オレホボ包囲2026年09月14日


ウクライナ・ロシア戦争では、ほぼ全線に渡ってロシア軍の攻勢が続いている。
ザポロージェ州オレホボ(図の青線)は長い間ウクライナ軍の拠点となってきたが、現在、かなり包囲されている。図はロシア系情報Divgenによるもの。数週間前、南東のMala Tokmachka(図の赤線)の大部分をロシア軍が解放した。北東のLyubyts'ke(図の赤線)も両軍の交戦地となっている。最近、北西のNovopavlivka(図の赤線)もロシア軍が解放したため、オレホボに通じる主要道路はすべてロシア軍が制圧もしくは射撃統制下になった。このため、オレホボ守備ウクライナ軍への補給や兵員交代は困難な状態だ。もっとも、最近はドローンにより多少の補給は可能なので、ウクライナ軍が完全孤立したわけではない。また、ロシア軍が包囲したわけでもないので、ウクライナ兵が脱出することは可能だが、ゼレンスキー政権はウクライナ兵に脱出を許可しないだろう。

対日戦勝記念日2026年09月06日

2026年9月3日、ロシア・ハバロフスクでは、対日戦勝を記念して、兵士の銅像の除幕式が行われた。
  
   
日露戦争で日本が勝利すると、帝政ロシアは南樺太を割譲し、その結果、樺太中央の北緯50度線が日露の国境となった。国境には、4つの国境標石が置かれた。
1945年8月、太平洋戦争末期に、ソ連は対日参戦し、樺太では北緯50度の国境を越えて南樺太を解放した。
今回作られた銅像はその時の状況を象徴するもの。樺太国境二号標石は、現在、根室市歴史と自然の資料館に保管されている。今回作られた銅像ではソ連兵が国境標石をたたき割っているが、実際の標石はそんなに簡単に壊れるものではなく、実際の標石は銃弾で端が何か所かかけているだけなので、銅像はだいぶ誇張がある。
   

   
この銅像に対して、日本政府がロシアに抗議したとのことである。菊華紋が割られたのが気に入らないようだ。しかし、戦前の日本では、菊華紋は日本国の象徴として、随所で使用されていたので、当時の日本人が菊華紋が描かれたものを破り捨てたり、ごみにすることは日常茶飯事だった。いったい、今の日本政府は何に目くじらを立てるのか。
今回建てられた銅像の国境標石では、日本の菊華紋が割られているが、反対側にあったはずの帝政露西亜の紋章は、完全に破壊されているように見える。
  
樺太国境標石の説明は以下を参照ください。


ハリコフ州ボルチャンスク東部戦線2026年09月03日

  
ウクライナ・ロシア戦争では、このところ全線に渡って、ロシア軍の攻勢が続いている。
ロシア系軍事情報Divgenによると、ロシア軍はハリコフ州ボルチャンスク東部で、ウクライナ軍を包囲した。図はDivgenによるもの。この図では、包囲環の最狭部の幅は2㎞弱で、交戦地帯を含めれば、幅10㎞程度。包囲と言っても、それほど大軍で押さえていないだろうから、包囲されたウクライナ兵は、闇に乗じて走って逃げられる可能性はあるだろう。ただし、脱出禁止命令が出されているかもしれない。

Mala Tokmachka2026年09月01日

 
オレホボはザポロージェ州中部の町。ロシア・ウクライナ戦争開戦時からウクライナ軍の拠点になっている。最近、オレホボへのロシア軍の攻撃が活発化している。
Mala Tokmachkaはオレホボの東の町。ウクライナ軍は、ここにオレホボ防衛拠点を置いている。ロシア系軍事情報Divgenによると、最近ロシア軍はMala Tokmachkaを制圧した。昨年11月ロシア軍が制圧したとしていたが、今年2月にウクライナ軍が奪回したとされていた。今回、ロシア軍が再制圧したことになる。
 
これまでの経緯を見ると、チャソフ・ヤールなどウクライナ軍防衛拠点では、ロシア軍が制圧→ウクライナ軍が奪回→ロシア軍が再制圧の経緯をたどるところも多い。このような場所は、ウクライナ軍が再奪回したところはほとんどないので、Mala Tokmachkaもロシア軍制圧が恒久的になる可能性が高いかもしれない。
 
図はDivgenのもの。

オレホボ2026年08月21日

オレホボはザポロージェ州中部の町。ロシア・ウクライナ戦争開戦時からウクライナ軍の拠点になっている。最近、オレホボへのロシア軍の攻撃が活発化している。
8月上旬に、オレホボ南東端にロシア軍が侵入したとの情報があったが、この時は、占領を目的としたものではなく、偵察目的と思った。
オレホボの南東5㎞にある、Mala Tokmachkaもウクライナ軍の防衛拠点であるが、ここは、以前ロシア軍がある程度制圧した後、ウクライナ軍が大きく奪回していた。現在、Mala Tokmachkaはロシア軍がほぼ制圧しているとの説と、ロシア軍はMala Tokmachkaを避けて、オレホボを攻撃しているとの説があり、真相は不明。

ハリコフ州ボルチャンスク東部、ドネツク州スリャビンスク東部、ポクロフスク北西部など、広範囲にわたってロシア軍の攻勢が続いている。
なお、ハリコフ州クピャンスクやドネツク州リマンは、ロシア軍が攻撃しているが、ウクライナ軍も持ちこたえているようで、戦況はいろいろな情報があって、わからない。

