本の紹介 コムソモリスク第二収容所2013年03月19日


富田武/著『コムソモリスク第二収容所―日ソの証言が語るシベリア抑留の実像 (ユーラシアブックレット)』

 シベリア抑留を扱った図書はいくつも出版されているが、多くは、抑留体験者の回想だった。特に政府系機関(平和記念事業特別基金)が出版した『戦後強制抑留史』は、抑留体験者の体験談を数多く掲載しているが、客観的内容とは言いがたい。
 抑留者数については、冷戦下に、操作された米側虚偽情報を真実であるかのような説明がなされてきた。しかし、2007年、村山定雄氏が抑留者氏名の分析に基づき「シベリアに逝きし人々を刻す」を出版するにいたり、事実がだいぶ明らかにされている。
 本書は、シベリア抑留全体を明らかにするものではなく、収容所の一つである、コムソモリスク第二収容所ついて、抑留体験日本人の証言と、ロシアに残る文書を元に、抑留の実態を明らかにしている。日ロの双方の資料によって、事実を客観的に明らかにしようとする著者の態度に好感が持てる。

 ソ連崩壊時に、旧ソ連所有公文書で公開されたものも多いので、今後は、これら資料を検討した上での研究がなされることを期待したい。

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