本-潜入 旧統一教会2024年06月07日

 
窪田順生/著『潜入 旧統一教会』徳間書店 (2023/11)

 統一教会を支持する著者による統一教会の取材記。著者は、統一教会の協力を得て、韓国の本部深くに入っているので、本書には、鈴木エイトのような統一教会の敵側ジャーナリストにからは得られない情報があることは事実だ。しかし、法隆寺のような古代建築と違って、新興宗教の建物は今出来なので、統一教会の内部を知ったところで、どれほどの意義があるのか疑問だ。
 
 著者の取材記はともかくとして、著者の主張は全くいただけない。著者は、相当に頭が悪いのか、それとも、頭の悪い統一教会信者を騙すために書かれているのか分からないが、普通の能力がある人には、本書は薦められない。
 
 現在、統一教会は解散命令訴訟が進行中である。しかし、安倍殺害以前は、統一教会問題が社会の関心を浴びることはなかった。これに対して本書では、民事訴訟だから問題にならなかったとし、さらに、「民事訴訟されたなら社会的に問題になる団体になるならば、日本の宗教はほとんどアウト」としている(P30)。あまりにもバカらしくて、話にならない見解だ。多くの人が遭遇する民事訴訟は、相続財産の争いなど、法律違反とは無関係な案件だろう。このような民事訴訟を起こされたからと言って、社会的に問題のある団体になることはない。統一教会が解散命令請求されたのは、宗教法人法81条の規定「法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をしたこと」によっている。つまり、今回の統一教会問題は、統一教会が民事訴訟を起こされたことが原因ではなくて、法令に違反して、著しく公共の福祉を害したことが原因だ。普通に、新聞を読む能力があれば、著者のような誤解をすことはないだろう。
 同じくP30には、とんでもないことが書かれている。「日本の信者が韓国本部へ多額の献金を送っているから教団を解体すべきとの意見もあるが、それならば、日本で活動している韓国アイドルや韓国企業も解体しなくてはならない」との著者の見解だ。アイドルの興行は、単に観覧料で、企業活動は正当な物品販売であって、霊感商法や宗教的収奪とは異なる。まったく異なることを並列に上げて、あたかも統一教会が正しいように書くのは、著者が論理的思考ができない者なのか、あるいは、文章読解力の無い統一教会信者のような人を騙すことを目的に書いているかのどちらかだろう。

 本書には、数か所、小川さゆりさんを批判している部分がある。小川さゆりさんの問題には、家族の問題が含まれているため、本書では、家族の問題に矮小化し、教団が無関係であるかのように書いている。しかし、実際には、統一教会員の家庭で高額献金があったから起きた家族の問題であって、統一教会が主たる原因となっていることは明らかだ。

 統一教会には問題のない家庭もあるとの記述がある(P257など)。常識的に考えて、統一教会信者には普通に平穏に暮らしている人が多いことは事実だろう。しかし、社会通念上、有意な程度の家庭に問題があり、その主たる原因が教団にあると判断されているため、統一教会が批判されているのであり、問題のない家庭があることは、何らの言い訳にならない。
 
 ところで、本書は宗教関係の取材本であるにもかかわらず、著者は、中学生レベルの宗教知識さえもないように思える。普通に義務教育を履修したのだろうか不思議だ。P23には、文鮮明・韓鶴子が神であるかを韓国本部で聞いたところ、神ではないと説明を受けたとの話がある。
 キリスト教徒の神はキリストではなくエホバであること、イスラム教徒の神はマホメットではなくアラーであることは誰でも知っている。日本の仏教でも、浄土真宗の念仏は「南無親鸞聖人」ではなく「南無阿弥陀仏」であることなど、誰でも知っているはずだ。キリスト教の異端である統一教会にとって文鮮明・韓鶴子は神ではなくメシアであることなど、容易に想像できるだろう。余りの低レベルな記述に呆れる。

本の紹介-コソボ 苦闘する親米国家 ユーゴサッカー最後の代表チームと臓器密売の現場を追う2024年06月10日

 
木村元彦/著『コソボ 苦闘する親米国家 ユーゴサッカー最後の代表チームと臓器密売の現場を追う』集英社インターナショナル (2023/1)
 
 コソボ解放軍・コソボ政権による、臓器移植殺人が詳しい。
 
 ソ連崩壊後ユーゴスロビアは、セルビア・クロアチア・モンテネグロ・ボスニアヘルツェゴビナなどに分裂した。コソボはセルビア南部の地域で。もともとセルビア人の領土だったが、アルバニア指導者ホッジャの住民弾圧政策により国を逃れたアルバニア人が多く住むところとなっていた。このため、セルビア独立時には、コソボの最大民族はアルバニア人だった。
 コソボではアルバニア人至上主義のコソボ解放軍(KLA)による紛争があったが、アメリカ・イギリスはKLAを支援して、直接軍事介入し、KLAによるセルビア系住民殺戮を促した。KLAは拉致したセルビア系住民をアルバニアに送致し、そこで、殺害後臓器を取り出し、臓器移植を密売するビジネスを行った。殺戮・臓器移植ビジネスは、コソボ独立後も、政権幹部によって実施された。
 
