本の紹介-暴走する原発 ― 2011年07月26日
暴走する原発 チェルノブイリから福島へ これから起こる本当のこと 広河隆一/著 小学館 (2011/5/20)
福島原発事故が起こった時、これまで原発を推進してきた学者たちが、マスコミに出演して、原発事故はたいしたことなく、放射能の健康被害はないと盛んに説明していた。
このような解説に対して、眉唾っぽく感じた人は多かっただろう。子供のいる福島市民の中には、いち早く退避した人もいるが、中には、眉唾説明を根拠に、放射能被害はないと、自分に言い聞かせて、子どもを放射能汚染がひどい福島市に滞在させてしまった親もいるだろう。既に、一定量の被曝をしてしまったとしても、夏休みだけでも、安全な場所に避難させたいと考える親は多く、福島市の子供たちは、夏休み期間中、長期の旅行が多いようだ。
この本は、チェルノブイリ原発事故の3年後から数回にわたって、現地を取材したジャーナリストのチェルノブイリ事故報告に、福島原発関連の章を書き加えたもの。
チェルノブイリでは放射線汚染が激しい地域は、いまだに、強制退避になっている。この時の環境放射能強度の基準は2.4μSv/hだった。現在、福島市の一部では、これよりもさらに放射能汚染がひどいのに、子どもが遊んでも平気だとの、恐ろしい事態が起こっている。チェルノブイリでは、事故後5年以上たって、多くの子供たちに放射能被害が発生した。単純に環境放射線強度だけで比較することはできないが、事故後のチェルノブイリの惨状を知ることは、福島市在住の子供の今後を考える上で、大いに参考になる。
事故後、子供を退避させなかった親、いまだに、政府の定めた暫定基準以内ならば安全と考えている親は、是非ともこの本を読んで、子供にとってそれでいいのか、良く考えてほしい。