星を見ましたー鬼押出し駐車場2019年12月01日

 浅間山の鬼押出し駐車場(P4)で星を見ていました。夜間駐車場には誰もいない。でも、鬼押出し園の明かりが見えるし、おまけに自動車道隣の駐車場なので時々車が通る、と観測条件はあまり良くない。
 写真は、ISO100、F4.0で20分ほど露出。

本の紹介ー華厳の思想2019年12月03日

 
鎌田茂雄/著『華厳の思想』講談社学術文庫(1988.5)
 
1983年に講談社から出版された本の文庫化。
この本は、10年以上前に購入し、読まずに書棚にあったものを、最近読みました。華厳とは華厳経あるいは華厳経を所依の経典とする華厳宗のこと。奈良・東大寺が華厳宗です。
 
 日本では、華厳宗は流行っていないけれど、韓国では結構メジャーなようです。中国では、華厳経を基に作られた円覚経という偽経が重視され、華厳経はあまり顧みられないようです。
 本書は、最初に、「日本仏教における華厳経の位置」を示した後、「華厳経の構成などを主体とした華厳経の説明」、「中国における華厳宗の成立」、「主に日本における華厳思想あるいは日本文化の中での華厳思想」、「韓国や日本での華厳経の発展」、について書かれている。
 華厳経の思想解説は少なく、日本文化と華厳経思想の関係や、日本の仏教者による華厳経理解などが中心になっている。また、最後の「日本での華厳経の発展」では明恵上人と華厳経の関連が詳しい。しかし、今では高山寺は華厳宗ではないので、明恵が好きな人以外には、どれだけ必要な知識だろうか。
 
 日本文化の中で華厳の位置を知るには、それなりの内容ではあるが、華厳経の思想自体の理解には、本書だけでは、遠く及ばないように感じる。

本の紹介―ノモンハン責任なき戦い2019年12月05日

 
田中雄一/著『ノモンハン責任なき戦い』 講談社新書 (2019/8)
 
2018年8月15日に放送されたNHKスペシャルの新書本。
同じような内容の番組として、1998年8月に放映された『ドキュメント・ノモンハン事件~六〇年目の真実』があり、こちらは『ノモンハン隠された戦争』として書籍化されている。
http://cccpcamera.asablo.jp/blog/2011/09/23/6110910
 
 本書は『ノモンハン隠された戦争』と比べ、作戦将校・辻政信に関する記述が詳しい。辻政信は国際政治の視野を全く欠いて、局地戦闘の勝利しか頭になくて、補給体制を含めた全体を見る目が全くなかったにもかかわらず、辻政信を中心とする関東軍の暴走を中央が押しとどめることもなく、敗戦に至った。辻政信は太平洋戦争では南方戦線の作戦立案にあたったが、補給を考える能力もないまま、局地戦の勝利にこだわり、兵力を分散させ、敗北に至ったのは、ノモンハンの失敗の繰り返しだった。
 
 辻政信は作戦課員として、太平洋戦争開戦にもかかわっている。太平洋戦争を開戦するか否かの会議で、勝利の見込みを尋ねられた辻は、「戦争というものは、勝ち目があるからやる、ないからやめるというばかりではない。・・・勝敗を度外視してで開戦に踏み切らなくてはならぬ。いや、勝利を信じて開戦を決断するのだ。(P198)」と主張して、日本を敗戦に引きずり込んでいる。
 辻政信こそ、日本陸軍の無責任で腐りきった象徴のような人だから、本書の記述が辻に多くのページを割くのは当然なのかもしれないが、そういう無責任な陸軍を放置していた、天皇・裕仁をトップとする政治の責任も重要なはずだ。

本の紹介-誰が科学を殺すのか2019年12月10日

 
毎日新聞取材班/著『誰が科学を殺すのか 科学技術立国「崩壊」の衝撃』(2019/10)毎日新聞出版
 
毎日新聞連載記事の書籍化

本の紹介ーはじめての韓国仏教2019年12月16日

  
佐藤厚/著『はじめての韓国仏教』佼成出版社 (2019/10)
 
 仏教は、インド・中国から朝鮮半島を経て入ってきたのだから、これらの国の仏教を理解することは、日本の仏教理解に必要なはずだ。しかし、日本では、インド、中国の仏教は知られているにもかかわらず、朝鮮半島の仏教史についてはほとんど関心が払われていない。
 本書は、朝鮮半島におけるの仏教史および現在の仏教についての説明。ただし、概要であって、詳しいことはない。タイトルは「韓国」となっているが、朝鮮半島南部だけではなく、北朝鮮を含む朝鮮半島の仏教を扱っている。
 
