本の紹介-チェルノブイリ報告 ― 2011年06月29日

福島原発事故では、健康被害は起こらないとの説明が政府によりなされており、福島県在住の人たちは、その言葉で安心している人も多いだろう。
チェルノブイリ原発事故では、事故2年後に、日本の放射線医療専門家(重松逸造)を代表とする国際原子力機関(IAEA)により調査がなされ、汚染地帯の住民には放射能による健康影響は認められないとの、事実上の安全宣言が出された。
本書は、チェルノブイリ事故後3年後から5年後まで3回にわたり現地調査をした記録。放射能汚染により、周辺住民が恐怖におびえる状況、白血病や甲状腺癌が多発している状況が報告されている。詳しくは、以下をクリックください。アマゾンにリンクしています。
チェルノブイリ報告 (岩波新書)
この本を読んだのは、今から20年余り前のことでした。このときは「汚染がひどいのだなー」と思っただけですが、今、再び読み返してみると、別な思いがします。汚染がひどく住民に健康被害が現れている村の環境放射線量が0.3ミリレントゲンであったと。恐ろしい高濃度汚染であるようなニュアンスで書かれているのですが、この値を今風に直すと、3マイクロシーベルト。 福島の幼稚園・小学校などの校庭の安全基準は3.8マイクロシーベルト。
福島とチェルノブイリは状況が違うので、単純には比較できないのですが、この本に書かれているチェルノブイリと類似した状況が、今後、福島に現れないとも言い切れない。
福島原発事故があったので、本棚の奥から引っ張り出して読たものですが、福島の現状に思いを寄せると、「読まなければ良かった」そんな気もします。
今後、福島の子供たちに、健康被害が現れないことを祈るばかりです。