア・ウクライナ戦争での欧米諸国の問題を明らかにしたことで、大きな話題となった。本書は、ロシア・ウクライナ戦争に対する直接の記述は減って、米国の退潮、西欧の退潮と、これに追随する日本の政治姿勢を明らかにしている。
2023年から2025年に文芸春秋に掲載された著者の論文や対談をまとめたもの。
本書は、前書『西洋の敗北』に比べ容易に読めるが、いくつかの論文等をまとめたもののため統一性に若干欠ける気がした。

本の紹介-なぜカルト宗教は生まれるのか2026年06月20日

 
浅見定雄/著『なぜカルト宗教は生まれるのか』日本キリスト教団出版局(1997/3)
 
著者はユダヤ教・初期キリスト教の研究者として、また大学教授として、早くから統一教会のマインドコントロールや詐欺商法問題に取り組んできた。
本書は主に1995年ごろに書かれた論文をまとめたもの。カルト問題を扱っているが、20ページ程度の論文をまとめたものなので、本としての統一感は今一つ少ない。当時、オウム問題が社会の関心事だったため、本書もオウム問題に関する記述が多いが、統一教会にも触れられている。著者の本職はキリスト教学者なので、統一教会のインチキぶりには我慢ならないのだろう。
 
著者は現在もご健在のようである。長い間、著者が取り組んできた統一教会は、すでに解散命令が出されている。どんな気持ちでおられるのだろう。

コンスタンチノフカ、リマン2026年06月17日

ロシア・ウクライナ戦争では、5月以降ロシア軍の攻勢が活発化している。これは例年のことで、春の雪解け期は地面が泥濘化して、機械力に勝るロシア軍の優位性が損なわれるが、気温の上昇に従い乾燥してくると、ロシア軍の攻勢が活発になる。
 
ドネツクの北60㎞にあるコンスタンチノフカはロシア軍による開放が最終段階に入った。ウクライナ敗残兵がビルの地下などに潜んでいる状態で、彼らに対する補給はドローンなど限られた手段しか残されていない。
 
ここ数日、コンスタンチノフカの北50㎞にあるリマンに対するロシア軍の攻勢が活発化している。小集団による市街地への突入なのか、大軍で襲っているのか、情報は混乱しているが、ウクライナ軍の守備はほとんど崩壊状態の模様。

本の紹介-写真が語るアイヌの近代2026年06月15日

 
大坂拓/著『写真が語るアイヌの近代―「見せる」「見られる」のはざま』新泉社(2025/3)
 
幕末に日本に写真術が入ってくると、アイヌの写真が撮られるようになる。本書は、主に、戦前にとられた噴火湾を中心とする地域におけるアイヌの写真をもとに、明治以降のアイヌの姿を説明するのも。写真自体の解説よりも、むしろ、明治以降のアイヌ史に主眼が置かれているように感じた。
アイヌの写真といえば、樺太アイヌや色丹アイヌのものも残されており、これらも興味深いものであるが、本書は主に噴火湾地域を対象としてるため、樺太アイヌなどは本書には含まれない。

本-唯識2026年06月13日

 
加藤朝胤/監修、船山徹・石垣明貴杞/著 『唯識 これだけは知りたい』法蔵館(2023/4)
  
本は全4章に前書きと後書きが付く。
4章のうちの3章が、それぞれ、インドの唯識の歴史、中国の唯識の歴史、日本の唯識の歴史。歴史を知ることも重要だから、唯識思想をある程度知っている人にとっては、ある意味重要な内容なのかもしれないが、あまり唯識思想になじみのない人にとっては、高校歴史教科書を暗記しているだけのようになってしまう感じがした。
第4章は基本用語で、①原子の存在否定 ②三性説 ③阿頼耶識 ④悟るための修行 ⑤仏の三身説 と5節の解説がある。これを読むと瑜伽行唯識派の思想の雰囲気がなんとなくわかるかもしれないが、物足りない気がした。

コンスタンチノフカ解放間近2026年06月09日

コンスタンチノフカはドネツクの北60㎞にある都市。
昨年12月、ドネツク州ポクロフスクが解放された後、コンスタンチノフカの解放が焦点となっていた。現在、ロシア軍はウクライナ兵の包囲をほぼ完了した。包囲環に残っているウクライナ兵や傭兵は200人程度と見られている。数日中には解放宣言が出されるだろう。

ガステリア開花2026年06月08日


3年前、根腐れを起こしたガステリアが復活して、ようやく開花にこぎつけた。多肉植物一般に言えることとして、水のやりすぎに注意、水をやるときは鉢底からこぼれるぐらいたっぷり、とする。しかし、このガステリアのように大鉢では、水をたっぷりやると、どうしても乾く暇がなくて根腐れを起こす。このため水やり回数も、水やり量も控えめが良いようだ。

本の紹介ー描かれた蝦夷地・北海道イメージの500年2026年05月31日

 
濱口裕介/著『描かれた蝦夷地・北海道イメージの500年 地図で読む日本北辺史』(2025/9)山川出版社

本書の内容は、日本側から見た北海道の歴史の解説。本のタイトルだと、古地図の解説のようにも感じるが、古地図を使った歴史解説の書であり、北辺地図の変遷を解明するものではない。
 
本書は5章構成で、それぞれが、各時代に対応している。
第1章:桃山時代以前
第2章:江戸初期から中期
第3章:幕末から明治初期
第4章:明治から戦前
第5章:戦後
 
本書は、日本製古地図の写真が多く、文章も読みやすいので、日本側から見た北海道の歴史を知るうえで参考になる本だと思う。

* * * * * *

<< 2026/07
01 02 03 04
05 06 07 08 09 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31

RSS