福島原発事故2012年10月21日

南側から、放射能汚染立ち入り禁止区域の手前まで行きました。
 
常磐自動車道は、四ツ倉以北はいけないので、そこから国道6号に入る。Jビレッジの横を通って、道の駅・楢葉に行くと、道の駅は閉鎖中で、臨時警察署になっていた。
さらに北上すると、まもなく、許可車両以外通行止め。ここは、富岡町の境で、富岡町は関係者以外立ち入り禁止になっている。
 

 
楢葉町も人の気配が少なくて、田んぼは、セイタカアワダチソウの原でした。

本の紹介-尖閣諸島 冊封琉球使録を読む2012年10月22日


原田禹雄/著 『尖閣諸島 冊封琉球使録を読む』 榕樹書林 (2006/01)

 著者は、もと医療官僚で、歴史学の専門家ではなかったが、返還直前の琉球で医療活動に従事した縁で、沖縄史に興味を持ったようで、琉球冊封使関連の著書などがある。尖閣問題では、日本史学者の井上清による尖閣中国領論が有名であるが、本書は、井上の琉球冊封使関連の歴史理解に対して反論している。文章のニュアンスは、反論というよりも、罵倒のように感じる。
 本の最初の1/5程度が、尖閣問題の解説と、井上説の批判。残りの4/5は冊封使関連文書の抄訳。ただし、この中にも注釈として、井上説批判が多数書かれている。井上の尖閣中国領論は歴史的状況を多面的に論じているのに対して、本書は冊封使録の著者の解釈のみで、井上説を否定しているが、部分的考察にとどまっている。 P21に以下の記述がある。  
念のために、郭汝霖の通過した標識島を使録からあげると、東湧山、小琉球、黄茅、釣嶼、赤嶼である。東湧山は中国固有の領土であることを、私もまた認める。しかし、小琉球=台湾が、明代に中国固有の領土であることを私は認めない。『明史』巻三二三の列伝二一〇の外国四に、「鶏龍」がある。この鶏龍こそが、今、いうところの台湾なのである。従って郭の通過した小琉球は、井上のいうような「中国領であることは自明の島」では、断じてない。従って、明代の尖閣諸島に対する井上の主張の根拠は、完全に虚構なのである。
   『台湾が、明代に中国固有の領土であることを私は認めない』とは、いったいなんだ?!  確かに、台湾が中国の領土になった時期は清代の鄭成功の時代以降であるとする見解が多いだろう。しかし、明代に台湾が中国領だったとする見解も存在し、どちらが正しいというものではなくて、これは、領土認識の違いだ。原田の見解が如何であっても、それと異なる見解が『完全に虚構』などというものではない。まして、原田の書くように『私は認めない』などと、原田が認めることが、学説の真実の条件ではない。いったい、原田は何様のつもりで書いているのか、呆れる。
 こんな書き方ではなくて、台湾は清代に中国領となったとの説の正当性を説明して、その上で、明代には尖閣も中国領ではないと、普通に説明すればよいのに。
 原田禹雄と井上清の見解の相違は、原田禹雄が清代以前の領有を近代ヨーロッパで生まれた国際法の法理で理解しようとするのに対して、井上清は、当時の明・清の領土認識で理解しようとする事から来ている。
 この件に対して、高橋庄五郎/著「尖閣列島ノート」P194には、以下の記述がある。  
中国(明)の太祖が琉球中山王察度に詔諭をあたえたのは、一三七二年であり、太祖の冊封使が琉球に来たのは、一四〇二年である。以来、琉中間には国境問題も領土紛争も全くなかった。琉球国は三六島であり、琉球国と中国とのあいだに第三国があるはずはなかったし、無主の地というものがあるなどという理屈は、思いもおよばなかったことである。陳侃が皇帝の使節として琉球に赴いたときには、尖閣列島にはすでに中国の島名が付けられてい た。そして、一五三四年に発表された陳侃の『使琉球録』は、四〇〇年も後世の国際法の法理「無主地の先占」に対抗するために書かれたわけではない。これは、国際法における無主地の先占というものを知っていて、デ・ロングアメリカ公使やアメリカのル・ジャンドル前厦門領事などにそそのかされて、一八七四(明治七)年に、台湾を無主の地として兵を送り、中国から厳重な抗議を受けて、大久保利道内務卿が自ら中国に赴かなければならなかった明治政府とはわけが違う。中国でも琉球でも官吏や船員は、福州から那覇へつうずるこの海の道をよく知っていた。琉球の船員は慶良間で養成され、海外へ渡航する船の船員の三分の二までは慶良間の出身者であった。那覇と福州とのあいだにある島は、琉球のものでなければ宗主国中国のものだという認識であった。また当時の中国の領土意識から考えてもそうであった。
   本書は、高橋庄五郎の本が出版された後、17年もたってからの出版なのだから、高橋の見解に対する考慮があってしかるべきではないだろうか。そのような考察もせずに、井上清説を『完全に虚構なのである』と断じているのは、著者の不勉強か、それとも、単なる悪意だろうか。

