本の紹介-福島原発メルトダウン2011年06月01日


広瀬隆/著
福島原発メルトダウン   朝日新書



 福島原発事故以降、原発の危険性を解説した本の出版が相次いでいる。この本は、そうしたものの一つであるが、著者の広瀬隆は、これまでも、一貫して原発の危険性を訴え続けてきた。特に、美浜原発と東海地震の関係で、津波によるメルトダウンの危険性を指摘しており、今回の福島原発は、広瀬隆の警告通りに発生した事故だったと言える。

 本書は、福島原発事故で、実際に原子炉の中で何が起こっているのかを推定しているが、その後、明らかにされた報道では、著者の考えの正当性が実証されているようである。また、本書には、危険な原発を放置し、安全神話を作ってきた、政・官・学・産の癒着にも触れられている。

 現在、野党に下った自民党は、菅内閣の原発事故対応を批判している。しかし、どういう対応をすべきなのか、対案を示していない。そればかりか、菅総理の入閣要請を拒否して、事故対応の努力を初めから放棄している。著者は、福島原発事故の対応方法は分からない、だからこれまで原発に反対してきた、これまで原発を推進してきた人は事故対応方法を示してほしいと書いている。これまで、積極的に原発を推進し、安全神話を作り、裏では、東電から政治献金を受け取ってきた、自民党、特に谷垣総裁は、事故対応方法を示して、事故を終結を図る最大の責任があるはずである。
 菅内閣を倒して、原発事故を菅内閣に押し付け、原発推進の責任をうやむやにし、このまま原発を推進しようとする魂胆は、絶対に阻止しなくてはならない。

 すこし、話が横道にそれてしまったので、本の内容に話を戻す。
 危険な原発は、福島だけではない。著者が、かねてより危険性を指摘していた浜岡原発は、菅内閣が停止させた。しかし、もんじゅを筆頭に、危険な原発は全国にたくさんある。本書では、他の原発についても、危険性を指摘し、簡単ではあるが、個々の原発の特に危険な個所を指摘している。

 本書は新書版と言うこともあり、読みやすい。福島原発事故を機に、原発がなぜ危険であるかを理解し、今後の原発をどうすべきであるのかを考える上で、ぜひとも読むべき一冊である。

本の紹介-原発のどこが危険か 世界の事故と福島原発2011年06月02日

原発のどこが危険か 世界の事故と福島原発
桜井淳/著 2011年4月 朝日選書


福島原発事故以降、原発の危険性を解説した本の出版が相次いでいる。この本は、そうしたものの一つであるが、旧版に福島原発事故関連の話を加筆したもの。

原発と、事故に対して、技術的側面からの解説。技術的側面が強く、このような内容に興味のない人には、難解かもしれない。しかし、原発は技術の固まりで、その中には、怪しいのも結構あるが、すべてが「すばらしい技術だから絶対安全」として片付けられてしまっていた。原発の安全神話がもろくも崩れ去った今、技術的側面から、原発の危険性を考えるために有用な本だ。


また、出版が古く、今回の事故とは無関係であるが、原発の安全神話がいかに虚構であり、技術上の問題は、どのようにして無視されていったかを知る上で、以下の本も有用である。

原発はなぜ危険か―元設計技師の証言 (岩波新書)

茶番劇はとりあえず終了2011年06月02日

 自民・公明両党の提出した、被災者を無視した党利党略の内閣不信任案が、とりあえず否決されました。
 菅総理は、自らの退陣に言及することで、党内の造反を抑えましたが、自公の不信任案が、被災者無視のあきれた茶番ならば、退陣表明も、不信任案否決のための茶番劇。

 「大震災への取り組みに一定のメドがついた段階」で退陣するそうです。チェルノブイリの事故なんて、25年たった今も、復興のメドは全く立っていない。福島原発事故だって、見方によっては、復興に一定のメドがつくのは100年後かもしれない。

 福島原発事故の大きな原因は、自民党長期政権の中で、偽りの安全神話を作り上げ、安全性無視の原発推進政策が推し進められてきたことにあります。もし、菅内閣の原発事故対応が悪いと言うならば、自公は対応策を示すべきであるのに、何もしていない。これまで自民党政権が推し進めてきた原発政策は、いったん事故が起こると、お手上げになる、恐ろしいものだったので、まともな対応策が無くて当然です。

 菅内閣を退陣に追い込んで、原発事故責任を菅内閣に押し付け、過去の原発政策の誤りをうやむやにし、破綻した原発政策を推し進め、その中で、自らの利益を得よとする策略は、当面、実現しないようです。自民党の政治家は、安全軽視の原発政策を推し進める中で、電力会社から、どれだけ金をもらっていたのだろう。金返せ!!

