本‐2030 来たるべき世界 ― 2026年10月28日
エマニュエル・トッド他/著『2030 来たるべき世界』朝日新書 (2026/3)
エマニュエル・トッド、オードリー・タン、モニカ・トフトのインタビューなど。
タイトルは2030となっているが、2030年に深い意味はないようだ。本書の内容は、現在の世界情勢、特にアメリカ中心の世界に対する認識。書かれている内容はもっともで、異存はないのだけれど、私にはあまり興味のある内容ではなかった。読んだことを忘れないように書き留めておきます。
本の紹介-旧ソ連の分離戦争 ― 2026年10月24日
松里公孝/著『旧ソ連の分離戦争 なぜ起こるのか、どう管理するのか』名古屋大学出版会(2026/7)
著者は東大教授だったが、退官後の現在は上海外国語大学教授を務めている。旧ソ連の紛争地域研究の第一人者。ロシア・ウクライナ戦争について、もっともよく知る日本人であるが、真実を語る学者なので、マスコミに呼ばれることはなかった。マスコミに出ていた学者は、日本政府に都合の良いことダケを言い、真実を語らないか、知識が乏しい人だった。
本書は、ウクライナ問題のほかに、ソビエト崩壊後の旧ソ連の分離戦争について書かれている。
対象地域は、南オセチア(グルジア)、アブハジア(グルジア)、クリミアとドンバス(ウクライナ)、ナゴルノカラバフ(アゼルバイジャン)、ガガウズ(モルドバ)、沿ドニエステル共和国(モルドバ)の各地。
旧ソ連各地の分離戦争は、本書でおおむね網羅されている。本書の内容は、比較的簡潔で理解しやすい。
ナゴルノカラバフ紛争はアルメニアが完全敗北となり、現地アルメニア人は移住を余儀なくされた。このように至った原因として、本書ではアルメニア大統領パシニャンの無能さを挙げている。ナゴルノカラバフ以外にも、旧ソ連の分離紛争は、所属する国家の運営がまずく、貧困から抜け出せないところで、国家指導者がポピュリズムに走ったことが挙げられているものが多い。
ウクライナに関しては、同じ著者から『ウクライナ動乱(ちくま新書)』が出版されているが、本書とは重複内容は少ない。新書と大学出版会の本を比べると、通常は新書のほうが読みやすいが、本書の場合は、新書よりもかえって読みやすい。
Dobropillia解放 ― 2026年10月17日
Dobropilliaはドネツク州Pokrovskの北北西20㎞の街。昨年末Pokrovskが解放されると、Dobropillia攻略が焦点となっていた。ロシア系情報機関DivgenはDobropilliaの解放を伝えている。街の多くをロシア軍が支配していることは間違いないが、解放を宣言するのは時期尚早との見解もある。
さらに、ハリコフ州ボルチャンスク東部の広い範囲を解放した模様。
両地域の解放がゲラシモフ参謀総長よりプーチン大統領に報告された。
さらに、ハリコフ州ボルチャンスク東部の広い範囲を解放した模様。
両地域の解放がゲラシモフ参謀総長よりプーチン大統領に報告された。
Dobropillia解放間近 ― 2026年10月13日
Dobropilliaはドネツクの北西70㎞の都市。昨年末解放されたPokrovskの北20㎞にある。
最近、Dobropilliaの多くの地域をロシア軍が制圧した模様。ただし、複数の小地域で、ウクライナ兵の抵抗は続いているので、解放宣言はもう少し先になるだろう。ただし、ゼレンスキーはDobropilliaで「ウクライナ軍がロシア軍を押し戻している」「ロシア兵の戦死者が1日200人に上っている」等の事実とは思われない宣伝をしているが、Pokrovskのときも、同じようだった。ウクライナ側情報のDeepStateはDobropilliaの多くをウクライナが支配していると言っているが、ここの情報では、Pokrovsk制圧のときも、同じようなことを言っていて、半年ぐらいたってから、シレッとロシア支配を認めた。
戦争では、どちらも自軍に対して優位な情報を出すが、多くの場合は、負けている方のウソがはなはだしくなる。ウクライナは敗北が続いているので、噓つき専門家のゼレンスキーの嘘も拍車がかかっているようだ。
最近、Dobropilliaの多くの地域をロシア軍が制圧した模様。ただし、複数の小地域で、ウクライナ兵の抵抗は続いているので、解放宣言はもう少し先になるだろう。ただし、ゼレンスキーはDobropilliaで「ウクライナ軍がロシア軍を押し戻している」「ロシア兵の戦死者が1日200人に上っている」等の事実とは思われない宣伝をしているが、Pokrovskのときも、同じようだった。ウクライナ側情報のDeepStateはDobropilliaの多くをウクライナが支配していると言っているが、ここの情報では、Pokrovsk制圧のときも、同じようなことを言っていて、半年ぐらいたってから、シレッとロシア支配を認めた。
