無題2011年05月02日

福島の学校の放射線安全基準は納得できる値です:

 政府は、福島の学校の放射線安全基準を1年で20ミリシーベルトとし、1時間当たり3.8マイクロシーベルトにしましたが、この値が、高すぎると、各方面から批判が起こっています。この線量は、暫定基準であって、この値がそのまま6年間継続すると決まったわけではありません。1年20ミリシーベルトならば、3カ月で5ミリシーベルトです。LNTモデルによれば、10歳の子供の発癌確率は0.1%になります。1000人に一人なので、もし、健康被害が起こっても、放射能が原因かどうか全く分からない数値です。また、子供が癌になった時の損失を1000万円とすると、平均的には一人当たり、1万円の損失になります。3ヶ月間、学校を開かない、あるいは退避させることを考えると、そのまま学校を開いたほうが、安上がりでしょう。
 このように考えると、今回、行政が、福島の学校の放射能安全基準を1年で20ミリシーベルトと決めたことは、合理的判断です。
 ところが、一部の保護者は、20mSv/yに反発しています。親が考える自分の子供の価値と、一般的な子供の価値は違うだろうから、人によって、安全性の判断は違うことになります。


場当たり的:

 原発事故の備えをしてこなかったのだから、対応が場当たり的になるのは仕方ないこと。
 拉致被害者家族の蓮池透氏は元東電社員だとかで、先日、朝日新聞に寄稿していました。「原子炉の炉心損傷が起きる確率は年間で10のマイナス7~9乗、つまり1千万年に1回程度と説明された」とのこと。こういういい加減な計算をしていたヤツは誰だろうと考えると、自分でないことは確かだけれど、完全に無関係ともいえない。この計算は、アメリカの考えをそのまま持ってきたので、英語が堪能な理系出身者が担当していたけれど、数学は・・・物理は・・・。


専門家は今まで何やってたか:

 東大、東工大で、物理・応物から原子力に進む学生は、必ずしも優秀で有るわけではないことを菅さんは、分かっていないのだろうか。菅さんは東工大応物出身なのだから、彼の友人の中に、東工大・大学院で原子力研究専攻に進んだ学生は多かったはず。そういう友人の面々を思い出せば、原子炉の専門家がどれくらい優秀だったか、分かるはず。

ソ連邦英雄 リヒャルト・ゾルゲ2011年05月04日

リヒャルト・ゾルゲは、ドイツの新聞特派員として1933年9月に来日したソ連諜報機関のスパイ。1941年10月18日検挙され、1944年11月7日死刑にされた。1964年11月、ソ連邦英雄の称号を贈られる。

リヒャルト・ゾルゲの墓は東京・多磨霊園にあります。今日は、墓参をしました。ゾルゲの協力者で、ともに逮捕され、ゾルゲと同じ日に処刑された尾崎秀実の墓も、多磨霊園にあります。


写真は、尾崎秀実の墓に咲いていたスミレ。


花の季節です2011年05月05日

 他の人のBlogを見ていたら、庭に咲いたいろいろな花を紹介していました。この時期は、花好きには一番うれしい季節。マンション住まいの私は、家に花がないので、他人の家の花を観賞しました。毎年見に行く、さいたま市御蔵の尾島家。

ここは、クマガイソウが自生しています。

イカリソウも自生しています。


チョウジソウも咲いていました。この花は、田島が原など湿地に自生しているので、庭に咲いているのが、ちょっと不思議です。品種が違うのかもしれない。


アマドコロか鳴子百合。違いが分からない。でも、たぶんアマドコロです。

キンランが咲いていました。数年前にはなかったので、尾島さんが植えたのかなー。

さいたま市なので、サクラソウがあります。田島が原のサクラソウは自然保護のため採集が禁止されています。でも、禁止される直前に、かなりの株が持ち去られたのだとか。

ホウチャクソウです。黄色い花もあります。


チゴユリです。

これは、スズラン。



また、この季節は、ボタンが各所に咲いています。こんなに拡大すると、花は生殖器官であると感じます。


福島旅行(1)2011年05月06日

福島県をドライブしました。

福島西インター→福島市街→国道115→国道349→国道399→飯樋→飯舘村役場→飯樋→国道399を南下して飯舘村長泥→国道399をそのまま南下して、浪江町赤宇木→国道114を少し通って津島小学校(このあたりゴーストタウン)→その先で検問のため戻り、国道399を南下→葛尾村役場(封鎖中)→国道288にはいるも検問のため国道399を南下→川内村役場にはよらないで川内郵便局(営業中)→いわき市