 韓国の伝統仏教には、臨済宗系と華厳宗系がある。臨済宗系は座禅を中心とした修行を重んじるもので、華厳宗系は華厳経を中心に教学を重んじるもの。日本では東大寺が華厳宗である。
 また、新興仏教には天台宗(法華)系、真言宗(密教)系などがある。
 要するに、日本では衰退した華厳宗が、中国同様、韓国でも重要視されている点が日本と異なる。
 
 なお、日本では仏教というと葬式などの儀式がメインであるが、韓国の仏教はあくまで信仰の色彩が強い。

本の紹介ー中村元/著『大乗の教え(下)』2019年12月18日

 
中村元/著『大乗の教え(下)』岩波現代文庫(2018/6)
 
 1985年4月から9月、仏教学者・中村元は26回にわたってNHKラジオ放送で仏教経典の講義を行った。取り上げた経典は原始仏教のものと大乗仏教のもの。本書は、大乗仏教経典講義の後半部分で、浄土三部経・華厳経・理趣経などを取り上げている。
 内容は経典を取り上げて、主要となる部分の書き下し文に解説をしたもの。これにより、経典の大まかな内容が分かる。中村元先生の語り口は平易であって、多くの人に容易に理解できる内容になっている。ただし、学者の解説なので、信仰の功徳とか、まじないのご利益とか、そのような宗教上の問題は本書の対象ではない。

本の紹介―文化財返還問題を考える2019年12月19日

 
五十嵐彰/著『文化財返還問題を考える 負の遺産を清算するために』(2019/11)岩波ブックレット
 
 日本が朝鮮半島や満州を占領していた時代に、当地の文化財を入手し、日本の所有物としたものは多い。入手は日本が現地で施行した法律に則っていることが多いだろうが、実際には略奪・強奪に近いものも多かっただろう。このような文化財問題は、何も日本に限ったわけではなく、植民地支配が長かったイギリスの方が、問題はより深刻だ。
 
 本書は、日本が朝鮮半島などを支配していた時期に不正に入手した文化財の返還を主張するもの。
 
 日本が入手した文化財のうち、日本の裁判制度で不正入手が認定されるような証拠を韓国などが提出することは不可能だろう。だからと言って、今の感覚で正当に入手したといえないものは多い。過去の清算の意味で、日本の責任において返還すればいいと思うのだけれど、日本人は欲が深いので、外圧がなければ、こんなことは不可能だろう。

本の紹介―ロヒンギャ問題とは何か2019年12月21日

 
日下部尚徳、石川和雅、他/著『ロヒンギャ問題とは何か 難民になれない難民』明石書店 (2019/9)
 
 ロヒンギャとはミャンマー西部のラカイン州に住み、イスラム教を信仰し、ベンガル語を母語とするベンガル民族の人たち。19世紀の英国占領地時代や第二次大戦後の混乱期などに、バングラディシュのチッタゴンなどから移住してきた。また、1971年のバングラディシュ独立前後に、混乱を避けるためバングラディシュからやってきた人もロヒンギャに含まれる。

 戦後、インド・パキスタンがイギリスから独立した時に、ラカイン州はビルマ(現ミャンマー)に返還された。ミャンマーでは、イギリス占領統治以前に住んでいた人やその子孫をミャンマー人としているため、ロヒンギャにはミャンマー国籍が与えられていない。
 ロヒンギャは人種的にはインド・アーリア人系でベンガル語を母語としているので、バングラディシュの主要民族であるベンガル人と違いはないが、政治的理由で自分たちのことを「ロヒンギャ」と呼んでいる。ミャンマーでは、通常「ベンガリ」と呼ばれる。
 ラカイン州はかつては独立王国だったが18世紀にビルマに統合された。ラカイン州の主要民族は、独立王国の伝統をくむモンゴロイドで仏教徒のラカイン人(アラカン人)で、人種も宗教もミャンマーの主要民族であるビルマ人に近い。
 
 アフガニスタン戦争がおこると、パキスタンが西側支援の中心地となり、イスラム過激派の拠点となった。こうした中、バングラディシュ人やロヒンギャのイスラム過激派にはパキスタンやアフガニスタンなどでテロリストの訓練を受ける者があらわれる。アフガン戦争終結後、このようなイスラム教テロリストの中にはミャンマーでテロ活動を行う者が現れた。彼らは最初のうちはイスラム革命を目指していたが、次第にロヒンギャを取り込むようになっていった。こうして、ミャンマー西部ではテロ活動が盛んになると、ミャンマー軍が出動して鎮圧に乗り出したが、鎮圧の対象はロヒンギャに向けられたので、ロヒンギャは故郷のバングラディシュに難民となって移住した。
 
