本の紹介-収容所のロビンソンクルーソー2012年05月16日

収容所のロビンソンクルーソー  菊兵団ビルマ抑留記  井上咸/著 毎日新聞社 (1981/10)

 日本軍最強の菊兵団はビルマ戦線で終戦となり、イギリス軍捕虜(JSP)として、1年ほどビルマで強制労働に従事した。本書は、元菊兵団将校による回想録。捕虜時代を描いた挿絵が豊富。ビルマでイギリス軍捕虜になったのは、菊兵団の他に安兵団などがあり、後者については『会田雄次/著 アーロン収容所』が出版されている。
 菊兵団は優秀な部隊であったため、イギリス軍の管理も安兵団とは違っていたようであり、本書を読む限りは、イギリス軍は紳士的に振舞っていて、イギリス軍に対する恨みは本書には書かれていない。
 P183には昭和21年の正月の記述で、「音信絶えて既に1年になる」とあるので、少なくとも、21年正月以前には、俘虜郵便は認められていなかったようだ。著者は、終戦翌年の7月に帰国を果たしたが、故国との通信に関する記述はないので、俘虜郵便は最後まで認められていなかったのだろう。

旅行2012年05月14日

土曜日:
 福島に行きました。浪江町津島中学校の校庭が放射性廃棄物置き場になっていた。過疎地で廃校の運命にあるのは分かるのだけれど、子供の場所に汚染物質を置いてあるのが、悲しい。
 津島小に設置されていた線量計は5μSv/hを越えていた。戻れる日は遠い。浪江町赤宇木の道路で測ったら、手持ちのカウンターが振り切れた。10μSv/h以上。
 飯館村飯樋は人が戻っているようで、自販機が動いていたし、道路で少年を見かけた。でも、2μSv/hを越えているようだ(場所にもよる)。

日曜日:
 石巻市に行きました。ここは津波の爪痕が生々しいけれど、着実に復興している。石ノ森漫画館は封鎖中だった。
 松島観光しました。遊覧船は観光客でいっぱい。

電力不足2012年05月07日

 原発停止で夏の電力供給に不安が出ている中、関西電力副社長は「大飯原発が動けば、揚水発電で百数十万キロ・ワット見込める」と述べたそうです。
 これっておかしいよ。揚水発電とは夜間の余った電力を利用して昼間に発電するシステムなので、原発だろうが火力だろうが、夜間に余剰電力があれば、揚水発電は稼働します。原発は夜間に止められないので嫌でも余剰電力が発生するけれど、火力発電では、燃料代がもったいないので、通常は、夜間に止めて余剰電力が発生しないようにします。でも、本当に電力が不足して困るならば、夜間に火力発電所を動かして、故意に余剰電力を発生させて揚水発電に使うことが可能です。でも、これをすると燃料代がかさみ、電力会社は損をする。要するに、今夏の電力不足の最大原因は、関西電力が儲けることにあります。

風力発電:
 スペインでは4月16日早朝に風力発電の割合が一時的に60%に達したそうです。風力発電は安定しないので、発電割合をそれほど増やせないのではないだろうかと思っていたのだけれど、そうでもないのですね。スペイン全国に広がった風力発電網を使って安定供給しているのだろう。

本の紹介-プーチン 最後の聖戦2012年05月06日


プーチン 最後の聖戦 ロシア最強リーダーが企むアメリカ崩壊シナリオとは? 北野幸伯/著 集英社インターナショナル (2012/4)

 北野氏の他の著書『ボロボロになった覇権国家(アメリカ) 』『中国・ロシア同盟がアメリカを滅ぼす日 一極主義 vs 多極主義』などと同様な視点でプーチンについて書いた著書。著者はロシア問題が専門なので、他著書に比べ、論旨がいっそう明快になっている。国際政治に対する著者独自の視点であるので、必ずしも完全に賛成しかねる面はあるが、このような視点で理解することも一面では必要だろう。
 すでに、北野氏の他の著書を読んでいる人や、氏のメールマガジンを購読している人には、本の内容は、おおよそ推定できるものだろう。読みやすい本なので、一度読んで損はないと思う。

原発停止2012年05月05日

  
今日、北海道電力・泊原発が停止し、これで、すべての原発が停止になります。今日の新聞の社説は、
 朝日『「原発ゼロ」社会:上 不信の根を見つめ直せ』
 読売『全原発停止 これでは夏の電力が不足する』

