本の紹介-テレビはなぜおかしくなったのか2013年02月17日


金平茂紀・他/著『テレビはなぜおかしくなったのか』高文研 (2013/1)

 元ジャーナリストやマスコミ研究の大学教授4人による、最近のテレビ報道問題に対する解説。
 原発反対デモ報道、原発事故報道、生活保護バッシング、尖閣問題報道に対して、テレビ報道が、不正確で、権力におもねっている点を指摘している。日本には民主主義の伝統がないので、お上絶対主義が国民に蔓延しているのだろうか。
 本の中で指摘されている点はもっともなのだけれど、「なぜそうなったのか」「ではどうするのか」との視点が乏しく、単なる、愚痴のようにも感じる面もあるが、昨今のマスコミ問題を考える上で、大いに参考になるだろう。

 原発事故では、新聞テレビなど、押しなべて、政府や東電の発表をそのまま垂れ流し続けていた。4号機の危機や、メルトダウンについて、正確な報道がなされていなかったことが今になって明らかとなっている。政府が危機を伝えたら、国民がパニックを起こすかも知れず、政府発表が慎重になるのはある程度仕方ないことだ。しかし、マスコミ報道がすべて、政府の後追いでは、情けない。このようになったのは、マスコミ人の勉強不足が原因ではないだろうか。4号機の危機やメルトダウンの可能性は、原発の構造が分かっていれば、ある程度推測できたはずで、原発の知識があるジャーナリストが情報収集したならば、別の視点も得られただろうに、それらがまったくなされていないかった。
 本書では、昨今の報道の問題を、マスコミの民主主義のとして捕らえているが、マスコミ人の能力低下も、問題の一因であるように思える。

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