統一教会 韓鶴子は「真のお母様」2022年07月17日

 今から数十年前、統一教会の集会に参加したことのある友人から、韓鶴子を統一教会では「お母さま」と呼ぶと聞いたことがあると記憶していた。ちょっと記憶違いで、「お母さま」ではなくて、「真のお母様」が正しいようです。

本の紹介―「神の国」の崩壊―統一教会報道全記録2022年07月18日


有田芳生/著『「神の国」の崩壊―統一教会報道全記録』教育史料出版会 (1997/9)
 
 古い本なのであまり読む機会はないと思う。
 1990年代になると、統一教会の霊感商法が活発になり、被害の実態が週刊誌等で報道されるようになる。本書は、著者が1993年から97年に執筆した統一教会問題を採録したもの。
 この中で、島田裕巳・東京女子大学助教授(当時)が、大学の講義で、統一教会を擁護する虚偽宣伝をしていたことが指摘されている(P250~P258)。島田裕巳氏の統一教会擁護が大学で問題にされることはなかった。そのご、オウム真理教問題で、オウム擁護発言が伝えられると、島田裕巳氏は大学を追われることになった。

相手の家族のことぐらい考えろよ!2022年07月19日

こんなニュースがある。
 読売テレビ解説委員長の高岡達之氏 山上容疑者への怒り吐露。
 「安倍さんにも家族がいる。襲った相手の家族のことぐらい考えろよ!」
こういうことは、犯行前に言えばよかった。逮捕されている犯人が、再び類似の犯罪を犯す可能性はほとんどないのだから、いまさら言っても意味がない。

それよりも、文鮮明、韓鶴子、統一教会には言いたい。
 「霊感商法被害者にも家族がいる。財産を奪った相手の家族のことぐらい考えろよ!」
もっとも、文鮮明は故人なので、いまさら彼に言っても意味がない。

安倍元総理は統一教会関連団体にビデオメッセージを送った。政治家なのだから、頼まれれば、応援メッセージを送ることは珍しくないとの説明もある。しかし、安倍元総理は、直後に、全国霊感商法対策弁護士連絡会が送った公開抗議文を拒絶した。このとき、安倍元総理が、霊感商法被害者家族のことを少しでも考えたならば、今回の事件は起こらなかったかもしれない。残念だ。

自民党の船田元衆議院議員が、旧統一教会との関連を指摘され、フェイスブックで謝罪と経緯説明したとの報道がある。要するに、統一教会を支持していないということだ。このような説明は、霊感商法被害者を増やさないために有意義であり、他の議員たちも船田代議士を見習ってほしい。

いかがわしい新興宗教は勧誘のときや、家族から脱会を求められたときに、有力者も支持している、まともな団体であるかのように強弁する。安倍元総理や船田代議士は多くの人から尊敬を集めている政治家なので、こういう人が応援している、まともな団体だと誤認する人もいただろう。

山上容疑者に対して、母親を恨めばよかったではないかとの意見の人もいるようだ。しかし、彼が母親を殺害したとしても、統一教会の霊感商法被害は減らない。彼は、自分だけ救われたいと思ったのではなく、霊感商法被害を少なくするために、彼にできる最善を考えたのだろう。
山上容疑者は人殺しをするべきではなかった。このように「するべきではない」と安っぽい道徳や法律を振りかざすことは、いくらでも言える。では、何をするべきだったのか。紀藤弁護士は、自分たちに相談すればよかったと言っていた。私も、最初はそう思ったが、山上容疑者は30年近く、弁護士の伯父に相談していた。

セイロジャパン2022年07月20日

有田芳生事務所のTwitterによると、複数のテレビ局から世界日報の名前は放送では言わないでほしいと伝えられた、そうだ。世界日報が統一教会系の新聞であることは多くの人が知っていることなのに、なぜだ。詳しくは、世界日報とは、統一教会と岸信介らで作った勝共連合・教宣局傘下の新聞社だ。(1980年代の知識なので、今は、組織が変わっているかもしれない。)
 
ところで、CAD/CAM関連会社に「セイロジャパン」がある。今から十数年前、セイロジャパンの人に、セイロの意味を聞いたら「世一路」とのことだ。壺や多宝塔を高額で売り付ける霊感商法は「世一なんとか」と言う会社だった。セイロジャパンが壺を高額で売りつけているという話は聞いたことがないが、「セイロ」「世一」が名前についている場合は「世界日報」「思想新聞」「ハッピーワールド」とともに、要注意。

本の紹介ー仏教図像学2022年07月23日

 
田中公明/著『仏教図像学 インドに仏教美術の起源を探る』春秋社(2015/8)
 
 著者が慶応大学で講義をした内容の書籍化。
 仏教には、特徴的な彫刻や仏画がたくさんある。これらの源泉を主にインド仏教彫刻をもとに解説。日本仏教の仏像・菩薩像などの姿・形や手印の解説書は多いが、本書は、インド仏教彫刻の解説が主になっており、日本の仏教美術を考えるうえでも興味深い内容になっている。
 大学の講義を基にしているため、一つの章は、だいたい100分程度で理解できる分量なので読みやすい。

本の紹介ーQ&A宗教トラブル110番2022年07月24日


山口広、滝本太郎、紀藤正樹/著『Q&A宗教トラブル110番 第3版』民事法研究会(2015/3)

 オウム真理教事件の時、マインドコントロールが社会の話題になった。
 本書は、宗教被害者の弁護に当たっている弁護士による執筆で、新興宗教やセミナーなどのマインドコントロール被害を扱ったもの。どのような手口か、どのようにマインドコントロールされるか、どうしたら防げるかなど、一般論のように書かれている。ただし、統一教会による被害など、具体的なことの記載もある。