伊達市から飯舘村に入るところのモニュメント。飯舘村は畜産の村なのですね。



地震被害のあった家。飯舘村も多少の地震被害は受けているけれど、住めなくなるほどではない。原発がなければ、それほど、たいしたことなかったのに。



飯舘村は、桜が満開でした。


牧場の牛を検査している白装束の人。


白装束の人が、牧場主と話をしていました。友好的雰囲気には感じなかった。



飯舘村役場。人がいました。皆さんマスクをしている。この人たちも、もうすぐ退避しなくてはならない。このあたりの環境放射線濃度は、今でも、3μSv/hを超えています。放射線管理区域指定基準の5倍。隣に小中学校があるけれど、子供は、こんな高濃度汚染地域に長い間とどまらないほうが良い。


桜並木の続く道路。桜が満開です。でも、この先は飯舘村長泥。いまでも、環境放射線濃度が11μSv/hを超えています。
ここに車が1台止まっていて、桜の写真を取っている人がいました。この先、川内村まで、検問の警察官と自衛隊員以外に見かけた人は、わずかに一人。



この先立ち入り禁止の看板。これは、側道への立ち入りを禁止するもので、国道399はこのまま南下して、浪江町にいけます。


長泥


飯舘村長泥は桜が満開でした。フキノトウも咲いていたけれど、時期が少し遅かった。もう少し早ければ、食べごろなのだけれど、放射能汚染されたフキノトウなど食べる人はいないかな。


この先は、浪江町赤宇木に入ります。


福島旅行(2)2011年05月07日

福島県をドライブしました。

福島西インター→福島市街→国道115→国道349→国道399→飯樋→飯舘村役場→飯樋→国道399を南下して飯舘村長泥→国道399をそのまま南下して、浪江町赤宇木→国道114を少し通って津島小学校(このあたりゴーストタウン)→その先で検問のため戻り、国道399を南下→葛尾村役場(封鎖中)→国道288にはいるも検問のため国道399を南下→川内村役場にはよらないで川内郵便局(営業中)→いわき市



国道399を飯舘村長泥を超えて南下すると、浪江町赤宇木に入ります。ここは、原発事故直後の3月17日、文部科学省放射線モニタリングカーで170μSv/hを記録したところ。今でも、20μSv/h程度が測定されています。
高濃度放射能汚染地-浪江町赤宇木


人家近くに、猫がいました。浪江町に入って、はじめて見た動くものが、この猫でした。


国道144号と合流するあたりに、立派な民家があり、桜が満開でした。目の前を、福島県の環境放射能測定車が走っていった。浪江町に入って、最初に見た走っている車でした。
  


この先、浪江町津島に立ち寄りました。郵便局は休業中。



街はゴーストタウン。ぶらぶらしていると、2台の車が走って行きました。皆、マスクをしている。住民は誰もいないのだけれど、カーテンがしまっていない家もあって、今にも、戻ってくる感じがします。


どの店も休業中。自販機も、動いていない。


地震で壊れた家は、そのまま放置されている。


このあと、高台にある小学校に行きました。
小学校には二宮尊徳さんが立っているけれど、人の気配がしない。校庭には、車が何台も駐車中。


校舎入り口の掲示。住民の皆さんは原発事故後、二本松に避難したんですね。ここは、放射能が多いので、不要な被爆を避けられて良かった。特に、子供を被曝させてはいけない。


少し先に進むと、通行止めの検問をしていました。検問の警察官は山口から来ているのだとか。
こんなに、放射能が高いところに、一日中いるのかなー。普通の服装。



津島より東は立ち入り禁止なので、戻りました。途中、自衛隊員がいました。タバコでも吸っているのだろうか。


浪江町津島には、検問の警察官と自衛隊員しかいなかったけれど、枝垂桜が満開でした。
住民の退避が解除になって、皆でお花見が出来るのは、いつのことになるのだろう。


この後、国道399を南下し、葛尾村・川内村を通って、いわき市へ。
 


福島旅行(3)2011年05月08日

福島県をドライブしました。

福島西インター→福島市街→国道115→国道349→国道399→飯樋→飯舘村役場→飯樋→国道399を南下して飯舘村長泥→国道399をそのまま南下して、浪江町赤宇木→国道114を少し通って津島小学校(このあたりゴーストタウン)→その先で検問のため戻り、国道399を南下→葛尾村役場(封鎖中)→国道288にはいるも検問のため国道399を南下→川内村役場にはよらないで川内郵便局(営業中)→いわき市