戦争では、どちらも自軍に対して優位な情報を出すが、多くの場合は、負けている方のウソがはなはだしくなる。ウクライナは敗北が続いているので、噓つき専門家のゼレンスキーの嘘も拍車がかかっているようだ。
本ー台湾有事 ― 2026年10月04日
五十嵐隆幸/著『台湾有事-歴史・軍事・安定のメカニズム』 (中公新書)(2026/7/23)
私には、あまり興味が持てる内容ではなかったが、読んだことを忘れないように書き留める。
著者は30代後半で、日本大学・通信教育部を卒業した後、防衛大学大学院で学び、45歳で博士課程を修了したようだ。20代、30代前半は何をしていたのだろう。防衛大博士課程修了後は、防衛大准教授や防衛研究所研究員を務めた。
本書は、前半で、台湾の政治史を記す。政権と対中国政策は詳しいが、台湾の経済発展との関係や、民衆世論との関係が希薄。政権の方針と軍事に関心が強いのは、軍事関係者一般に言える傾向だが、本書もそのような視点だ。
本書後半では、中国が台湾に武力行使した場合の戦力、台湾の防衛戦力など、台湾戦争の軍事面を記述している。でも、もし仮に戦争になったら、経済・外交・国内世論対策を含めた総力戦になるだろうから、軍事的な面だけでは正しい理解にならないだろう。
ところで、不思議な(あきれた)記述がある。
「2022年2月、多くの専門家が『ロシアがウクライナへ侵攻する可能性は低い』と楽観視するなか、現実は覆され、ロシアは圧倒的なパワーを持って現状を変更すべく侵攻に踏み切った。(P184)」
著者周辺の専門家は、防衛省防衛研究所や笹川平和財団の研究者が多いはずだが、頭が良くない専門家はロシア政治を誤って理解する傾向が強いのかもしれない。しかし、まともなロシア政治研究者の多くが『ロシアがウクライナへ侵攻する可能性は低い』と情勢分析していたとは考えられない。
ロシア軍の攻勢が鈍化 ― 2026年09月26日
ロシア・ウクライナ戦争では、ほぼ全線に渡って、ロシアの攻勢が盛んだったが、秋になると、ロシア軍の攻勢が鈍化している。春は雪解けで大地が泥濘化するので、機械に勝るロシア軍の攻勢は鈍化する。秋は雨の影響で、同様にロシア軍の攻勢が鈍化する年がある。
リマン付近では、ウクライナ軍が大きく失地を回復した。リマンはドネツクの北100㎞の都市。
上の地図はロシア側情報機関Divgenのもの。2006/9/1以降、ウクライナ軍が失地を大きく回復したことがわかる。ただし、2026/9/1の地図ではリマン北部の広い部分がロシア支配になっているが、この時期、ウクライナ軍の攻勢が活発で、ロシア軍が支配しているとの評価には疑問の声が多かった。
9月中旬まで、ロシア軍は全線に渡って攻勢をかけていたが、特に、ロシア軍の進攻が大きかったのは、ハリコフ州ボルチャンスク、ドネツク州ドブロプリエ、ザポロージェ州オレホボ。また、ドネツク州コンスタンチノフカは解放後の地雷除去などの作業が進んでいた。こうした中、リマンとハリコフ州クピャンスクの状況は情報が錯そうしていた。
ウクライナの秋は短いので、今後、ロシア軍の攻勢が活発になる可能性が高い。
リマン付近では、ウクライナ軍が大きく失地を回復した。リマンはドネツクの北100㎞の都市。
上の地図はロシア側情報機関Divgenのもの。2006/9/1以降、ウクライナ軍が失地を大きく回復したことがわかる。ただし、2026/9/1の地図ではリマン北部の広い部分がロシア支配になっているが、この時期、ウクライナ軍の攻勢が活発で、ロシア軍が支配しているとの評価には疑問の声が多かった。
9月中旬まで、ロシア軍は全線に渡って攻勢をかけていたが、特に、ロシア軍の進攻が大きかったのは、ハリコフ州ボルチャンスク、ドネツク州ドブロプリエ、ザポロージェ州オレホボ。また、ドネツク州コンスタンチノフカは解放後の地雷除去などの作業が進んでいた。こうした中、リマンとハリコフ州クピャンスクの状況は情報が錯そうしていた。
ウクライナの秋は短いので、今後、ロシア軍の攻勢が活発になる可能性が高い。
本-日米密約史 ― 2026年09月24日
信夫隆司/著『日米密約史』(2026/4)中公新書
