本の紹介-近世日本の北方図研究2015年06月04日


高木崇世芝/著『近世日本の北方図研究』 北海道出版企画センター (2011/11)

 江戸時代から明治初期にかけて日本で作られた北海道・樺太・千島の地図(北方図)の変遷を記述したもの。

 北方図の変遷を解説ものとして、すでに、いくつかの本が出版されている。
 http://cccpcamera.photo-web.cc/HoppouRyoudo/BOOK/index.shtml#Map
 本書は、これらに比べて、取り上げている地図の数が多く、解説も専門的で詳細。ただし、地図のコピーはあまり多くはなく、見やすくないものが多いので、本書は初学者には適当ではないかもしれない。

 本書では、「江戸初期から天明までの前期」「天明から文政までの中期」「文政から明治までの後期」に時代を区分する。前期の北方図では、千島は北海道東部に小さい島々が固まって描かれるのに対して、中期以降は列島状に描かれるようになる。最上徳内の択捉島探検で、ロシア人から千島列島の知識を得たことや、ラックスマン来航によりロシアの地図を入手したことが、北方地理を正確に認識する上で、決定的な影響をしていることが分かる。
 ただし、本書は、日本で作られた地図のみを対象としているため、ロシアの地理を、日本人がどのように学び、まねたのか理解しにくい。この点については、他書を読む必要があるだろう。

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