 ところで、P118には、鄭若曽『琉球図説』の解説がある。ここでは、以下のように記載し、井上清説を批判している。
琉球図説と明記した中に、小琉球の台湾も尖閣諸島も…澎湖諸島まで描きこまれている。この図を出して、「中国人が、明確に琉球国図の中に書いているのだから、台湾も宝庫等も琉球のものだ」と、私はいう気はない。しかし、それと同じことを、今もなお、そ知らぬ顔で主張し、強弁している人がいることだけはたしかである。
 琉球図に台湾が描かれているのに台湾は琉球の一部ではないのだから、中国図に尖閣が書かれていることは、尖閣が中国領である根拠にはならないとの主張だ。冊封体制における宗主国と朝貢国の違いがまったく分かっていないようだ。宗主国の領土認識では、琉球などの朝貢国を含めて、地図に書かれている範囲が中国領であり、朝貢国は、その支配範囲が、その国の領土であるとの認識があった。このため、井上清のような考えは、当然にありうるのであって、鄭若曽『琉球図説』に台湾が載っていても、井上説の批判にはならない。ただし、領土の領有の定義によって、井上説に反対であるというのならば、それは正当な考えだ。

週刊朝日 10月26日号 橋下徹 『ハシシタ奴の本性』2012年10月23日

 金曜日、電車の中で暇だと思って、名古屋駅で週刊朝日を買った。あまり興味は持てなかった。と思っていたら、Yahooオークションではプレミヤが付いている。佐野真一は、別の方法で、出版するのだろうか。週刊朝日の記事は、あまり面白くなかったけれど、こうなると、先を読みたくなる。

 週刊朝日は「記事中で、同和地区を特定するような表現など、不適切な記述が複数ありました」とのコメントを出した。たしかに、佐野真一の文章の中には、橋下の父親の説明で、「出身地の八尾市安中地区には被差別部落がある」との記述がある。これは不適切な表現なのだろうか。
 私の出身地、群馬県安中市松井田町大字新堀には、被差別部落があるけれど、このように書くことは、不適切なのだろうか。自分が、同和問題や、差別問題にどのような認識を持っているのか、そういうことの出発点は、被差別部落に隣接した地域で、生まれ育ったことと、全く無縁なわけではない。
 橋下の政治手法と、彼の父親が八尾市安中地区出身のヤクザだったことが無関係とは思えない。そのことで、橋下の政治手法を否定的に捉えるか、肯定的に判断するかは、人それぞれだろう。有力政治家なのだから、その出自を明らかにすることが、間違いだとは思えない。

 「政策論争をしないで先祖を徹底して調査し暴露するというのは言論の自由の領域を越えたもの」と橋下は言っているようだ。全く、間違ったものの見方だ。政治と言うのは、政策だけではなくて、政策の決定過程や、政策の実施も重要だ。政策の決定過程には、政治指導者の個性が反映されるので、橋下の生い立ちを調べることはジャーナリストとして当然のことだ。政策に興味のあるジャーナリストもいるだろうし、実施状況に興味があるジャーナリストもいるだろう。「政策に興味を持ちなさい」などと、政治家が指図すべきものではない。
 
