ホームページ追記2012年10月01日

やさしい北方領土問題の話
 http://www.ne.jp/asahi/cccp/camera/HoppouRyoudo/Yasashii.htm 
のページに、
『なぜソ連は日本に宣戦布告したのですか?ソ連の参戦は国際法違反ですか?』を追記しました。高度な内容ですが、ソ連対日参戦を違法であるとの見解が日本国内では強いけれど、そのような見解を海外では全く聞かないので、この点の理解のために、追記しました。


また、北方領土問題のホームページの中に、尖閣列島問題のページを作りました。まだ、関連する図書数冊の紹介だけです。
http://www.ne.jp/asahi/cccp/camera/HoppouRyoudo/Other/senkaku/indexbook.htm

那須2012年10月07日

 
 10月なのに、涼しくない日が続きます。
 昨日は、那須トレッキングしました。ロープウエイで上がって、茶臼・朝日・三本槍を通って、北温泉に下りました。上のほうは紅葉しているけれど、下はまだまだ。上の紅葉も唐松はまだです。今年は、紅葉が遅い。
 大丸温泉より上はマイカー規制してました。

本の紹介 独島(ドクト)研究2012年10月08日


金学俊 (著, 原著)『独島(ドクト)研究―韓日間論争の分析を通じた韓国領有権の再確認』 論創社 (2012/02)

 前書、『独島/竹島 韓国の論理 (2004/05) 論創社』『独島/竹島 韓国の論理 増補版 (2007/11)論創社』の改定新版。前書は一般大衆向けだったのに対して、本書は、より研究者向けになっており、参考文献も豊富。参考文献は、韓国語の本が圧倒的。
 竹島は韓国の領土であるとの立場を一貫して主張し、その根拠や、日本の反論に対する再反論を詳細に記載。

   日本では、竹島を日本の領土とする考えの人が多いが、研究者の中には、必ずしもそうでないとの見解も多い。実際、竹島日本領論は、我田引水的な解釈が多く、まともな研究としては、かなり首を傾げたくなるようなものもある。かつて、外務省の役人だった川上健三氏の著した本では、鬱稜島から竹島は見えないなど、簡単に計算すれば分かるような間違いを、平気で書いていた等、ずさんな理論がまかり通っていた。最近では、これほどずさんな見解はないが、それでも、日本史に対する認識不足等が多く、日本の研究者の間にも、竹島日本領論に対する疑問がある。

 韓国では、一般大衆も研究者も圧倒的大多数が、韓国領と思っている。本書は、竹島韓国領論の集大成とも考えられる。このため、論理に矛盾もなく厳密詳細と言いたいところだが、読んでみると、必ずしも、そうでもないように感じる。

 本書は、300ページを超える大書。これだけの本を、日本人向けに、日本語で出版した点については、敬意を払いたい。

鬼志別2012年10月09日


 7日午前、北海道・猿払村浜鬼志別の海岸で釣り客が波に流され行方不明となった事故で、翌日、小学3年の少年の死亡が確認されました。
 下の写真は、浜鬼志別郵便局。この裏が、すぐ海岸になっています。
 
  
 下の写真は、浜鬼志別郵便局から、少し内陸にある、鬼志別郵便局。
 昭和42年、この郵便局員が勤務時間外に選挙運動を行い、公務員の政治活動禁止容疑で逮捕されたことがありました。この事件は、1審、2審ともに、被告人無罪だったが、検察側上告の結果、最高裁判所は、下級審判決を破棄して、被告人有罪の判決を下しました。現業公務員に一律に政治活動を禁止することが、憲法違反となるか否かが争われた裁判でした。
  
