「菊の紋章」を踏み潰すのは日本人のマナーです2026年09月07日

先日、ロシアはハバロフスクに戦勝記念碑を建立した。「菊の紋章」が描かれた樺太国境標石を破壊する兵士の銅像だ。「菊の紋章」が破壊されていることを高市総理は抗議したとのことだ。
近年、「日の丸」や「菊の紋章」はあまり見かけなくなったので、若い人の中には、何か特別な意味を感じる人もいるかもしれない。でも、かつての日本では、「日の丸」「菊の紋章」は当たり前のようにあったので、普通に処分されていた。
 
戦後、長い間、宮内庁は皇室行事にボランティア参加した人などに「恩賜の煙草」を配っていた。この煙草は、金色の「菊の紋章」が描かれていた。当時は路上喫煙も普通だったので、「恩賜の煙草」をもらった人がそれを路上で吸った後、吸い殻をポイ捨てすることがあった。火が付いた吸い殻をそのままにしてはいけないので、喫煙者のマナーとして、「菊の紋章」が描かれた吸い殻は、靴で踏みつけることが、当然のマナーとして行われていた。
 
また、戦前の郵便切手の多くには「菊の紋章」が描かれていたので、用済みの郵便物などを捨てるときに、「菊の紋章」が破かれたり、丸めてごみにされるすることは、日常的なことで、日本人ならほとんどの人がそのようにしていた。
 
物が壊れたり、壊されたりするのは、当たり前のことなので、先人は、壊される・壊れることを承知で「菊の紋章」入り国境標石を作ったのだろう。

対日戦勝記念日2026年09月06日

2026年9月3日、ロシア・ハバロフスクでは、対日戦勝を記念して、兵士の銅像の除幕式が行われた。
  
   
日露戦争で日本が勝利すると、帝政ロシアは南樺太を割譲し、その結果、樺太中央の北緯50度線が日露の国境となった。国境には、4つの国境標石が置かれた。
1945年8月、太平洋戦争末期に、ソ連は対日参戦し、樺太では北緯50度の国境を越えて南樺太を解放した。
今回作られた銅像はその時の状況を象徴するもの。樺太国境二号標石は、現在、根室市歴史と自然の資料館に保管されている。今回作られた銅像ではソ連兵が国境標石をたたき割っているが、実際の標石はそんなに簡単に壊れるものではなく、実際の標石は銃弾で端が何か所かかけているだけなので、銅像はだいぶ誇張がある。
   

   
この銅像に対して、日本政府がロシアに抗議したとのことである。菊華紋が割られたのが気に入らないようだ。しかし、戦前の日本では、菊華紋は日本国の象徴として、随所で使用されていたので、当時の日本人が菊華紋が描かれたものを破り捨てたり、ごみにすることは日常茶飯事だった。いったい、今の日本政府は何に目くじらを立てるのか。
今回建てられた銅像の国境標石では、日本の菊華紋が割られているが、反対側にあったはずの帝政露西亜の紋章は、完全に破壊されているように見える。
  
樺太国境標石の説明は以下を参照ください。


ハリコフ州ボルチャンスク東部戦線2026年09月03日

  
ウクライナ・ロシア戦争では、このところ全線に渡って、ロシア軍の攻勢が続いている。
ロシア系軍事情報Divgenによると、ロシア軍はハリコフ州ボルチャンスク東部で、ウクライナ軍を包囲した。図はDivgenによるもの。この図では、包囲環の最狭部の幅は2㎞弱で、交戦地帯を含めれば、幅10㎞程度。包囲と言っても、それほど大軍で押さえていないだろうから、包囲されたウクライナ兵は、闇に乗じて走って逃げられる可能性はあるだろう。ただし、脱出禁止命令が出されているかもしれない。

Mala Tokmachka2026年09月01日

 
オレホボはザポロージェ州中部の町。ロシア・ウクライナ戦争開戦時からウクライナ軍の拠点になっている。最近、オレホボへのロシア軍の攻撃が活発化している。
Mala Tokmachkaはオレホボの東の町。ウクライナ軍は、ここにオレホボ防衛拠点を置いている。ロシア系軍事情報Divgenによると、最近ロシア軍はMala Tokmachkaを制圧した。昨年11月ロシア軍が制圧したとしていたが、今年2月にウクライナ軍が奪回したとされていた。今回、ロシア軍が再制圧したことになる。
 
これまでの経緯を見ると、チャソフ・ヤールなどウクライナ軍防衛拠点では、ロシア軍が制圧→ウクライナ軍が奪回→ロシア軍が再制圧の経緯をたどるところも多い。このような場所は、ウクライナ軍が再奪回したところはほとんどないので、Mala Tokmachkaもロシア軍制圧が恒久的になる可能性が高いかもしれない。
 
図はDivgenのもの。

本の紹介-なぜ米国はイランに負けたのか2026年08月31日

 
斎藤貢『なぜ米国はイランに負けたのか』文春新書(2026/7)
 
著者は、元駐イラン日本大使。外交官として、長い間、中東にかかわってきた。
本書は、中東専門家としての、アメリカ・イラン戦争の説明で、軍事力に勝るアメリカに対して、イランが負けていない現実を説明するもの。内容は高度であるが、文章が読みやすく、この地域の知識がなくても、容易に読み進むことができる。