 本書は、サッカー関連のジャーナリストによる執筆のため、紙面の多くは、ユーゴ・コソボのサッカー事情に充てられている。コソボ解放軍・コソボ政権による臓器移植殺人は全体の20%程度。
 コソボで拉致されたセルビア系住民は、アルバニア僻地の黄色い家に運ばれ、そこで銃殺された後、臓器を摘出された。著者は、黄色い家に行き、オーナーの老人にあっているが、ほとんど証言は得られていない。
 
 現在でも臓器移植ビジネスには、アルバニア人ブローカーの暗躍が有名だが、コソボ人拉致の話はあまり聞かない。今では、臓器提供者は、ウクライナ人が多い。生活に困窮したウクライナ人が臓器を売っているとの話もあるが、ゼレンスキー政権幹部が、ロシア系住民や政権反対派住民を拉致・殺害し、臓器を摘出していると噂が絶えない。
 
 コソボの臓器密売は、アメリカ・イギリスが支援していたKLA・コソボ政府幹部によって実施されていた。アメリカ・イギリスの指図だったのか、黙認だったのか、わからない。しかし、アメリカ・イギリスがコソボの臓器密売捜査に非協力的だったことは、本書にも記されている。現在、ウクライナにおける臓器販売は、アメリカ・イギリスの指示なのか、公認なのか、黙認なのか分からないが、今後、捜査がなされても、アメリカ・イギリスの非協力により、ウヤムヤにされるだろう。

臓器密売殺人2024年06月11日

 
写真は、コソボに介入したNATO部隊のうち、イギリスが設置した軍事郵便局から、2002年に差し出された手紙。アルメニア・ナゴルノカラバフのステパナケルトに宛てられている。

 ソ連崩壊後ユーゴスロビアは、セルビア・クロアチア・モンテネグロ・ボスニアヘルツェゴビナなどに分裂した。コソボはセルビア南部の地域で、もともとセルビア人の領土だったが、アルバニア指導者ホッジャの住民弾圧政策により国を逃れたアルバニア人が多く住むところとなっていた。このため、セルビア独立時には、コソボの最多民族はアルバニア人だった。
 1996年ごろ、アルバニア系テロリストはコソボ解放軍(KLA)と称して、セルビア系住民の殺戮を企てるが、十分な成果を上げられなかった。このため、アメリカ・イギリスは1999年に軍事介入して、セルビア軍やセルビア系住民を攻撃し、KLAによるセルビア系住民殺戮を促した。セルビア系住民がコソボを脱出するようになると、強引に独立を宣言した。
 KLAはセルビア系住民を拉致し、アルバニアに送致し、そこで、殺害後臓器を取り出し、臓器移植を密売するビジネスを行った。殺戮・臓器移植ビジネスは、コソボ独立後も、政権幹部によって実施された。
 
 現在でも臓器移植ビジネスには、アルバニア人ブローカーの暗躍が有名だが、コソボ人拉致の話はあまり聞かない。今では、臓器提供者は、ウクライナ人が多い。生活に困窮したウクライナ人が臓器を売っているとの話もあるが、ゼレンスキー政権幹部が、ロシア系住民や政権反対派住民を拉致・殺害し、臓器を摘出していると噂が絶えない。
 
 コソボの臓器密売は、アメリカ・イギリスが支援していたKLA・コソボ政府幹部によって実施されていた。アメリカ・イギリスの指図だったのか、黙認だったのか、わからない。しかし、アメリカ・イギリスがコソボの臓器密売捜査に非協力的だった。現在、ウクライナにおける臓器販売は、アメリカ・イギリスの指示なのか、公認なのか、黙認なのか分からないが、今後、捜査がなされても、アメリカ・イギリスの非協力により、ウヤムヤにされるだろう。

クリンソウ満開2024年06月14日

 
奥日光千手ヶ浜のクリンソウが満開です。

杉浦重剛2024年06月17日

 
杉浦重剛/著『昭和天皇の学ばれた「倫理」』勉誠出版 (2016/11)

 
昭和天皇・裕仁の少年期に、道徳を教えた杉浦重剛の著書で、本書は昭和天皇への講義録の復刻。
道徳って、つまらない科目だと思っていアけれど、本書を読んでも、つまらない。昭和天皇はまじめな少年だっただろうから、あくびもしないで講義を聞いていたかもしれないが。中学生以上の聡明な少年には、道徳や倫理ではなくて、もっと哲学的な内容にした方が良いのではないかと思う。
 
著者の杉浦重剛の墓は東京都文京区小石川の伝通院にある。



鹿沼土はPH5.52024年06月30日

 
瀬戸ヶ原花苑の鹿沼土細粒を買った。セキチュー安中店で16リットル500円弱だった。
鹿沼土は酸性土壌で、PH4~PH5といわれているようだが、測定すると、PH5.5だった。測定方法は、鹿沼土10gを精製水50ccに混ぜ、撹拌20分後に、試験紙及びPHメーターで計測した。試験紙では、PH5.5~PH6程度。PHメーターは5.49となった。PHメーターはキャリブレーション後1か月ぐらいたっているが、大体正確なはず。

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