 ところで、橋下が言っているように、佐野真一は、橋下の「先祖を徹底して調査し暴露」しようとしていたのだろうか。週刊朝日の記事では、せいぜい、父親や、その周辺だけであって、『先祖』などと大げさなものではない。橋下の先祖をジャーナリストが調べたら、何代前までさかのぼれるのか。

本の紹介 低線量汚染地域からの報告2012年10月24日


低線量汚染地域からの報告―チェルノブイリ 26年後の健康被害

 本書は、今年、9月にNHKで放送された番組の書籍版。

 チェルノブイリ原発から140kmほど離れた、ウクライナ・コロステンの状況を中心に、低線量被曝地域の健康被害状況を説明している。チェルノブイリ事故から25年以上たつのに、10代の子供の慢性疾患が非常に多い。放射能の直接聞影響かどうか、今のところ明確ではないので、日本をはじめIAEAなどでは、放射能の影響とは認めておらず、ウクライナ・コロステンの経験を考慮することなしに、福島では、汚染地域で居住し、多少セシウムを含んでいる食品も普通に消費されている。

 昔、水俣病の原因がチッソの水銀汚染であることが医師たちの間でほとんど分かった後でも、政府やチッソは、なかなかそれを認めようとせずに、いたずらに患者を増やし続けたことがあった。福島は、どうなのだろう。

本の紹介―領土問題をどう解決するか2012年10月25日


和田春樹/著『領土問題をどう解決するか 対立から対話へ』 平凡社新書(2012.10.15)

著者は、ロシア史が専門であり、北方領土問題で日本政府の論に反対する論客として有名。本書は、日本の領土問題である、北方領土・竹島・尖閣の解説であるが、大半は北方領土問題に当てられ、竹島・尖閣は少ない。

本書は、「固有の領土」論の欺瞞性を指摘し、領土問題の解決のために、「固有の領土論」を捨てることを主張する。
そのうえで、北方領土問題の経緯と、クナシリ、エトロフを日本が放棄した事実を指摘し、2島返還+αの解決を主張している。

領土問題では、浅薄なナショナリズムを刺激し、過剰な要求に国民を酔いしれさせる勢力が存在する。しかし、このような要求が、外交交渉で通じるはずもなく、現実には、フィフティー・フィフティーの妥協になる。著者の主張は、冷静に史実を見つめることにより、現実的な解決方法を提示するものであるため、勇ましいことを、日本語だけで唱えて自己満足する人には、著者の説は、受け入れがたいかもしれないが、現実を直視することは必要だ。

ところで、サンフランシスコ条約会議で、米国国務長官ダレスは、日本が放棄した千島に歯舞は入らないというのが、米国の考えであると発言した。1986年の岩波書店「世界」12月号には、著者の論文が掲載されているが、この中で、「色丹島と歯舞諸島というべきところを、言いまちえたと解釈される」としていた。しかし、本書では、地理学上の常識として、シコタンは千島(クリル)に含まれることを指摘し、ダレスの発言は、歯舞が千島に含まれないという、地理学上の常識を確認したものとしている。著者の考えが、変わったのだろうか。

本の紹介-チェルノブイリ原発事故がもたらしたこれだけの人体被害2012年10月27日

 
『チェルノブイリ原発事故がもたらしたこれだけの人体被害 科学的データは何を示している』
IPPNW(核戦争防止国際医師会議)ドイツ支部/著  合同出版 (2012/3/30)

 チェルノブイリ原発事故では、小児甲状腺癌以外に、いろいろな放射線被曝の影響と思えるような健康被害が報告されている。
 本書は、チェルノブイリ汚染により、どのような健康被害が生じているか、汚染と健康被害にはどのような統計的際が認められるか、などの、科学的データを提供するものである。汚染地帯に、健康被害が発生していても、それが、本当に放射線の影響なのか分からないが、だからといって、放射線の影響ではないと分かっていることにもならない。
 チェルノブイリ汚染地帯で生じている健康被害の原因が正確に分からないとしても、危険の可能性があることを意識すべきだ。福島原発事故でも、政府やIAEAの安全神話を鵜呑みにするのではなく、どのような危険の恐れがあるのか、考慮に留め置くべきだろう。本書は、福島汚染を考えると、暗い気持ちになるが、避けては通れない。

