本の紹介-お薦めしない本2冊2011年07月06日



誰がメドベージェフを不法入国させたのか-国賊たちの北方領土外交

 2010年11月、メドベージェフがロシア大統領として、最初に北方領土を訪問した。すでに半世紀以上ロシア人が居住し、ロシアの実効支配地域であり、軍隊も駐屯しているのだから、大統領の訪問は奇異なことではない。
 左側の本は、北方領土は日本の領土であると主張し、メドベージェフの訪問を批判するもの。このような論を立てること自体は、間違っていないが、それにしては、本書の内容は乏しすぎる。
 2007年に、産経新聞社から発行された『北方領土は泣いている 斎藤勉・内藤泰朗/編著』をもとに、メドベージェフの訪問を批判しする部分を追記したようだ。前書も、内容が貧弱だったが、本書は、貧弱な内容はそのままに、章立て等が、ごちゃごちゃして、かえって読みにくくなった。どちらかを読むとすれば、前書の方が、まだマシだろうか。
 いずれにしても、4島一括返還論以外は絶対だめであると主張し、最近の現実的解決を目指そうとする論調を攻撃しているものである。この論拠は、50年間使い古された日本に都合の良い一方的主張で、まったく新味は無い。しかも、類書に比べても、論証は緻密さを欠いている。
 日本政府外務省は、パンフレット『われらの北方領土』を発行し、希望者に無料配布しているが、この本には、外務省のパンフレットを適当につなぎ合わせて、あとは威勢のよいことを書いただけのような印象を受けた。
 もし、北方領土問題に関心があるのならば、外務省発行のパンフレットを無料でもらって読んだほうが、まともな知識が得られるだろう。



誰も見たことのない日本の領土 DVD (別冊宝島) (別冊宝島 1724 ノンフィクション)

 右の本は、DVD付きの雑誌。雑誌は、尖閣・竹島・北方領土・南鳥島・沖ノ鳥島の写真集で、DVDは同じ地域のビデオ画像。安価なこともあって、写真印刷は美しくない。DVDの方は、尖閣上陸、竹島上陸のビデオ映像などは、興味が持てる。北方領土は、静止画像をビデオに撮っただけの物が多く、内容が乏しい。
 雑誌の解説、DVDのナレーションは、領土問題の解説としては、政府のパンフレットの解説をずさんに編集し、著者のイイカゲンな解説を追加したただけのようであり、読聴する価値は、ほとんどないだろう。
 北方領土や竹島問題では、日本政府は国民向けパンフレットを発行しているので、そちらを読んだ方が良い。

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