 ロヒンギャの惨状を見ると、国際社会は何とかしなければと思うのは当然であるが、だからと言って、ミャンマーの責任だけではないだろう。ロヒンギャはバングラディシュと言葉や宗教が同じで、ミャンマー語を母語としているわけではないことや、識字率が低くイスラム過激派に取り込まれやすいことなどを考えると、これら異質な人たちをミャンマーの社会が受け入れる余裕は少ない。人種や宗教や言語が同じバングラディシュが受け入れればよいようにも思うが、最貧国に彼らを受け入れる余裕もないだろう。
 また、ミャンマーがロヒンギャに対して国籍を与えていないことを批判する意見も多い。日本でも、日本で生まれた在日朝鮮人には日本国籍を与えるべきと考える人もいるが、キム将軍様に忠誠を誓う人が日本の高級官僚になるのは、やめてほしい。

 ここ数年、ロヒンギャ問題が新聞紙上に取り上げられることも多く、この問題で、スーチーさんが批判されていることも報道されている。また、難民キャンプを取材して、難民の悲惨な状況を報道する本はあるが、ロヒンギャとはどのような人で、問題の発生原因など、この問題を総合的に解説する本は少なかった。
 
 本書は18人による執筆で、ラカイン州の歴史から、近年のロヒンギャ問題発生原因となったロヒンギャのテロ組織「アラカン・ロヒンギャ救世軍(ARSA)」やテロ攻撃の説明、バングラディシュキャンプでの状況など、ロヒンギャ問題が総合的に記載されている。
 ロヒンギャ問題を考えるとき、現在の難民キャンプの状況だけで、ミャンマー政府を批判する見解が多いが、このような一面的な理解に陥ることなく、冷静に判断できるようになるためには、日本語のロヒンギャ問題の説明として本書が最良だと思う。

 なお、公安調査庁のインターネットページには、ロヒンギャ関連のテロ組織として、「アラカン・ロヒンギャ救世軍(ARSA)」のほか、「ロヒンギャ連帯機構(RSO)」「アラカン・ロヒンギャ・イスラム戦線(ARIF)」の説明がある。


ロヒンギャテロ組織の公安調査庁による説明抜粋

「ロヒンギャ連帯機構(RSO)」(RSO)
 1990年代には,ミャンマー・バングラデシュ国境地域で爆弾テロ,国軍に対する襲撃などを頻発。
 1990年代には,RSO戦闘員約100人がアフガニスタン・ホースト州の軍事キャンプで訓練を受けたとの指摘もある。バングラデシュ国内のイスラム過激組織と共闘していたとされる。
 現在,活動地域はバングラデシュの一部地域に限定され,ミャンマー国内には拠点を有していない。

「アラカン・ロヒンギャ・イスラム戦線(ARIF)」(ARIF)
 1986年,「ロヒンギャ連帯機構」(RSO)設立者の1人であるヌルル・イスラムが,同組織から脱退し,RSOの前身組織「ロヒンギャ愛国戦線」(RPF)残存メンバーらとともに設立

「アラカン・ロヒンギャ救世軍(ARSA)」
 2012年にミャンマー西部・ラカイン州で発生した仏教徒との衝突事件を機に設立された反政府武装組織。
 最高司令官アタ・ウッラー(パキスタン南部・カラチ生まれ,サウジアラビア育ち)とされる。なお,同組織については,サウジアラビア西部・マッカを拠点とするロヒンギャの「委員会」が監督しているとの指摘もある。
 ARSAは否定しているが,同組織は,政府に協力する地元住民や少数派ヒンズー教徒の処刑や虐殺にも関与した疑いが持たれている。

オリオン大星雲2019年12月25日

群馬県安中市松田町新堀の家の庭からオリオン星雲を撮りました。
田舎とはいえ街中なので、街路灯が明るくて撮影条件は良くありません。
最近のデジタルカメラは感度が高いので、星雲の広がりを簡単に撮れます。
200㎜を使用しトリミングしています。

荒船山2019年12月25日

群馬県西部の妙義山・中の岳神社駐車場から荒船山を見ていたら、駐車場を閉めるので出るように言われました。

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