静岡茶は避けた方が良い2011年06月03日

 政府は生の茶葉を乾燥させた「荒茶」や「製茶」についても、1キログラムあたり500ベクレルの規制値を適用すると発表した。国民の健康と安心のためには、当然の処置であるが、これに対して、静岡県知事は反発し、「荒茶」の放射能検査を実施しない考えを明言した。
 「荒茶は半製品で、消費者が口にすることがない」と、反論しているそうだ。茶どころの知事として、なんと無知なことか。

 お茶や、鰹節出汁は、そのまま食べて美味しいものだから、エキスを抽出しても美味しいのです。エキスを抽出することが多いけれど、そのまま食べる人も珍しくないでしょう。私は、時々、お茶を一摘みかじることがありますが、口いっぱいに、お茶の香りが広がって、さわやかです。ただし、安物のお茶っ葉は、苦いだけ。また、煎茶の茶葉をミキサーにかけて、抹茶のようにして、菓子材料に使う人もあるだろうし、刻んだ茶葉をご飯に炊き込む人もあるでしょう。お茶は美味しいものなので、いろいろな利用法があります。

 少量の放射能は健康に有害なのかそうではないのか詳しいことは分かっていません。しかし、無害であることが分かっていないのならば、出来れば、避けた方が良いでしょう。静岡茶だけ荒茶検査をしていないのならば、静岡茶が500Bg/kgを越える濃度の放射性セシウムを含んでいる可能性があり、他の産地はもっと低い汚染であることになります。だったら、静岡茶は避けるべきでしょう。お茶の産地は、静岡だけではなく、宇治や八女など、いくらでもあるのだから。

我孫子市根戸小学校2011年06月03日

 我孫子市のホームページによると、根戸小グラウンド中央の環境放射線量は地上高50cmで0.5μSv/hだそうです。3か月あたりに換算すると1.1μSv。放射線管理区域の指定基準は1.3μSvなので、これよりは低い値ですが、、、
 放射線管理区域は、関係者以外立ち入り禁止で、18歳未満立ち入り禁止です。これよりも、若干低いからと言って、小学生を根戸小学校に立ち入らせるのは、ちょっと避けた方がよろしいのではないだろうか。
 
 我孫子市、柏市などにお子さんをお持ちの人は、学校給食はいかがされているのでしょう。学校給食は食べないて、安全な弁当を持たせていますか。子供の食事の安全は、基本的には、親の責任です。他人任せ、学校任せ、役人任せ、はいけない。
 校庭の放射線強度も、ずいぶん高い状況で、汚染野菜を食べさせられるのは、うれしくない。放射能被害は、外部被曝と内部被曝の合計を考えないといけないので、それぞれが、低くても、足し算すると低いとはいえなくなることもあります。我孫子市根戸小学校グラウンドの環境放射線は決して低いとは言えない線量です。この上、決して低いとは言えない内部被曝させられては、たまったものではない。

 ただし、どちらも、ただちに健康に影響を及ぼす線量ではないので、政治家や上級役人のオジサンは、全く気にする必要のない値です。将来、万一、健康被害が現れても、責任を追及される頃には、退職金もらって引退している。

 0.5μSv/hは、それほど高い線量ではないけれど、出来れば、もっと少ないほうが良いでしょう。この程度だと、除染費用を国が負担してくれることは無いだろうけれど、グラウンドの表層数センチの土を取り除けば、線量も低くなるようだから、保護者がボランティアで、表層の土を取り除けば良いのに。