   
 ところで、猿払村には、インディギルカ号遭難慰霊碑があります。1939年12月に座礁したソ連の船舶です。


本の紹介 -『梶村秀樹著作集第1巻 日本人と朝鮮人』2012年10月10日

  
『梶村秀樹著作集第1巻 日本人と朝鮮人』(1992.11)明石書店

 梶村秀樹は、近代朝鮮史学者。この本の中に、1978年に書かれた、43ページの竹島問題論文が収められている。一般の日本人の多くは、竹島は日本の領土だと思っているが、歴史学者の中には竹島日本領論に疑問を持つ人もいる。梶村は近代朝鮮史が専門の学者として、竹島韓国領論者として知られていた。本書は、竹島韓国領を強く主張するものではないが、日本領論には批判的である。
 かつて、外務省の役人だった川上健三氏の著した本では、鬱稜島から竹島は見えないなど、簡単に計算すれば分かるような間違いを、平気で書いていた等、ずさんな理論がまかり通っていた。梶村の批判は、特に、川上の説明に向けられている。この論文が書かれた時代には、川上の論が日本の竹島領有論の中心だったので、梶村の批判がこの点に向けられるのは当然であるが、今では、川上の論をそのまま事実と考える人はいないだろうから、その意味では、梶村の批判も、一面では、過去のものかも知れない。

本の紹介-何かのために2012年10月11日


一色正春/著「何かのために sengoku38の告白」(2011.2)朝日新聞出版

 特に、お勧めしない本です。

 一昨年、尖閣周辺で、中国漁船が海保警備艇に体当たりして捕まった事件で、録画映像をYouTubeに流した男がいた。公務員の守秘義務違反であるが、軽微な犯罪であるとの理由で、不起訴処分になった。本書は、本人による執筆で、言い訳に終始している。逮捕されて、海保を懲戒処分になった挙句に、まだ、このような自分勝手な言い訳とは、海保の職業教育はどうなっているのだろう。海保幹部の猛省を求めたい。

 本のカバーによると、著者は、富山商船高専出身。この高専の商船学は、momotaro.boy.jpによると、偏差値52なので、著者は、小中学校で平均的な成績だったということでだろう。難しい外交問題や法律問題に、ある程度の適切な判断をするためには、その後、かなり勉強しなくてはならないだろうが、著者の経歴や説明からは、そのような事実は窺えない。

 本書の内容は、最初に尖閣列島問題の概要があって、YouTubeに投稿した意図、投稿した時の様子、その後の証拠隠滅と取り調べ、著者の思い、などである。YouTubeに投稿した意図は、単なる言い訳。投稿した時の様子は、特に目新しいことは書かれていない。

 P22に以下の記述がある。
「尖閣諸島は,1885年以降政府が沖縄県当局を通ずる等の方法により再三にわたり現地調査を行ない,単にこれが無人島であるのみならず,清国の支配が及んでいる痕跡がないことを慎重確認の上,1895年1月14日に現地に標杭を建設する旨の閣議決定を行なって正式にわが国の領土に編入することとしたものです。」(外務省HPから)とされており、この事実に関しては異論を唱えるものはいない。
 恐ろしいほどの不勉強だ。この件に関しては、井上清の批判があり、尖閣日本領論者のまともな解説本では、たいてい、井上説を批判しているので、外務省HPの見解には、日本にも強い異論があることは、少し勉強したならば、誰でも知っていることだろう。

 P32,P33の記述に至っては、これが海保の職員だった人の知識レベルなのか、疑いを持ってしまう。記述の内容は、台湾娯楽船の遊魚範囲に尖閣が含まれないことを持って、「それはつまり、尖閣諸島を日本の領土と認めていたことと同じなのだ」と書いている。著者は、海保の職員としても、よほど頭の悪い落ちこぼれだったのだろうか。
 第一管区海上保安本部は、北方領土に、日本の漁船が、ロシアの許可なく入らないように監視している。北方領土周辺海域で、漁業をすると日本の法律で処罰される。だからと言って、北方領土がロシアの領土であると日本が認めたのと同じことではない。第一管区の業務を知っているならば、このぐらいのことは、分かっているだろうに。著者は、海保の業務知識もよほど不勉強だったと見える。

