本の紹介-沖縄の秘境を探る2014年06月23日

 
ちょっと、古い本。
 
高良鉄夫/著 『沖縄の秘境を探る』 琉球新報社(昭和55年7月)
 
 本の前半は「無人島は生きている」の副題で尖閣の動植物を取り上げ、後半は「密林の叫びとささやき」の副題で、おもに、西表島の密林の動植物について書かれている。本来は、学術的内用だが、一般読者を対象に、平易に書かれている。
 
 著者は、昭和25年から昭和43年にわたり、5度、尖閣諸島の動植物を調査した。専門は動物学なので、植物に関する記述は多くない。

 最初の調査は、昭和25年当時、魚釣島に仮工場を設けてカツオ業を営んでいた、石垣市の発田重春の船に便乗(P30,P31)したもので、魚釣島に上陸して調査した。第二回は大学と琉球政府の合同調査隊を作っての調査であり、このときは、魚釣島の他に南小島にも上陸して調査した。
  
 尖閣のヘビは、台湾や中国南部に見られるシュウダ(臭蛇)のみであり、宮古・石垣・西表で見られるサキシマスジオはいない(P97)との記述があり、興味が持てる。シュウダは魚釣島・南小島・北小島の、いずれでも、見つけたとのことだ。
 
 尖閣の植物について、詳細は、同行した植物学者・多和田真淳の報告を見るようにとのことであるが(P80)、沖縄で普通に見られるリュウキュウマツとソテツは、尖閣諸島のどこにも見当たらない(P81)と書かれている。
 
 第五次調査では、尖閣周辺に、たくさんの外国船が停泊しており、多くは漁船だが、その中の数隻は、海鳥や卵を採取しているようすを目撃した。南小島の他、北小島でも、人間の通路後が見られ、激しい乱獲が行われていた。また、このとき、台湾船が南小島で座礁船の解体作業をしているのに出会っている。
 南小島の海鳥の推定数は、昭和28年には50万羽、昭和38年には35万羽、昭和43年には1万羽、北小島の海鳥の推定数は、昭和28年には100万羽、昭和38年には50万羽、昭和43年には10万羽と減少した。(P111~P116)

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