本の紹介 ニコライの首飾り2012年10月28日

 
白浜祥子/著 『ニコライの首飾り 長崎の女傑おエイ物語』 彩流社 (2002/03)

 『稲佐のお英』こと『道永英』の伝記。
 幕末から明治にかけて、ウラジオストックのロシア艦隊は長崎稲佐で越冬した。当時、稲佐はロシア人将兵相手の売春で栄えた。道永英は長崎稲佐でロシア人将校相手のホテルを経営した女傑。
 本は伝記なので、史実と著しく異なることはないが、史実だと確定していないことも、事実のように記載されており、正確に歴史を知りたい人には不向きだが、時代の雰囲気を知る上では適切な内容。

ホームページ追記2012年10月29日

 
 10月20日に南側から、放射能汚染立ち入り禁止区域の手前まで行きました。常磐自動車道は、四ツ倉以北はいけないので、そこから国道6号に入り、Jビレッジの横を通って、道の駅・楢葉、楢葉町役場を通って、富岡町の境まで行きました。ここから先は、許可車両以外通行止め。
 このときの写真を、ホームページにアップしました。
http://cccpcamera.photo-web.cc/GENPATSU/FUKUSHIMA4/index1.htm
http://cccpcamera.photo-web.cc/GENPATSU/FUKUSHIMA4/index2.htm

 上の写真は、原発事故後、事故対応作業員の宿舎に当てられているJヴィレッジ。競技場が宿舎になっていました。(ここは、関係者以外立ち入り禁止なので、外から撮った写真を加工しています。)

本の紹介-尖閣諸島売ります2012年10月31日

 
栗原弘行/著『尖閣諸島売ります』 廣済堂出版 (2012/9/28)

尖閣列島は、以前は、古賀氏が所有していたが、その後、栗原家が所有した。最近、政府に売却した。
本書は、栗原家次男の栗原弘行による、尖閣と栗原家のかかわり合いの話。

・古賀氏が尖閣を所有した歴史的経緯
 これは従来から知られてきたことの繰り返し。

栗原家が古賀氏から尖閣を受け継いだ経緯
 栗原家が古賀氏から尖閣を受け継いだ経緯については、著者は知らないとのことで、何も書かれておらず残念。
 著者は大金を石垣島に運んだとの話が書かれているが、これは、古賀氏に渡したのだろう。古賀氏は大金をどうしたのだろう。何も書かれていない。

・栗原家の説明
 特に興味のある話ではなかった 

・栗原家と尖閣のかかわり合い、および、政治家とのかかわり合い
 栗原家が尖閣を所有してきた経緯でもあり、興味が持てる内容です。

・東京都に売却をしようとした理由
 東京都は財政が豊かである事と、東京都所属島嶼があること、それから、東京都が他県の土地を所有しているので、尖閣を所有してもおかしくないとの趣旨である。しかし、所属することと、所有することは違うことであり、また、所有している土地は、活用するために所有しているので、尖閣を東京都が所有するとなると、極めて異例なことなのに、そのあたりの説明が全く欠けている。地方自治体に所属することと、地方自治体が所有することの違いを理解していないのだろうか。

・一転して政府に売却した理由
 具体的なことは、何も書かれていない
 
 ところで、尖閣には、指定広域暴力団住吉会系の右翼団体・日本青年社の建てた灯台があって、かつては、この右翼団体が毎年のように尖閣に上陸していた。栗原家がどのようないきさつで、日本青年社に灯台を建てることを認めたのか興味のあるところであるが、何も書かれていない。日本青年社は、住吉会系の中でも、もっとも犯罪傾向の強い、小林一家会長・小林楠扶の作った団体なので、栗原家が、暴力団や犯罪組織とどのような関係があったのか興味のあるところである。

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