本の内容は、イランの現状、アメリカ・イラン戦争の経緯、高度兵器を持ったアメリがイランに勝てない理由、湾岸諸国の問題など。
イランの現状の中で、イランの理系進学率が高いことを記される。日本の国力低下の原因に理系離れがあるので、この点は日本の教育行政にとっても、大いに参考になるだろう。
高度兵器を持ったアメリがイランに勝てないのは、高価で高度な兵器に対して、安価なドローンで対抗しているため、物量で負けていないことが原因である。また、兵員の死亡についても、アメリカ・イランで世論の評価が異なること、さらに、ホルムズ封鎖により、アメリカのガソリン価格が上がって、トランプ政権が国内で非難を浴びることなどが、原因として挙げられている。本書に書いてあるわけではないが、この戦争は、アメリカにとって不要な戦争で、イランにとって負けられない戦争なのだろう。ベトナム戦争もそうだった。

本の紹介ートランプの戦争とアメリカの敗北2026年08月27日

  
篠田英朗/著『トランプの戦争とアメリカの敗北』ビジネス社(2026/6)

なんか、ふざけた表紙だけれど、内容はいたってまとも。アメリカの衰退と、トランプの場当たり的な対外政策について説明するもの。

コノフィツム開花2026年08月26日

 
暑い日が続きます。こんな暑いのは、今日が最後かな。
コノフィツムが開花しました。

本の紹介ーユダヤ人の歴史2026年08月24日

 
鶴見太郎/著『ユダヤ人の歴史-古代の興亡から離散、ホロコースト、シオニズムまで』 (2025/1)中公新書 
 
著者は、2025年11月に、岩波新書から『シオニズム─イスラエルと現代世界』を上梓している。
 
本書は古代・中世・近世・近代・現代にわたるユダヤ人の歴史。要するに、ユダヤ人に関する通史であり、教科書的な内容。
現在、ユダヤ人問題というと、中東かアメリカの場合が多いが、近代のユダヤ人居住地はロシア・ウクライナ・ポーランドなど東欧が中心だった。しかし、ロシア革命の混乱期に虐殺(ポグロム)の犠牲になったものが多かったことと、ナチスの虐殺により殺害されたものも多く、数を減らしたため、現在では、東欧はユダヤ人の主要居住地ではなくなっている。
ところで、ロシア革命の混乱期に、ウクライナで、ユダヤ人殺害をもっとも行ったのは、ウクライナ民族主義者(ペトリューラ軍)で、次いで白軍(デニキン軍)、さらには各種の反乱軍だった。このため、ユダヤ人は赤軍(ボリシェビキ)を支持するようになったことが、本書、P203,204に記されている。
 
理解できない箇所があった。
東方ユダヤ人(アシケナージ)のルーツはパレスチナではなく、かつてウクライナ南部に存在したハザール国の末裔だとの説がある。
著者はこの説には否定的だ。ハザール国の支配層がユダヤ教に改宗したことが事実ならば、上級国民の中にはユダヤ教に改宗したものも多かったと推定するのが普通ではないか。「ハザール国の支配層がユダヤ教に改宗」と言っても、旧来のユダヤ主流派からは、厳密な意味でのユダヤ教徒ではないとの認識があったかもしれない。本書には次のように記述されている。「支配下の一般民衆にどのぐらいユダヤ教が入り込んでいたのかもわからない。そもそもラビ・ユダヤ教が確立していたこの時期、ユダヤ教への改宗はかなりの勉学と実践を要求し…民衆が大挙して改修したとは思えない。(P134)」
しかし、ハザール国におけるユダヤ教徒の定義が、他地域よりも緩かったのならば、著者の説は成り立たない。仏教でも、日本では僧侶に妻帯が認められているが「こんなの僧侶ではない」と言われれば、日本に仏教徒はいなくなってしまう。
むすびには、ユダヤ教徒として、ゼレンスキーを取り上げている。彼が、ユダヤ系であることと、お笑い芸人としてウソまくしたてて、金をせびり取る名人であることは間違いないが、かれがユダヤの律を守っているとも「かなりの勉学と実践」をしたとも思えない。ゼレンスキーをユダヤに含めるならば、ハザール人がユダヤだった可能性は大いにあるように思える。

オレホボ2026年08月21日

オレホボはザポロージェ州中部の町。ロシア・ウクライナ戦争開戦時からウクライナ軍の拠点になっている。最近、オレホボへのロシア軍の攻撃が活発化している。
8月上旬に、オレホボ南東端にロシア軍が侵入したとの情報があったが、この時は、占領を目的としたものではなく、偵察目的と思った。
オレホボの南東5㎞にある、Mala Tokmachkaもウクライナ軍の防衛拠点であるが、ここは、以前ロシア軍がある程度制圧した後、ウクライナ軍が大きく奪回していた。現在、Mala Tokmachkaはロシア軍がほぼ制圧しているとの説と、ロシア軍はMala Tokmachkaを避けて、オレホボを攻撃しているとの説があり、真相は不明。

ハリコフ州ボルチャンスク東部、ドネツク州スリャビンスク東部、ポクロフスク北西部など、広範囲にわたってロシア軍の攻勢が続いている。
なお、ハリコフ州クピャンスクやドネツク州リマンは、ロシア軍が攻撃しているが、ウクライナ軍も持ちこたえているようで、戦況はいろいろな情報があって、わからない。

ロシア・ウクライナ戦争では、ロシア側情報とウクライナ側情報で、乖離が大きくなっている。ロシア側情報は戦果が誇張されていることが多いが、おおむね正しい。ウクライナ側情報は、嘘が多くて、信用できない。これは、ウクライナが劣勢なため戦果を偽装したいということのほかに、戦果を偽装して西側諸国から軍事援助を受け取る必要があるためだろう。

本-はじめての憲法2026年08月11日

篠田英朗/著『はじめての憲法』ちくまプリマー新書(2019/12)

出来の良い高校生から大学教養程度の学生を対象とした内容だと思う。中学生や出来の悪い高校生には難しい内容。
日本国憲法とポツダム宣言・GHQの占領の関係を中心に説明するもので、特に、憲法9条が話題の中心。

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