国道399を南下して、葛尾村へ。道端に、猫がいました。


葛尾村役場。
役場の庭にたくさんの車が駐車していたけれど、人は誰もいませんでした。役場は封鎖中。


葛尾村役場を少し行くと、県道50号線の分岐。ここは、進入禁止。


田村市に入って、国道288を東へ。このまま行ったら、福島第一原発。田村市・都路町古道の国道399が分岐する奥に、検問がありました。このあたりの放射線濃度は、それほど高くない。


検問の手前の道路を、犬が悠々と歩いていました。この左側にあったガソリンスタンドは営業中で、人がいました。飯舘村長泥に入るところで、桜を見ていた人と別れて以来、警察官・自衛隊員以外で最初に見た人。



国道は警察官が検問をしているけれど、小さい道は、立ち入り禁止の看板だけです。



川内村の川内小学校近くで、人が歩いているのを見ました。道を歩いている人を見るのは、はじめて。



川内村役場を少し過ぎたところに、駐車場とトイレがありました。東電の制服を着ていたおばさんたちが数人いました。側道の向こうに立ち入り禁止の看板。
 
 
川内郵便局は営業中。



このあと、国道399をさらに南下して、いわき市に入りました。いわき市は地震と津波の被害は大きいけれど、人も多く、着実に復興しているようです。飯舘村、浪江町、葛尾村は、今後、どうするのだろう。

大祖国戦争勝利記念日2011年05月09日

大祖国戦争勲章
ロシアでは、5月9日は大祖国戦争勝利記念日。
ヨーロッパの多くの国では、5月8日がVE Dayです。

5月8日の深夜にナチスドイツが降伏したので、それにちなんでいます。ロシアでは、時差の関係で、5月9日になっていました。

一時帰宅2011年05月10日

 今日、福島県川内村の半径20㎞圏内の人たちの一時帰宅が行われた。全員、放射能防護服を着ての帰宅だったため、高齢者の一部には、体調不良を訴えたものもあったとか。
 今後、夏に向かって、気温が高くなるので、防護服着用により健康被害が生じるかもしれない。高齢者の場合、放射能被害は、若年者に比べ小さいので、それほど厳重な放射能防護が必要なのだろうか。20㎞圏内でも、汚染にムラがあるのだから、汚染の程度が低い場所に帰宅する場合は、防護服なしでも良いと思うのだが。

 強制退避は、原発からの距離で一律に線引きし、若年者と高齢者を一律に扱っているが、もう少しきめ細かな区分けをした方が良いのではないだろうか。

 ところで、川内村の川内郵便局は20㎞を少し出ているので、強制退避範囲から外れている。現在、郵便局は開いていて、通常業務が行われている。
 20㎞圏内でも、放射能が低い場所は、立ち入り禁止を解除しても良いように感じる。

放射線の発癌率は非常に高い2011年05月11日

 放射線を浴びた時の発癌リスクについて、1Sv(=1000mSv)で発がんリスクが1.5倍になるとの説明や、100mSv被曝の発癌リスクは0.5%との説明がなされています。
 一方、喫煙による発がんリスクは、1.6倍程度でなので、1000mSvの被曝による発癌リスクは、喫煙と同程度です。

 このように言うと次のように誤解する人もいるかもしれません。
 「福島市の学校の許容線量は0.0038mSv/hであり、1000mSvでも喫煙程度の発癌率ならば、ほとんど無視できる線量だろう。」
 
 福島市の学校の許容線量の0.0038mSvは1時間当たりであり、喫煙のリスクは一生涯喫煙した時の値です。0.0038mSv/hは年間20mSvに相当し、50年の積算では1000mSvになります。つまり、福島市の学校の許容線量で一生暮らし続けると、一生喫煙した時と同程度の発癌リスクです。

