本の紹介-学力喪失2025年01月30日


今井むつみ/著『学力喪失 認知科学による回復への道筋』(2024/9)岩波新書 新赤版 2034

 横書きの本。
 算数ができない子供、特に数直線の概念や、分数が理解できでいない、あるいは単位付き数が理解できていない原因を認知科学の立場で解明し、指導方法を提案している。理解できていない子供の中では、どこで躓いているのかは、子供によって異なる。これを解明するテストをいろいろと提示する。
 算数の文章題ができない子供は、大きく分けて、算数ができない子供と、問題文が理解できない子供がいる。本書は、算数ができない子供に寄った対策で、問題文が理解できない子供対策は薄いように感じる。算数教育に特化したものならば、これもいいだろう。しかし、分数概念が理解できないことよりも、2~3行の文章が正しく理解できない方が、実社会では不都合が多いだろう。最近のネット右翼には、文書を理解する能力に欠けるため、他人の文を勝手解釈して、誤った言説を振りかざす者も多い。このような社会の弊害を少なくするためにも、2~3行の文章が正しく理解できる能力を養ってほしい。

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