 P166のの記述もいただけない。自分の取材報道陣が多いことに対して
これだけの報道陣がいるのなら石垣に行けばたやすく船をチャーターできるだろうし、その船で尖閣に行けば、もっと多くの人が尖閣に関心を持ってくれるのに
と書かれている。本当に、海保の職員として基礎知識があるのだろうか。石垣で漁船をチャーターして、漁業以外に使ったら、海保が逮捕する案件に該当する。

 法律知識もずさんだ。もっとも、まともな法律知識がある男ならば、守秘義務違反の犯罪などしないだろうが。法律に疑問があるならば、弁護士にでも相談すればよいのにと思って、読んだら、P160に
弁護士に対してある種の偏見を持っており、以前から弁護士を雇った人間に対しても「自分の言葉自分でやれ」という見方でいた
と書かれている。知識がないくせに、専門家に相談をする気もないというのでは、話にならない。

日光白根2012年10月14日

 
昨日は、日光白根登山。ロープウエイ山頂駅付近が、紅葉の見ごろでした。山麓駅に着いたのが8時を過ぎていたので、山頂駅から頂上までの登山道は、若干渋滞していました。五色沼経由で下山したけれど、こちらはそれほど人がいなかった。
写真は、山頂駅から見た白根山。

本の紹介-原発と原爆 「日・米・英」核武装の暗闘2012年10月15日


原発と原爆 「日・米・英」核武装の暗闘  有馬哲夫/著 (2012/8)文春新書

 日本が最初に導入した原発は、アメリカ製ではなくて、イギリス製のコールホルダー型原発だった。当時アメリカとは、原発生成物であるプルトニウムを返還する必要があったが、イギリスから導入した原発にはその必要がなく、生成されたプルトニウムは、核兵器の材料に使えるものだ。しかし、イギリスから導入した原発はほとんど使いものにならず、商用原発はアメリカ製のBWRやPWRになる。

 本書では、日本の原発開発と核兵器所有欲求を結びつけて説明している。しかし、コールホルダー型原発は、ほとんど使い物にならず、その後の日本は、日米安保体制の元、核兵器を持たないことを国是としたのだから、日本の原発史にとって、核兵器開発の欲求を考慮することが、どれだけ重要なことなのか疑問ではあるが、こういうこともあったと、歴史を一瞥するために、本書は、それなりに面白い。

本の紹介 上地龍典/著『尖閣列島と竹島』2012年10月17日

上地龍典/著『尖閣列島と竹島 中国・韓国との領土問題』(1978/10)教育社

表題は『尖閣列島と竹島』となっているが、内容の80%は尖閣の話。
尖閣・竹島ともに、日本の領土であることを主張する内容であるが、ページ数の関係だろうか、竹島に対する論拠は、今一つ明確ではない。

 尖閣が日中どちらのものであるかの論争は、日本では、井上清の中国領論と、奥原敏雄の日本領論が有名である。本書は奥原説に従って、日本領論を唱えるものであるので、すでに、奥原の論文や、関連書籍を読んでいる者にとっては、特に目新しい内容は感じられない。本書は新書版で、一般大衆を対象とした解説書。

 明代の記録に、尖閣は明の冊封使の標識島となっていたとの記述があり、地図にも、尖閣列島が掲載されている。また、尖閣は明・清と冊封関係にあった琉球に含まれていない。井上清はこれらのことをもって、明代には、尖閣は中国の領土となっていたとしている。しかし、尖閣は無人島なので、役人が税を取り立てるとか、軍隊を派遣して防衛を図るとか、そのようなことはなかった。このため、18世紀以降の国際関係における実効支配を明が確立していたわけではない。このことをもって、本書では、尖閣は無主地であったとしている。
 ところが、竹島問題の解説では、P129に明治38年の日本領土編入の説明で「それまでも、歴史的に日本領土であった竹島」と記載しており、著者の領有権の認識がどうなのか不明である。