誤解の無いように追記:
 我孫子市根戸小学校だけが、汚染されていると言うことではなくて、柏市・松戸市・流山市・守谷市など、この付近一帯の放射線強度が高い値を示しています。

本の紹介-原発と日本の未来2011年06月04日



原発と日本の未来――原子力は温暖化対策の切り札か (岩波ブックレット)

 福島原発事故以降、原発関連の本の出版が相次いでいる。この本は、原発事故より少し前に発行されたので、福島原発事故の話はない。

 これまで、原発推進派は、原発の有用性として、コストが安いことと、地球温暖化対策に有効であるとの主張がなされてきた。この本は、具体的な数値を示すことにより、コストの点からも、地球温暖化対策の点からも、原発は有利で無いと説明している。
 主に、経済的観点からの記述であり、技術解説の本ではないので、安全性の問題は特に扱っていない。

Windows Recovery ウィルス2011年06月06日

 土曜日、怪しいサイトを見ていたら、Windows VISTA Recovery ウィルスに感染してしまった。
 「ハードディスクに重大なエラーが生じたため、リカバリーしている」ように見せかけ、「リカバリーに失敗したので、この商品を買いなさい」と言うような趣旨のページに案内し、クレジットカード情報を入力させる、タチの悪いウイルスです。手の込んだことに、タスクマネージャーが立ち上がらなくなり、ファイルもどんどん見えなくなって、あたかもHDDが本当に壊れているように見えます。
 
 そこで、他のユーザーIDでLOGINすると症状は出ない、HDDのエラーチェックも、問題なし。タスクマネージャーは当然のごとく立ち上がる。タスクマネージャーを立ち上げて、プロセスを見ると、ランダムな数字の羅列の様な名前の実行形式が動いているので、これを強制停止。再び、元のユーザーIDに戻ると、Windows VISTA Recoveryは消えていました。
 怪しい実行形式は、Program Dataの直下にあったので、こいつを隔離して、これでOKと思い、シャットダウン後、立ち上げると、やっぱり、Windows VISTA Recovery ウィルスが活動。ランダムな数字の羅列の様な名前の実行形式(前と名前が違う)が動いていて、Program Dataの直下に実行形式が出来ている。
 そこで、スタートアップエディターで、スタートアップを見ると、ランダムな英字の羅列の様な名前の実行形式が立ち上がるようになっているので、これを動かなくしたら、今度は、再起動しても、ウイルスの活動はなくなりました。この実行形式もやはり、Program Dataの直下にありました。

 ウイルスは活動しなくなったのだけれど、ファイル属性が、見えないように書き換えられている。ユーザーホルダーのファイルを一括して見えるように属性を変更。

 マイクロソフトの無料ウイルスソフトを使っているのだけれど、見つけてくれない。Program Dataの直下にある怪しい実行形式は隔離し、今のところ、ウイルスの活動は無いのだけれど、不安です。どうすればいいのでしょう。
 
 ということで、日曜日は、ウイルス駆除で1日使ってしまった。


追記1:
 HKEY_LOCAL_MACHINEのSOFTWAREのMicrosoftのShared ToolsのMSConfigのstartupreg にウイルスを実行させるためのレジストリーが追記されていたので、こちらも削除しました。

追記2:
 マイクロソフトの無料ウイルスソフト(Microsoft Security Essentials)が今日になって、ウイルスを削除しました。ただし、英字名の実行形式だけ。

追記3:
 このウイルスの変種です。
http://www.microsoft.com/security/portal/Threat/Encyclopedia/Entry.aspx?name=Trojan%3aWin32%2fFakeSysdef&threatid=2147639286

本の紹介-日本の原発危険地帯2011年06月07日



日本の原発危険地帯 鎌田慧/著 (青志社) 2011.4

 福島原発事故以降、原発関連の本の出版が相次いでいるが、この本もその一つ。
 旧版に比べると、前書き2ページと後書き7ページが追記されている。

 全国各地の原発地域を取材して、地域住民がいかにして原発を受け入れてきたのかを、明らかにしている。原発を作るためには、用地買収と漁業権の問題をクリアしなくてはならないが、土地や海を失う農漁民が、初めから全員賛成と言うことは無く、土地・漁業権買収には困難が伴う。このため、県と市町村が一体となって、住民を切り崩し、原発建設を推進する。この本を読むと、県と市町村と電力会社が癒着して、反対運動を如何に抑えてきたかが良く分かる。
 ただし、地元のルポルタージュのため、政官の立場からの見方ではなくて、反対住民の立場から、反対運動が切りくずされてゆく様子が書かれている。あくまでも、住民の視点であり、行政や電力会社の側からの視点は無い。