 写真は、チェルノブイリ原発事故に動員された人に配られたバッチ。放射能障害ですでに故人となった人も多い。

本の紹介-論点整理 北方領土問題2012年04月30日


論点整理 北方領土問題 石郷岡建/著、東洋書店 (2012/04)(ユーラシアブックレット)

 北方領土問題が日本で語られるとき、日本政府に都合のよい主張のみが繰り返される傾向にある。
 本書は、中立的観点から、日ロの論点を整理したもの。北方領土問題に関心のある人は、一通り目を通しておく価値がある本だ。ただし、60ページあまりと短いので、詳しいことには触れられていない。
 日ロ両国が千島を認識したあたりから記述が始まる。ただし、それ以前から住んでいたアイヌに関する記述はない。
終戦までの記述が全体の1/3、1956年の国交回復までだと全体の半分になる。残りの半分はソ連崩壊直前のゴルバチョフ訪日から現在に至る日ロ交渉。

 ページ数の少ない本なので、疑問点も少ないが、それでも、ちょっと首を傾げたくなる記述がある。

 太平洋戦争末期、テヘラン・ヤルタの合意にしたがって、ソ連は日本に宣戦布告した。日ソ中立条約の残存期間であったため、日本ではソ連を非難する論調が大きい。しかし、ポツダム会談のとき、米国は公文書により、ソ連の参戦は国際法上合法であるとの公式見解を示していることもあり、戦後国際社会においてソ連対日参戦が問題となったことはなかった。ロシアではナチス同盟国との戦争は正義の戦争なので対日参戦の正統性は自明なことと考える人が圧倒的であるが、米国公式見解を持ち出して中立条約残存期間でも参戦は国際法上合法であると説明することもある。本書では『日ソ中立条約を持ち出すと、ロシア側は無視するか肩をすぼめのが普通である』と書かれている。この問題に関心のないロシア人の意見だけを、ロシア側の研究者の見解と思い込んでいるのだろうか。

 本書の最後に、『北方領土問題については領土の返還が目的なのか、ロシアの不正義、悪を糾弾し、謝罪させることが目的なのか、日本社会では、はっきりした見解の一致がない』と書かれている。前者の見解の人がいるのは確かだし、右翼勢力を中心に、後者のように言う人もいるだろう。しかし、法律上は、1956年の日ソ共同宣言に次のように明確に示されている。「日本国及びソヴィエト社会主義共和国連邦は、千九百四十五年八月九日以来の戦争の結果として生じたそれぞれの国、その団体及び国民のそれぞれ他方の国、その団体及び国民に対するすべての請求権を、相互に、放棄する。」このため、外交交渉として、後者の立場はありえない。

本の紹介-アイヌ民族の歴史と文化2012年04月27日


アイヌ民族の歴史と文化―教育指導の手引 桑原真人/監修  山川出版社 (2000/08)

高等学校・中学校の社会科授業でアイヌ問題を教えるための教師指導手引を目的に書かれている。

 古代から中世・近代・現代に至るアイヌの歴史ウ及び文化、現代のアイヌ問題が簡潔にまとめられている。さらに、各章は最初に概要を記し、さらに「本項の視点」として、教育指導の着眼点が示される。項目毎の詳細は「用語解説」で説明されている。

 アイヌの歴史について、学校教育で学ぶ機会は少ないし、関心を持って学習する人も少ないので、多くの日本人はあまりアイヌのことを知らないだろう。本書は、アイヌの歴史の概要を理解するために便利であり、多くの人に、一度読んでみることをお薦めしたい。
 

 アイヌ現代史の第2章6項の「本項の視点」には次のようにある。
 ソ連軍の南樺太と千島の占領は、アイヌ民族などの先住民族に、そのまま留まってソ連国籍になるか、日本に移り日本国籍を得るか、重大な選択を迫られたことを理解させる。(P84)

 この記述は事実なのだろうか。戦前樺太に住んでいた日本人のうちの一部のものは、そのまま樺太に残留したが、彼らは「日本国籍のままの者」「無国籍になった者」「ソ連国籍を取得した者」と、いろいろな人がいた。アイヌの多くは日本に移住しているが「重大な選択を迫られた」との話があるのだろうか。

