歴史教科書問題2005年06月12日

今日の朝日コムによると、
 中山文部科学相は歴史教科書に関連して、「そもそも従軍慰安婦という言葉は、その当時なかった。なかった言葉が教科書に出ていた。間違ったことが教科書からなくなったことはよかったと評価した」と述べたそうです。

 戦前の日本軍は事実を隠蔽し情報統制をしていましたが、結局敗戦になりました。戦争と言うものは情報統制は珍しくないものですが。そのような戦前の情報統制・事実の隠蔽・捏造報道を、今になっても、子供たちに教え込もうと言うのでしょうか。

 扶桑社「新しい歴史教科書」が出版されたとき早速、読んでみました。そのとき、次のような感想を持ちました。

 私などは、「事実を理解して、個人個人が、価値判断をできる様になる」ことが歴史教育の目的だと思っています。しかし、一方で、「青少年の心情に訴えて、体制に従順で、上の人間の命令に忠実に従う人間を育てる」ことが、歴史教育の目的だと考える人もいるようです。事実、戦前においては、天皇中心の虚偽の国家観を教えて、国家に従順に戦死することのできるこ国民の育成を目的としていた面がありました。
 扶桑社「新しい歴史教科書」が、国民を再び侵略に駆り立てようとしているものであるとは思えません。しかし、戦後50年以上を経た現在にいたるも、なお、「事実を理解して、個人個人が、価値判断をする」事を恐れる人たちが存在し、日本国内において一定の勢力を占めているという事実は、私には驚きです。したがって、日本の歴史教科書・歴史教育に対する、韓国政府、中国政府の懸念は、当然のことです。しかし、それにしても、日本人自身で解決すべき問題が、今なお解決できずにいるという現実は、日本人として情けないことです。

注意)これまで、従軍慰安婦の問題は内閣官房長官談話等で何度か取り上げられたことがあります。これら談話では、「いわゆる従軍慰安婦問題」の表現を使っています。
 「軍当局の要請により、長期に、かつ広範な地域にわたって慰安所が設置され、数多くの慰安婦が存在したこと」、さらに「慰安婦は、甘言、強圧による等、本人たちの意思に反して集められた事例が数多くあり、更に、官憲等が直接これに加担したこともあったこと」を日本政府は公式に認定しています。
 戦前の軍部は事実を隠蔽していたので、「そもそも従軍慰安婦という言葉は、その当時なかった」わけですが、事実として存在したので、これを表現する言葉が必要になります。このため、「従軍慰安婦」という言葉が一般的に使用されています。

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