戦後の日米関係の中で、「刑事裁判権(安保条約における米軍に対する事実上の治外法権)」「日本への核持ち込み(1960年の核疑惑)」「米軍の海外侵攻に在日基地を自由に使う問題(朝鮮半島への派兵)」「沖縄返還と在沖米軍」「沖縄への核持ち込み」の5つについて、日米密約がなされた経緯を説明する。
日本は、事実上、アメリカの属国なので、アメリカのための対応をする必要がある。ところが、これでは国民の支持を得られないことがあるので、日本の自民党政権を維持する目的で、国民を欺く必要があり、日本政府にとって密約が必要なのだろう。
Zolotyi Kolodyaz'占領 ― 2026年09月20日
Zolotyi Kolodyaz'はPokrovskの北20㎞の小村。今、住民はいないと思う。Zolotyi Kolodyaz'とは、日本語に訳せば「金井」になるのだろう。最近、ロシア軍がここに進軍して占領した模様。こんな小村を取ったからと言って、軍事的意義は少ない。
昨年8月上旬、Pokrovskの攻防が盛んだった時、ロシア軍は北に突出して進軍し、ほとんど抵抗なくZolotyi Kolodyaz'南部を占領した。これに対して、ウクライナ軍は反撃し、8月中旬には、ロシア軍を包囲したとの怪しい情報が流れ、さらにネット上にはウクライナへの募金を募る怪しい書き込みが広がった。結局、包囲というのは嘘だったが、ロシア軍はここから撤退した。
最近、ロシア軍が進軍したが、これは昨年と異なって、占領地域を徐々に拡大している中での進軍であり、昨年のような突出ではない。
図はDivgenによるもの。
昨年8月上旬、Pokrovskの攻防が盛んだった時、ロシア軍は北に突出して進軍し、ほとんど抵抗なくZolotyi Kolodyaz'南部を占領した。これに対して、ウクライナ軍は反撃し、8月中旬には、ロシア軍を包囲したとの怪しい情報が流れ、さらにネット上にはウクライナへの募金を募る怪しい書き込みが広がった。結局、包囲というのは嘘だったが、ロシア軍はここから撤退した。
最近、ロシア軍が進軍したが、これは昨年と異なって、占領地域を徐々に拡大している中での進軍であり、昨年のような突出ではない。
図はDivgenによるもの。
チャソフ・ヤール西側地区、制圧 ― 2026年09月19日
2014年、ウクライナではクーデターで合法政権が倒されると、ロシア系住民の弾圧政策が実施されるようになった。ドネツク州・ルガンスク州は、ロシア系住民が多かったため、弾圧政策に反発し、ドネツク州・ルガンスク州の独立を宣言し、内戦状態になった。
ドネツク市・ルガンスク市の両州都はロシア系支配地域だったが、両市に通じる交通の拠点バフムトはウクライナ政府軍の支配地になった。このため、ウクライナ政府は、2014年以降、バフムト市をドネツク市・ルガンスク市に対する攻撃拠点として軍事要塞化し、ここを拠点にていた。
2022年、ロシア軍の直接軍事介入が始まると、バフムト市は最大の激戦地となり、2023年5月にはロシア軍が制圧した。
チャソフ・ヤールはバフムトの西10㎞に在って、バフムト戦では、ここがウクライナ軍の補給基地となっていたが、バフムトが陥落すると、ウクライナ軍はチャソフ・ヤールを攻撃拠点とした。このため、バフムト陥落以降は、チャソフ・ヤールが前線となった。2024年7月、チャソフ・ヤール東部をロシア軍が制圧し、さらに、2025年の7月にはチャソフ・ヤール全域をロシア軍が解放した。
しかし、チャソフ・ヤールのさらに西側の、MykolaivkaやVirolyubivkaの解放は遅々としていた。2026年7月上旬、コンスタンチノフカが解放され、Druzhkivskeの解放が視野に入ると、チャソフ・ヤールのさらに西側地区から、ウクライナ兵を排除する必要が生じた。最近、ロシア軍はこの地域からウクライナ兵排除に成功したようだ。
図は、ロシア系情報機関Divgenのもの。
本の紹介ーイラン現代史 ― 2026年09月16日
黒田賢治/著『イラン現代史-イスラーム革命から核問題、対イスラエル戦争まで』 (中公新書)(2025/11)
本書では、序章でホメイニ以前のイラン現代史に触れた後、第1章から第5章にかけて、ホメイニ体制及びホメイニ以降のイラン政治を解説する。ある程度の年配者ならば、この時代のイランはニュース等でそれなりに知っていることなので、特に目新しい内容は少ないと思う。
2026年2月、アメリカは突如としてイランを攻撃し、イラン・アメリカ戦争が始まった。本書は、それ以前の出版なので、この話はない。


