本の紹介-いまこそ日本人が知っておくべき「領土問題」の真実 国益を守る「国家の盾」2011年07月20日

 
 
いまこそ日本人が知っておくべき「領土問題」の真実 国益を守る「国家の盾」  水間 政憲/著  PHP研究所 (2010/12/1)

 PHPもおかしな本を出版するようになったものだ。
 著者が特定の思想・立場で執筆するのは当然ではあるが、前提となる知識が薄弱では、単なる思い込みの駄弁になってしまう。
 そういう意味で、この本を見ると、日本の領土問題について解説したものでも、領土問題に対する政策提言をするものでもなく、一部の無知なネット右翼に呼びかけて、特定の思想傾向を導きだそうとするものだろうか。
 それにしても、もう少し、日本の領土問題をきちんと調べてから執筆してほしかった。

 ところで、2011年5月に、日本の領土問題を扱ったまともな本が出版されています。

 日本の国境問題 尖閣・竹島・北方領土 (ちくま新書 905) 孫崎享 (著)

 水間氏の本とは対称的に、孫崎氏の本は、豊富な知識と外交経験により書かれています。

ナゴルノ・カラバフ2011年07月20日

  
 ナゴルノ・カラバフはアゼルバイジャンの中央にあるアルメニア人の居住地で、アルメニアへの帰属を主張し、独立状態にある。
 写真は、ナゴルノ・カラバフから日本に宛てられた郵便で、独自の切手が使われている。 (宛名はボカシテいます。)
 ナゴルノ・カラバフの首都ステパナケルトで差し出され、アルメニアの首都エレバンを中継し、そこから世界各国に運ばれる。切手からも分かるように、アゼルバイジャンの権力はこの地に、及んでおらず、アルメニアの自治州のような形になっている。

 ソ連時代、アゼルバイジャン、アルメニアともに同じソ連と言う国家に属していたため、ナゴルノ・カラバフがアルメニアでもアゼルバイジャンでも、大きな違いはなかった。実際には、アゼルバイジャン共和国の自治州となっていた。
 ソ連が崩壊に向かうと、ナゴルノ・カラバフはアルメニアへの帰属を要求、これに対抗して、1991年11月23日、アゼルバイジャンはナゴルノ・カラバフ自治州の廃止を宣言、さらに、ソ連崩壊とともに、アルメニア、アゼルバイジャンが独立国となると、両国はナゴルノ・カラバフの帰属をめぐって、戦闘状態になる。翌1992年1月7日には、ナゴルノ・カラバフ共和国が独立を宣言した。
 1994年5月12日、ロシアの調停で、アルメニアとアゼルバイジャンは、和平協定に署名し、戦闘は一応終結した。

 先日、20011年7月18日のVOR(Voice of Russia)の報道によると、アゼルバイジャンのエルマル・マメディヤロフ外相は、モスクワでのラヴロフ外相との会談後の記者会見で「ナゴルノ・カラバフを巡るアゼルバイジャン・アルメニア間の平和合意作成を始める時が来た」と述べたそうです。
 
 そろそろ、恒久的解決の時期が到来しつつあるようです。
 ナゴルノ・カラバフはアルメニア人居住地区ではあるけれど、ソ連時代にはアゼルバイジャン人も住んでいました。今では、アルメニア人が圧倒的多数で、実質的にアルメニア領になっています。

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