亀岡2012年04月27日

 京都府亀岡市で無免許の少年が集団登校中の児童の列に突っ込んで死傷させた事故があった。亀岡って同和利権の町。加害者の父親は警察や学校から被害者の個人情報を入手したようだけれど、同和関係者だったのだろうか。
 亀岡市立保津小学校のホームページによると、ここは、昭和56,57年に『同和教育研究指定校』になっています。

 ところで、『伊津和真』をGoogleで検索すると、いっぱい出てくるいなー。
 今回は加害者が少年だったので、実名報道はされていないけれど、加害少年の友人は当然実名を知っているので、秘密にすることは、今の世の中、ほとんど不可能だ。

本の紹介-本多勝一の戦争論2012年04月25日

 
本田勝一/著 本多勝一の戦争論 新日本出版(2011.1)

 週刊金曜日など本田勝一の最近の論文を集めたもの。それぞれの論文が、数ページなので読みやすいが、若干物足りなさを感じる。
 本の内容は、3部に分かれている。第1部は南京事件の取材と、南京事件や100人斬り否定派との裁判について。第2部はベトナム戦争と米国、第3部は現代日本と戦争報道のジャーナリズム論。

 第1部では歴史捏造派の人たちとの3つの裁判に触れている。このうちの2つは、歴史捏造派が南京事件を否定する本を出版したのに対して、その中の記述で名誉を毀損された中国人が損害賠償請求をしたものだ。どちらも、歴史捏造派が敗北して、中国人に損害賠償を支払うことが確定した。もう1つは、本田勝一が100人斬りについて書いた記述が「事実に反して名誉毀損である」と、前2件とは逆に歴史捏造派の人たちが起こした裁判だった。こちらは、本田勝一が完全に勝訴した。
 『南京大虐殺』『100人斬り』は史実として明らかになっていることなので、本田勝一らの勝訴は当然のことだった。

 
 『100人斬り』論争について、知らない人もいるだろうから、若干の説明をする。

 南京大虐殺の時、毎日新聞の従軍記者によって、野田少尉らは100人斬りした英雄として称賛された。本田勝一は、彼の著書の中で「中国人がそういうことがあったと回顧した」旨の記述をした。
 戦後、日本は価値観を変えて、100人斬りは悪いことだと言うようになった。価値観を変えたのだから、「野田少尉らは悪い奴だ」と言うのは理解できる。価値観を変えても未練がましく「昔の価値観では野田少尉らは偉かったのだ」と言うのも理解できる。しかし、歴史捏造派の人たちは、100人斬りはなかったと主張した。このような主張のうち、ペテン師イザヤベンダサンの嘘は極端で、「100人斬りは中国人と本田勝一による捏造である」ような主張をした。ペテン師イザヤベンダサンは向かってくる敵を100人も倒すことは体力的にも刀の性能からも不可能であると主張したが、100人斬りを果たしたとされる野田少尉は、捕まっている捕虜を100人切り殺したと説明していたので、イザヤベンダサンの主張はまったくナンセンスなものだったが、ともかく、このようなずさんな見解に基づいて、起こされた名誉棄損訴訟だった。
 裁判は1審2審とも本田勝一の完全勝訴、さらに、最高裁で原告側控訴が棄却され、本田勝一の勝訴が確定した。

 『百人斬り』は当時、毎日新聞の従軍記者が野田少尉らの武勇として伝えたものだった。日本軍の発表など、嘘八百だったのだから、百人斬りが真実でなかった可能性は高いし、そんなことは、今となっては、どうでもいいことのように思う。しかし、戦後、野田少尉の武勇を辱め、野田少尉が嘘つきであったと主張することが、どうして、日本人の誇りなのか、私には理解できないが、この本にも、その疑問には答えていない。もっとも、この点は本書の目的ではない。

0.18マイクロシーベルト毎時2012年04月24日

 
 群馬県安中市松井田東中学校校庭の放射線を測ったら、0.18μSv/hだった。放射能汚染される前に比べると3~4倍。
 それほど心配する線量ではないけれど、アスファルト舗装のところはずっと低いので、校庭での運動は、あまり長時間にならないほうが良いだろう。

* * * * * *

<< 2012/05
01 02 03 04 05
06 07 08 09 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31

バナー

にほんブログ村 政治ブログ 政治・社会問題へ

RSS