 以下は、本と関係ない。

 福島原発事故に際して、福島には「都会の電力のために、福島は原発を受け入れてきたのだから、原発事故は都会の犠牲になったものだ」との見解を示す人がいる。大嘘だろう。実際は、自分たちの目先の利益のために、原発を積極的に誘致したのだった。
 今回の原発事故では、福島県浪江町が高濃度に汚染されている。ちょうど浪江町を汚染するために、事故が起こったかのように、浪江町を集中的に汚染している。浪江町には原発は無く、原発の恩恵は福島県を通じて、県内の他の市町村と同様な恩恵を受けてきたにすぎない。それなのに、被害は突出しており、気の毒である。浪江町は、かつて、原発招致合戦を宮城県女川町と競い、敗れた経緯がある。その後、東北電量により、北部に浪江・小高原子力発電所が2020年に完成する予定だった。これまでの、原発誘致活動が実って、原発に「たかれる」と思った矢先の事故で、すべてが破綻してしまった。

本の紹介-日本の原発、どこで間違えたのか <== この本、お薦めです2011年06月08日



日本の原発、どこで間違えたのか
著者事項 内橋克人/著 朝日新聞出版 2011.4


福島原発事故以降、原発関連の本の出版が相次いでいるが、この本もその一つ。講談社文庫から出版された「原発への警鐘」の復刻であるが、内容は、若干異なる。

「日本の原発危険地帯 鎌田慧/著」は、原発周辺住民の取材に基づいて、日本で原発がどのように受け入れられてきたかを描いているのに対して、この本は、原発推進側の取材・調査に基づいて、日本の原発進展過程を描いている。このため、テーマは類似しているが、立場が異なるので、両書を読むと、より深い理解が可能になるだろう。どちらの本も、読みやすい。

本の内容は、日本に原発が出来た時のいきさつ、特に、福島原発建設の経緯。いわゆる安全神話を作っていった経緯と、原発推進者の無能。関係住民無視によるごり押し。等々、原発建設の問題点を明らかにしている。極め付きは、高木孝一敦賀市長(当時)の講演テープの紹介。
 原発にタカッテ、金を取りさえすれば、「その代わりに100年経って片輪が生まれてくるやら、50後に生まれた子供が全部片輪になるやら、それはわかりませんよ、わかりませんけど、今の段階では(原発を)おやりになった方がよいのではなかろうか…。」との発言を紹介している。

静岡茶は飲まない2011年06月08日

静岡県知事は荒茶の放射能検査を実施すると表明しました。まともな判断と思いきや、とんでもない!!
放射性セシウムが好きな人以外は、静岡茶はなるべく避けた方が良いでしょう。

統計調査は、普通、サンプリング調査をします。サンプリングは、複数の場合もあれば、1つの場合もある。1つの場合は、代表1つを選んで、それがOKならば、全部をOKとし、ダメならば、全部ダメと判断する。

ところが、以下のような、インチキ調査をする人がいたらどうでしょうか。「合格品が出るまで検査して、合格品が出た段階で他のすべての物を合格と判断する。」3回検査して、ようやく合格品が出た場合は、未検査の製品のうち2/3は不合格品だろうと普通は思うでしょう。合格品があったのだから、残りはすべて合格品に違いないと考える人はよほどのおバカさんです。

静岡県の検査は、最初に産地別の検査で国の基準値を超えた場合、地区単位で検査し基準を越えたら、さらに工場単位と検査を続けて、3回とも基準を越えた工場だけを、出荷の規制する方針です。汚染濃度は一定値ではなくて、確率分布をしているのだから、静岡のような検査をしたら、平均的には、かなりの高濃度汚染になっている可能性があります。

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