 「タバコと同程度ならば、たいしたことない」と思う人もいれば、「健康を考えて必死に禁煙したのに、放射能のおかげでチャラにされた」と怒る人もいるでしょう。
 しかし、タバコは成人だけのものです。学校長が児童・生徒に毎日喫煙を強要したら、立派な犯罪です。それと同程度の発癌リスクを児童・生徒に負わせてはならない。
 放射能汚染が大きい地域にお住まいの人は、子どもだけでも退避した方が良いと思うのですが。。。。


 5月6日に飯舘村から浪江町、葛尾村、田村市、川内村を通りました。浪江町津島では、30分ほどゴーストタウンをぶらぶらしました。環境放射線濃度が高い地域ですが、30分滞在しても、全く健康には問題ありません。でも、タバコ1本吸った程度の健康被害はあるかもしれない。

低レベル放射線被曝と発癌率の関係2011年05月12日

LNT、しきい値、ホルミシス:
 低レベル放射線被曝と発癌率の関係について、「LNTモデル」「しきい値モデル」「ホルミシスモデル」の3種があります。放射線量と発癌率の関係を模式的に書くと図のようになります。


20mSvの発癌率:
 
 放射線による発癌率は、広島・長崎の経験から100mSvで0.5%とされています。100mSv以下の低線量の場合の発癌率はデータが少なくて分からない。このような場合、一番簡単な方法としてLNTモデルが使われます。「分からないのだから、直線で結んでしまえ」簡単にいえばそういうことです。LNTモデルでは、安全な線量は存在しないことを前提としています。
 
 LNTモデルは、計算が簡単で嬉しいのですが、「これだけなら安全」と言う線量が無くなってしまい、放射能汚染をまき散らす側にとっては、都合が悪い。「しきい値説」は、「これだけなら安全とする線量があって、そこから先は直線で結ぶ」ものです。さらに、「多少被爆したほうが体に良いのだ」と低線量被曝を奨励する説が、「ホルミシス」です。
 
 被曝線量と発癌率の関係を模式的に書くと、図のようになります。どの線も、0mSvでは発癌率0%、100mSvでは発癌率0.5%なので、3つの線の最初と最後は同じところを通ります。 
 現在、安全な線量-しきい値-があるとの説と、そのような線量は無いとする説の両方があります。
 
 政府は、福島県の学校児童・生徒の年間被爆許容線量を20mSvとしましたが、これには批判が強いようです。10歳の子供が、年間20mSvを3年間被爆した時の1年当たりの発癌率を計算してみます。10歳の子供の被曝による発癌率は成人の4倍とします。
 
 「LNTモデル」の場合は、0.4%です。
 
 「しきい値説」では、しきい値が幾つなのか決めないといけませんが、現在、そのような値は知られていません。ここでは、簡単のため50mSvと仮定して計算します。LNTモデル以外では、これまでの被曝線量が必要です。年平均2.5mSv被曝しているとすると、10歳の子供は25mSv被曝しています。さらに、今回の福島原発事故で、内・外部被爆合わせて10mSv被曝したとすると、すでに35mSv被曝しています。年20mSvを3年被曝すると35+20×3=95mSvとなります。この時の発癌率は、1.8%。年20mSvの被曝がなければ、発癌率はゼロなので、増加率は1.8%。
 これは3年の値なので、1年平均すると、0.6%になります。
 
 「ホルミシス説」では、どうなるのか。この説は、被曝線量と発癌率の関係を曲線で結びます。このため、計算するためには曲線の関数形を決めなくてはならないのですが、関数形を提示した人はいないと思います。上記「しきい値説」の発癌率を0.6%と計算したのと同様な条件を設定すれば、「ホルミシス説」では、発癌確率はさらに大きくなるでしょう。
 
 「しきい値説」「ホルミシス説」は、汚染を排出する側が安全性をアピールするために使われます。それなのに、上記計算では、逆に危険性をより強調するものになっています。「しきい値説」「ホルミシス説」では、低線量の安全性を主張するために、100mSv近辺の線量の危険性を高めており、今回の原発事故のように、放射能汚染が大きい場合は、かえって、危険性を強調することになります。
 
 この計算は、別の見方もできます。
 「しきい値説」「ホルミシス説」が正しいならば、「安全な放射線レベル」があるのことになります。私たちは、自然の放射線を避けることはできないし、医療目的のような有益な被曝も必要です。「安全な放射線レベル」は、避けられない被曝や有益な被爆のために使うべきであって、避けられる不要な被曝は避けるべきなのです。

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