ロシア・ウクライナ戦争では、ロシア側情報とウクライナ側情報で、乖離が大きくなっている。ロシア側情報は戦果が誇張されていることが多いが、おおむね正しい。ウクライナ側情報は、嘘が多くて、信用できない。これは、ウクライナが劣勢なため戦果を偽装したいということのほかに、戦果を偽装して西側諸国から軍事援助を受け取る必要があるためだろう。

コンスタンチノフカ、リマン2026年06月17日

ロシア・ウクライナ戦争では、5月以降ロシア軍の攻勢が活発化している。これは例年のことで、春の雪解け期は地面が泥濘化して、機械力に勝るロシア軍の優位性が損なわれるが、気温の上昇に従い乾燥してくると、ロシア軍の攻勢が活発になる。
 
ドネツクの北60㎞にあるコンスタンチノフカはロシア軍による開放が最終段階に入った。ウクライナ敗残兵がビルの地下などに潜んでいる状態で、彼らに対する補給はドローンなど限られた手段しか残されていない。
 
ここ数日、コンスタンチノフカの北50㎞にあるリマンに対するロシア軍の攻勢が活発化している。小集団による市街地への突入なのか、大軍で襲っているのか、情報は混乱しているが、ウクライナ軍の守備はほとんど崩壊状態の模様。

コンスタンチノフカ解放間近2026年06月09日

コンスタンチノフカはドネツクの北60㎞にある都市。
昨年12月、ドネツク州ポクロフスクが解放された後、コンスタンチノフカの解放が焦点となっていた。現在、ロシア軍はウクライナ兵の包囲をほぼ完了した。包囲環に残っているウクライナ兵や傭兵は200人程度と見られている。数日中には解放宣言が出されるだろう。

ロシア軍攻勢続く2026年04月03日

 
アメリカ・イラン戦争で、ロシア・ウクライナ戦争の影が薄くなったが、これまで通り、ロシア軍の攻勢が進んでいる。
もっとも、3月は、春の泥濘期なので、例年通り、進軍は停滞する。
図は、2024年1月以降、月ごとにロシア軍が解放した面積。図の出典はロシア系の情報。

ロシア軍、攻勢続く2026年02月05日

 
 多くの戦線で、ロシア軍の攻勢が続いている。上の図は、ウクライナ側のDeepStateによる数値を使って作成した、月ごとのロシア軍が解放した面積の増加量。ウクライナ側データを使用しているため、ロシア軍支配面積を過小評価する傾向がある。
 
 現在、ロシアの攻勢が活発なのは、ザポロージェ州。オレホボの包囲が徐々に進んでいる。それから、ドネツク州コンスタンチノフカ。
 ハリコフ州クピャンスクは情報が錯綜していて良く分からない。

本の紹介ー西洋の敗北2026年02月02日

 
エマニュエル・トッド/著、大野舞/訳『西洋の敗北 日本と世界に何が起きるのか』文藝春秋(2024/11)
 
本書は著者が主に2023年7月から9月に書いた内容の日本語訳。
  
 同年6月、ウクライナ軍はロシアに大攻勢を仕掛けた。日本のマスコミ報道では、西側の高性能戦車などにより武装したウクライナ軍の圧勝で終わるとの予想を連日立てていたが、実際は、ウクライナ軍の大攻勢は、ことごとく、失敗した。また、日本のマスコミ報道では、ロシアは一年以内に経済的に破綻するとの予想が語られた。
 本書において、著者は、ウクライナ軍大攻勢の失敗と、西側兵器が役に立たないこと、ロシア経済が安泰なことを予言している。日本でテレビに出演していた学者たちの予想が、ことごとく外れていたのに対して、著者の予想は当たっている。
 
 本書では、第1章から第3章で、旧ソ連圏の現状を分析する。それらのまとめとして、以下のように記している。これが、ロシア・ウクライナ戦争を正しく見るために重要な視点だろう。
 『旧ソ連圏を振り返ることで、ロシアはその安定性に加えて、ある種の経済ダイナミズムも見出していたことがわかった。ロシアは、出生率が低下している人口動態により、いかなる領土の拡大も望めないことも確認できた。今の世界が直面している混乱の原因がロシアにはないことは明らかである。
 国家として崩壊しつつあるウクライナを検討することで、混乱の原因はより明白になった。とはいえ、ウクライナ程度の規模の国が一国で世界中を大混乱に陥らせることもまた不可能だろう。私はバルト三国を含めた東ヨーロッパの旧社会主義諸国についても検討した。そこで明らかになったのは、これらの国は長い歴史を通してロシアではなくむしろ西洋に翻弄されてきたということである。』
 
 第4章~第7章で、西欧・北欧を取り上げる。西欧はドイツ・フランス・イギリスが記述の中心。著者は、この章について、簡単に以下のようにまとめている。
 『ヨーロッパの自立という夢の挫折、イギリスの国民国家としての衰弱、スカンジナビアの逸脱』
 
 第8章から第10章はアメリカを取り上げる。ここでは、(宗教的意味を含めた)アメリカの衰退について記述している。本書は、第二次トランプ政権誕生以前に出版されたものなので、昨今のトランプ政権の国際対応の横暴と、西欧の対立について、これほど急激に起こるとは予測していない。著者の予測以上に急激にアメリカが衰退しているのだろう。
 
 第11章では、日韓以外のアジア諸国などが西欧・アメリカに追随しなかった状況を記す。
 
 本書は、著者の国際関係の認識と、執筆当時の近未来の予想であるが、その後の国際情勢は著者の説の正しさを裏付けているように思う。

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