 P31には、日本は尖閣に対して国際法上の先占権があるとし、さらに「国際法上の先占権」の説明に「帰属のはっきりしていない地域(無主地)については、先に支配した国に領有権がある」と記載しているが、これでは、強盗の論理になってしまう。無主地の条件は、「帰属のはっきりしていない」ではなくて、「どの国にも帰属していないことが明白」であることが必要であるにもかかわらず、尖閣も竹島も、帰属が明白でないことを理由に、日本領に編入したことが、現在の領土問題の発端となっている。日本は、明治期の尖閣領有に付いて、どの国にも属さないことが明白だった為に日本に領土編入したと説明しているので、本書の解説では、日本の建前とは異なってしまう。「帰属がはっきりしていないから、強奪したんだぞ」と言いふらしたら、国際信用は台無しだ。誤記載かもしれないけれど、不用意にこのような書き方はすべきではない。

 P97には、井上清説への反論が、奥原説に従って記載されている。この中で、特に、いただけないのが、林子平の三国通覧図説の問題である。
 三国通覧図説の付図に、尖閣は中国と同じ赤色で着色されているため、中国領であるとの井上清説に反論して、台湾と朝鮮が同じ色で、日本と満州が同じ色なのだから、尖閣が中国領ならば、台湾は朝鮮領で満州は日本領でなければならなくなると書いている。普通に小学校を出ているならば、こんな誤りはしないだろう。地図の国別色塗りとは、「隣り合った国を異なる色でぬる」のであって、「違う国は必ず違う色でぬる」のではない事は当たり前だ。小学校で配られた地図帳でも、国が150カ国以上あるからと言って、150色以上で着色されていることはない。奥原説の引用だとしても、少しは考えてから、引用すべきだ。なお、同じことをP138の竹島問題でも書いているのには、あきれる。

 本書の尖閣領有論の論拠は、奥原敏雄説なので、『緑間栄/著 尖閣列島(1984年)ひるぎ社』と同様である。しかし、緑間栄の本の方が、内容が詳しい部分が多く、尖閣領有論の論拠を知りたいのならば、緑間栄の本の方が良いかもしれない。

 P76~P78に沖縄返還時の米国の態度の説明がある。最近は、尖閣が日米安保の対象範囲であることが強調され、領有権問題に対する米国の態度は、あまり報道されないので、この部分を知っておくことは、尖閣問題を考える点で重要だ。
 当時、福田外相が、沖縄返還に際して、尖閣が日本領であることを米国に宣言してもらうように、米国と折衝していたが、米国は、尖閣の施政権を日本に返還するのであって、主権の帰属について中立の立場を取るとの見解を表明した。現在も、米国は、尖閣の領有権問題に関して、中立の立場を取っている。

本の紹介―日米中トライアングル2012年10月18日

 
 王緝思、ジェラルド・カーティス、国分良成/編 『日米中トライアングル 三カ国協調への道』  (2010/11) 岩波書店
 
 本の内容は、日米中、3国関係に関する12編の論文。
 
 第6章に、マサチューセッツ工大准教授テイラー・フレイヴェルの23ページの論文、『日米中関係と尖閣諸島(釣魚島)』がある。
 日本・中国以外の人による尖閣問題の論文は少ないので、その点でも興味が持てる。論文の内容は、尖閣が日中どちらに属するのかと言うことではない。領土問題がある場合は、関係国間で、解決の努力がはらわれるわけであるが、尖閣に関しては、日中両国ともに問題解決の意思が乏しく、先延ばしされてきた。お互いの主張が異なっているにもかかわらず、これまで、領土紛争が起こらなかった理由を、日中米3カ国の態度をもとに考察している。
 最近、尖閣で日中対立が起こっているが、この論文は、対立が起こる前のもの。

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