 7月8日、安倍元総理が銃殺された。犯人は、統一教会被害者家族で、安倍元総理が最も有名な統一教会のシンパであることが殺害動機だった。しかしこれだけで、銃殺まで行くのか、飛躍が大きいので、今後の捜査により、詳しい動機が解明される可能性がある。
 安倍元総理は、昨年秋、統一教会の関連団体に、統一教会・韓鶴子総裁を称賛するビデオメッセージを送った。安倍晋三元総理が、父親の秘書だった時やその後政界入りした頃、統一教会の霊感商法は社会の大きな関心になっていたので、仮に頭の悪い人だったとしても、さすがに記憶していただろう。安倍元総理のビデオメッセージが霊感商法やマインドコントロールに使用される可能性があることは明白であったため、被害者弁護団が、安倍元総理に抗議書を送付した。これに対して、安倍元総理は、抗議書を突き返すという対応をとった。

 本書には、政治家と宗教被害の関係には特に記載はない。しかし、知識人が無知のままにカルトを称賛することの弊害が述べられている。ただし、知識人の無知による賞賛と、有力政治家が知っていながらカルトを称賛する弊害は、比較にならないものである。
 
カルトが知識人などにより外的権威をつけられる(P134)
 オウム真理教については、吉本隆明氏、中沢新一氏、荒俣宏氏、山折哲雄氏、島田裕巳氏、栗本慎一郎氏らが、教祖と面談し、その発言が週刊誌やオウム真理教の出版物・ビデオで宣伝されました。
 山折氏は、過去、教祖との対談で、オウム真理教の実態を知らなかったのか、「ただ、ある宗教理念に基づいてそれを広めていくだけでの活動ではあまり意味がない。やはりその時代の常識や価値観に根本的に挑戦することではじめて存在理由が出てくる。それをしなけれぽ宗教の意味はないわけですね」とまで述べ、社会への挑戦を勧めています(別冊太陽77号1992年春)。吉本氏は、一連の事件が判明してきた中でさえ「僕は、(麻原を)現存する仏教系の修行者の中で世界有数の人ではないかというくらい高く評価しています」と言いました(1995年9月5日付け産経新聞)。このような記事をオウム真理教は雑誌に掲載し、宣伝や内部の動揺の防止に使いました。…中沢氏や島田氏のさまざまな言論は、それ以上に勧誘や活動に利用されていました。自分の言論活動がどのように使われるかということを、これらの方々はどこまで認識していたのでしょうか。
 …学者やジャーナリストの中には、単に調査や取材で教団の便宜を受けるだけでなく、多額の講演料を受領したり、書籍を多数買ってもらえる、 などの形で補助が出ていると思われる方もいて、調査の中立性を疑わせます。

本の紹介-霊と金2022年07月30日

 
櫻井義秀/著『霊と金』新潮社 (2009/5)
 
 安倍元総理銃殺事件以降、統一協会が批判にさらされている。今から30年ほど前も、統一協会が批判にさらされたが、その後オウム事件が起こると、報道はオウム一色になり、統一協会被害はマスコミから忘れられてしまった。
 本書は2009年の出版。この時代以降、統一協会批判の本は少ない。
 
 本書第1章は「神世界」のスピリチュアル商法。ヒーリング・サロンの形で顧客を集めて、詐欺商法を行っている問題。
 第2章は統一協会。(本書では、統一教会と書かれている。)ここでは、統一協会の霊感商法を扱っている。
 第3章は、日本の神社や寺の財政問題で、霊感商法とは直接関係ない。
 第4章、第5章はスピリチュアルブームとスピリチュアルや霊感商法にハマる人たちの話。
  
 霊感商法にハマる人がどうしてそうなるのかと言うことは、本書に詳しく書かれているのだけれど、でも、どうしてそうなっちゃうのか、やはり、私には理解できない。

本の紹介ー統一協会=原理運動2022年07月31日

 
浅見定雄/著『統一協会=原理運動』日本基督教団出版局 (1987/3)

 著者はキリスト教学が専門の学者。
 本書は、統一協会の霊感商法が、社会問題になった時に出版された本。この本が出版された後に、桜田淳子の合同結婚式などがあり、統一協会に大きな関心がもたれた。
 本書の前半は統一協会の霊感商法被害と、被害にあわないための警告。
 後半は、統一教会の教義があまりにもデタラメであり、キリスト教とは全く相いれないものであることを説明している。多くの一般人にとって、統一協会の教義など関心ないので、あまり読む価値はないと思うが、万一、統一協会に魅力を感じている人は、頭を冷やして読むとよいだろう。

 ところで、本書では「統一協会」の表記が使われている。1990年代からは「統一教会」と書く人が増えてきた。この理由について以下の説明がある。
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 統一協会の正式名は「世界基督教統一神霊協会」という。したがってその略称は当然「統一協会」となる。ところが彼らは(ふつうのキリスト教だという印象を世間に与えたいためか)みずからを「統一教会」と名乗る。そして外の者が自分たちの流儀に従わないと、「訂正とお詫び」を書かせたりする(たとえば一九八三年一一月一二日付の『キリスト新聞』)。「教会」だけではない。「牧師先生」などという言葉も使う。また洗脳を「カウンセリング」と言い、犯罪的な物売りや偽りの募金の仕事を「ボランティア活動」と言って家族をだます。(P64,65)
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 統一協会が、自分たちの犯罪行為をごまかすために、ゴチョゴチャ言うのに付き合わされて、「統一教会」の表記に変更したようだ。

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